La'Zoozのクラウドセール開始 実はライドシェアリングサービスじゃない!?
La’ZooZ(ラズーズ)のクラウドセールが昨日(今日の深夜)始まりました。 (以下面倒なのでLazoozと表記します)Zoozと呼ばれるトークンを売りに出しています。
Lazoozのクラウドセールが後10分ほどで始まるようです。先日書いたクラウドセールのプレミアム記事の基準に照らし合わせると、Lazoozは苦戦する気がします。明日の朝起きてフタを開けてみたらどうなるかわかると思いますが、期待しておきましょう。
— Koji Higashi (@Coin_and_Peace) June 1, 2015
私はクラウドセールの仕組み的にあまり上手く行かないんじゃないか、と予想していましたが、現在時点で35万円程度をビットコインでセールを上げています。これは目標金額にもよりますが、そこまで大きな額ではありませんね。スタートはう~ん、という感じでしょうか。
そもそもLazoozって何?
実はLazoozに関する日本語の情報は調べた限りあまりなかったので、そもそもLazoozってなんだよという話を簡潔にします。調べてみると、Lazoozは何だかあちこちに手をだしている感じで(技術的にも)、思ったより複雑です。
ただし、Lazoozは一言で言えば、分散型Uberです。少なくとも今の時点では。
Uberで有名なライドシェアのサービスを、運営者のいない分散的なDAOとして実現させようとするプロジェクトです。
運営主体がいない代わりに、ZoozというOmniトークンが使われ、ライドを与えた人には走行距離などに応じてZoozが与えられ、逆にライドが必要な人はZoozでサービスに対して支払う必要があります。
Lazoozの強みとは?
そもそもUberじゃダメなのでしょうか?LazoozがUberのような中央集権型のサービスに勝る点として、
- 運営体がないため手数料などを中抜きされない
- ネットワーク参加者にインセンティブが与えられる(初期参加者に有利)
- 分散型のため、Uberのように訴訟、業務禁止、タクシー業界からの反発などのリスクがより低い
というようなところがあると思います。
Lazoozのいまいちなところは?
上記のような分散型の強みがありますが、例えばUberと比較して
- 大型の資金調達、マーケティングなどが難しい
- DAOとしての意思決定のスピードが遅いのでは?(後述)
- 問題が発生した時などのサポートなどの不在(事故、車破損時など)
などが考えられます。
正直に言うと、Uberを分散型にしたところで果たして大きなメリットがあるのか、という風に自分も考えてしまうところもあります。特にサポート体制の不在とか保険をどうするのか、などビジネスオペレーションの観点から言うと中央主権型でコントロールした方が安心して使えるユーザーも少なくないと思います。
Lazoozの普及戦略
LazoozにはUberなどと比べてメリット、デメリット両方あると思いますが、根本的な疑問としてどうやって普及させるかというポイントがあります。Uberのようにすでに大きなネットワークを持っているところと競合するのは大変ですし、そもそも一定人数以上の参加者が自分が住んでいる地域に存在しない場合、そもそも誰もサービスを使ってはくれません。典型的な鶏か卵か議論ですが。
Lazoozチームは、クリティカルマスに到達しない地域ではライドシェアリングサービスを提供しない、という少し変わった普及戦略を考えています。
参加人数が少ない地域でも、ユーザーはLazoozのアプリを起動しながら移動をすることで、Road Zoozというトークンを入手することができます。これは、自分の行動の位置情報を事前に提供することで、ユーザーの行動パターンをある程度把握しておき、ライドシェアリングサービスが始まった時により正確なマッチングを提供するためと考えられます。
また、お約束ですが新しいユーザーを招待した時などもZoozトークンを入手することができます。
Androidアプリのスクショ。こんな感じで動いた分だけトークンをくれます。ただし電池消費が結構馬鹿にならない。
Lazoozの本質的な狙いとは?
ここまで読むとLazoozはライドシェアサービスに大きな興味があり、Uberを置き換えるのが最終的な目標のようですが、実はLazoozは必ずしもライドシェアに興味があるわけではないようです。最終的な目標は、DAO(Decentralized Autonomous Organization)の実証実験、新たな分散型組織、運営体の実現だと言えます。
昨日発表されたWhitepaperでは、ライドシェアよりむしろどのようにコミュニティー内で分散的に意思決定がなされるのかというところの説明の方にむしろ力点があります。開発、営業などの視点から貢献をしたと思われるメンバーに、どのように正しくZoozトークンの形でリワードを与えられるか、ということについて書かれています。全て簡潔にまとめて説明することは今の自分の理解力では難しいですが、DAOを語る上でどのように参加者に的確な評価を下し、適切なリワードを与えるか、というのは非常に重要な問題なので特だしして後日別記事で書こうと思います。
Lazoozの共同設立者もインタビューで、「ライドシェアはやろうとしていることの一つ。本当に作っているのは分散型のリワード(報酬)プロトコル」という発言をしており、また分散型サービスDappsも結局は中央集権型の企業やグループによって開発されている矛盾を指摘しています。
確かにこれはもっともな指摘だと私も思いました。本当に真のDappsというのは、運営主体がいなく、トークンの大部分を保有する特定のグループではなく貢献のインセンティブを与えられた参加者が、プロトコルの発展に寄与するというものでしょう。その点、今のビットコインはかなりこの純粋なDappsに近づいてきているとも言えるかもしれません。
Lazoozに関しての懸念
真のDAO、分散型リワード・投票システムを構築しようというのは非常に面白いですが、いくつか気になった点を箇条書きします。
・初期参加者へのリワード、権限が大きすぎる気がする
・トークン(Zooz)の発行量は無限。影響力のある初期参加者がこれを利用してプロトコルを腐敗させないか。
・Proof of Movementという簡単に言えばGPSを使った移動距離を測るだけのメソッドで、正しくライドシェアの貢献度などを測定できるのか
・位置情報などの個人情報の取り扱い
・位置情報なども含めて最終的にはEthereumのブロックチェーンを利用して、ブロックチェーン上に記録、またトークンの価格ペッグを目指しているようだがそこらへんがいまいち不明瞭
・Whitepaperも全体的に「これから考えます」的な不明瞭な点が多い
などです。それぞれ特に説明はしませんが、まあ叩けばつっこみどころはどんどん出てきそうですが、リーンでやりながら考えるといったところでしょうか。
クラウドセールについて
最後に昨日始まったクラウドセールについて少しだけ。
Lazoozでは一日ごとに少しずつ価格を上げていく手法をとるようですが、日本時間の今日中に買えば一応最安のレートでZoozの購入はできます。ZoozはOmni製のトークンです。またビットコインだけでなく、IndieGoGoでPaypalを使ってのサポートも可能です。購入は彼らのホームページからできます。
先日クラウドセールのベストプラクティスについてのプレミアム記事を書きましたが、その基準に照らし合わせてみると少なくともクラウドセールの様式的には△というのが自分の感想です。
Whitepaperを直前に出したり、またトークンの数が無限のため若干リスクを感じてしまいます。しかもマイルストーン方式はLazoozも採用していているのですが、マイルストーンの設定はクラウドセールが終わってから、と何とも言えない中途半端な感じです。
まとめ
Lazoozは分散型のライドシェアリングサービスですが、最終目標はDAO、分散型の組織の実現だと言えます。
すでにアプリを出していたり割と口だけではなくちゃんと活動しているようですし、活発なコミュニティーが存在するのも事実のようです。ただし、クラウドセールに関する情報がいまいち薄かったり、決まってないことが多かったり懸念もあります。
もしシェアリングエコノミーとかに興味がある人は人助けのつもりでZoozを購入してみてもいいのでは。ご利用は計画的にw
このブログではトークンを使った実験として、寄付+トークンという切り口で実験をしています。この記事が役にたった場合は、カウンターお財布などのCounterparty対応のWalletから是非寄付をしていただければ。詳細についてはこちらの記事からどうぞ。このブログの成功を読者と分け合うwin-winの関係を築けるか、という実験です。
寄付金額により、お返しのCNPOINのレートは変わっていきます。最近のレートについてはこちらのスプレッドシートで確認できます。
1ABG119jVm2jRw6sz4ewurc5jFRJkwu6aj
※想像以上の寄付をいただいており正直びびってます。執筆活動もやる気が出てきたのでもっと頑張ります。