ビットコインダンジョン2.0

Bitcoin (ビットコイン)やブロックチェーンを技術に詳しくない人たちのために、面白おかしく、そして真面目に語ります since 2014

ピンチはチャンス ビットコインフォークの危機を好意的に捉えると

このブログの読者の方なら、現在ビットコインが置かれている状況、スケーラビリティと開発の主導権などを巡ってCore派とBU派がやりあって、ビットコインが分裂の危機にさらされている「ビットコイン内戦」はすでにある程度把握してと思います。(一般の人にとってはビットコインすら何?って話なのに、分裂?Unlimited?とか言われても謎だと思いますが笑)

一応ですが、ハードフォークの危機の背景などはこちらの記事と、大石さんが書いたフォーク時のQ&Aの記事も参考にしてください。

 

さて、自分は先日書いた記事でも言った通り、この件についてかなり消耗してましたし、もう必要十分考えたかな、と思ったので、最近はもはや現実逃避してアルトコイン調べて使ってみたり、Pepeのトレードとかを活発にしてました笑

しかし実は、消耗してた状態からここ数日はむしろ開き直りというか、ビットコイナー的に言うとポップコーン状態に入ってきており、むしろ今回のハードフォークの危機や、実際にハードフォークが行われてチェーンが分岐しても悪いことばかりじゃないんじゃないかと思い始めています。

 

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もう疲れてきている人もいるかもしれないですが、ピンチはチャンスということで何点か今回のフォークに関する楽観的な見方を紹介します。

(※ちなみにある程度はニュートラルな視点から書きますが、自分は基本的にBU反対派で、BUへのフォークはマイナーへのさらなる集権、開発体制、コード的にもリスクが高く危ないと思っています。CoreはCoreで問題はあるんですけど、そういう意味ではCore派です)

 

1.ビットコインの外部からの攻撃、検閲耐性を証明するチャンス


今回の問題の原因をかなり単純化すると、ビットコインを巡る政治抗争が大きいです。簡単に言えば中国のマイナー vs コア開発者 みたいな形になってます。ある意味ではBitcoin Unlimited(とかサトシの意思どうのとかいうナンセンス)とかスケールの話というのは言い訳だと自分は思っていて、要は中国のマイナーはCoreが気に入らず、Coreは中国のマイナーに妥協の姿勢を見せないことで、もう修復不能なレベルで真っ二つに割れているわけです。

 

この件で興味深いのは、中国のマイナーは「ハッシュパワーを持っている俺たちが正義だ、俺たちがルールを決められるところを見せてやる」、くらいの勢いの強硬姿勢なのですが、もしこれが本当だとしたらBitcoin Unlimitedじゃなくても他のいかなるビットコインへの変更も中国の巨大マイニングプールが結託すれば出来てしまうということになります。例えばマイナーへの報酬を勝手に引き上げたり、巨大プールにとって有利なルールに変更したり、などです。(BUがそもそもそういう変更、というかマイナーからの攻撃、という見方をする人もいますが)

これはしかし前から懸念されていたことで、「ビットコインは中国のマイナーに支配されている」という批判ですね。

以前からこういう指摘があった時は、「マイナーが結託してもビットコインの市場価格が暴落して、彼らにはそういうことをする経済的インセンティブがない」「マイナーが結託してもコミュニティーが認めない限り、使い物にならない(取引所やペイメントプロセッサーなども扱わない)コインを掘ることになる」というような説明をすることが多かったです。また、開発者とマイナーが完全に結託している方がむしろ危険な状態で、両者間である程度の緊張感と距離があることで、それぞれにとっての抑止力になるという主張もできます。


今回の一件は、この主張の妥当性を試す試金石になるとも言えます。

少なくとも中国の外のコミュニティ内ではCoreを支持する声の方が多数派で、CoreとBUのコインに分裂した場合、(BU側からの攻撃などの可能性を無視すると(後述))おそらくBUのコインの価格は今のビットコイン(BTC)の水準を大きく下回ると思います。実際にBitfinexですでにフォーク時のCoreコイン(BCC)とBUコイン(BCU)のトレードが事前に出来るようになっており、現時点でBCCの価格が710USD、BCUの価格が374USDで取引されています。判断材料の一つでしかないですが、今の時点では市場はBCCを支持していると数値としても確認できます(Bitfinexは相変わらず攻めますね笑)

 

また、ご存知の通り、取引所の一部は今回の騒動に対して適切な技術的対応をBU側に求める声明を出しており、逆にマイナーがそれを無視するならBUコインが取引所でトレードできなくなり、BUコインの市場価格にさらに下落プレッシャーを与えることになるかもしれません。

 

上記のように、仮に中国のマイナーが結託して、ビットコインの分散的な特性や、ビジネスやユーザーを無視した変更をプロトコルに加えたとしても、市場がコインの価格でそれを罰し、マイナーが結局損をすることで市場に従わざるを得なくなり、経済合理性の観点からマイナーによる支配が機能しない、というシナリオが実際に証明される可能性があります。

 

もしこれが出来れば、「ビットコインは中国に支配されている」というシンプルな主張は難しくなりますし、実際にはマイナー、開発者、関連ビジネス(取引所など)、ユーザー間の利害が複雑に絡み合い、上手くバランスが取れているという主張の信ぴょう性が上がります。

 

逆に今回の件で、(あくまでBUを攻撃とみなした場合ですが) BU側がネットワークの大部分、もしくは全部を牛耳れるなら仮に短期的にBUコインの価格が上がったところで、ビットコインの外部からの攻撃耐性の低さというか脆弱性が露呈され、政府や巨大企業からの攻撃などが将来的にあった場合、もしくは巨大マイニングプールが結託するだけで、将来的にビットコインを簡単に破壊できると証明されてしまうのかもしれません。その時点でビットコインという実験は失敗でしょう。(他にも暗号通貨はあるので、アイディアは引き継がれますが)

 

2.ビットコイン開発の障害の排除

 

今回CoreとBUで2つに分裂し、それぞれ別々の道を歩むとなった場合、結果として両者にとってポジティブな結末になる可能性も小さいですがあると思います。


Core側はデジタルゴールドとして分散化、検閲耐性を追及した石のように動かないセトルメントレイヤーとしてのビットコインを完成させていき、SegWit、Lightning、Sidechainなどの技術を発展させ、オンチェーントランザクションの最適化、オフチェーンでの少額送金などを通してスケールを目指していくことになります。

 

一方、BU側は、柔軟なブロックサイズ変更によるオンチェーンでのスケーリングを目指し、少額の決済もオンチェーンでさばき、Coreとは別の観点からユーザーの支持を獲得し、別のnicheでグローバルな支払い手段として発展していくかもしれません。

なので、今の状態だと両者が歩み寄り姿勢も見えず、膠着状態になってしまっているので、この際すっぱり決別し、別々の道を歩むというのも悪い展開ではないのかもしれません。もちろんフォークにより両社共に復活不能なくらいのダメージを受けてしまう可能性もありますが、案外丸く収まる可能性も同時にあるということですね。

 

3.マイニングの中央集権化の解消

 

上記2つのシナリオは基本的にハッシュパワーの過半数を持つことになると想定されるBU側がCore側をハッシュパワーでゴリゴリ攻撃、邪魔をしたりしないことが前提になりますが、もしBU側が本気でCoreを潰しにかかったとしたら、Core側はPoWのマイニングアルゴリズムを変更する可能性もあり、すでにリサーチが一部始まっているようです。

 

実際に新しいPoW方式を採用するというのはビットコインにとって大きすぎるくらいの変更なので、現実的にこれが起こるのか、起こるべきかというのは議論の余地が大いにありますが、実際にこの展開になりCore側がBU側に攻撃され、例えばマイニングの中央集権化がより起こりづらい新しいPoW方式に切り替えた場合、長い目で見るとマイニングの課題の一つを解決したというような見方ができるかもしれません。

 

4.ビットコインを安く買うチャンスが到来

 

Core vs BUの騒動にも関わらず、ビットコイン価格は現在1000~1100ドルくらいのレンジで比較的高い水準を維持しています。

しかし、CoreとBUに分裂して、2つのバージョンのビットコインが生まれたとしたら、今から想像するだけで変な笑みが出てしまうような、両陣営によるめちゃくちゃな価格のPumpとDump戦争が始まると思います。

 

すでにBUのチアリーダー的になってるRoger VerもCoreコインを売って、BUコインを買うという宣言を口頭でしており、実際にそれぞれのコインの価格がどのように推移するかは正確には予想できないですが、一時的にCoreコインの価格が200ドル以下とかそういう水準まで暴落する可能性は大いにあります。


もしCoreコインが長期的に勝つと想定したら、これは(正統な)ビットコインを安いFiat価格で大量に購入できる最終最大のチャンスになるかと思います。度々ビットコインのアーリーアダプターのビットコイン偏重問題が指摘されますが、2013年以降に入ってきたビットコイナーたちにとって最大のチャンス、仕込み時が生まれるかもしれません。まあその分リスクもめちゃくちゃ高いのですが。

 


5.天国と地獄 勝者と敗者が生まれる戦国時代

 

そして、CoreコインとBUコインの価格がどうなるかもわかりませんが、同時にそれらの動きがどのようにアルトコインの価格にも影響を及ぼすのか、ギャンブラー的な人も多いビットコイナーにとっては、想像するだけで何とも言えないドキドキ、ワクワク感をすでに覚えている人もいるでしょう。実際この予測不能な状況はある人には天国、他の人には地獄を生み出して、富豪誕生とロスカットの涙があふれまくりそうです…。

トレーダー、ギャンブラーにとっては、ビットコインからアルトコインへの流入出、一種の祭り状態がフォーク後しばらく続きそうですね。ちなみにビットコインが実際にフォークしたら自分ももうこれやけくそで参戦しますよ笑ついに暗号通貨トレーダーとして本気を出す時が来ましたかね…。(損する予感しかない

 

6.アルトコインにとっての絶好のチャンス

中には正直ビットコインとかどうでもよくて、アルトコインに期待してます、という人もいると思います。ビットコインの分裂や混乱はアルトコイナーにとってはチャンスでしかなく、ビットコインが分裂、衰退した場合、別のアルトコインが暗号通貨の王様の位置をリプレースする可能性もあります。そこまでいかなくても相対的にアルトコインの市場規模や重要性が向上し、アルトコイナーにとってはビットコインの混乱は都合がいいという見方も出来ますね。 

 

 

というわけで上記のように今回のビットコインのフォーク騒動は必ずしも悪いことばかりではないと思います。

 

もちろん、ビットコイナー視点としてはフォークしないで何とか冷静で技術的メリットに基づいた議論から現実的な解決策を模索して欲しいですが、もうそのような歩み寄りの可能性は残念ながら低くなってしまっている状態です。なので、ここまで来た時点で、自分はポップコーンを大量に食べながら様子を見つつ、このピンチをむしろチャンスと好意的に捉えて色々臨機応変に対応してけばいいかな、と思っています。最悪のシチュエーションも懸念されますが、自分は基本的にはまあ最後は何とかなると思ってるポジティブ思考ですからね。合コンはトラストレスですが。

それでは。

 

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