ビットコインダンジョン2.0

Bitcoin (ビットコイン)やブロックチェーンを技術に詳しくない人たちのために、面白おかしく、そして真面目に語ります since 2014

Ethereumがハードフォークするべき理由と価値観の違い

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どうやらEthereumはハードフォーク(Hard fork)することでコミュニティーの意見がまとまったようですね。

www.cryptocoinsnews.com

 

ハードフォーク賛成が圧倒的大多数で、詳細は現在進行形でコア開発者などにより議論されていると思いますが、このままハードフォークをしてThe DAOから流出したEtherを取り戻し、投資家に戻すというのがおおまかな方向性となります。

 

自分は事件直後からThe DAO救済のEthereumハードフォークには反対してますが、なぜEthereumコミュニティーは賛成大多数で、ハードフォークが望ましいと思っているのでしょうか?以下の記事がEthereum内の大多数の意見のまとめのようになっているので、ハードフォーク賛成派の「なぜEthereumはハードフォークするべきか」の考えも紹介します。

blog.colony.io

 

 

1.訴訟や罰則などのリスクの回避

 

The DAOが既存の法を回避すると考えるのは不適切。コードは法律ではない。


今回のような事件が起きた時に、投資家やユーザーを守るための行動をとらないとすると、SEC(U.S. Securirty and Exchange Commission)などからのクレームや摘発が入る可能性も出てくる。失われたEtherを取り戻して、投資家に責任を持って返すことでこのような訴訟リスクなどを回避できるはず。

 

2.トークンセール(ICO)というコンセプトを守るため

 

今回ハードフォークをせずに50億円以上の資金が失われたとしたら、SECから指導が入り、ICOというコンセプト自体が違法扱いされたりする可能性もある

 

3.The DAOに集まっている資金を回収し、エコシステム成長のために有効活用するため

 

今回最大で150億円相当のEtherがリスクにさらされている。この資金が失われることだけでも投資家にも大きな被害となるが、この150億円をハードフォークを通して回収することで、Ethereumのエコシステムの成長や改善に活用し、雇用などを守り、それがEthereumにとっての長期的な恩恵をもたらす。

 

4.Ethereumのメインストリームでの認知を改善するため

 

もし今回ハッカーに資金の流出を許してしまったとすると、Ethereumの一般からのイメージに大きな汚点(ハッカーに資金をとられてしまったのに、それに対して何もしなかった)や悪い印象を永久的に残してしまうことになる。

 

Ethereumの最終的な価値を決めるのは、プラットフォーム上の様々な分散アプリケーションである。それらを守るためにコミュニティーの決断によりハッカーなどからの攻撃に対する耐性を証明できるのは、ある意味Ethereumの優位性を証明することにもなる。

 

5.Casper(Proof of Stakeへの移行)を守るため

もしハッカーにネットワーク全体の5%以上のEtherを保有させてしまったら、Proof of Stakeへの移行が難しくなる。将来的に計画されているProof of Stakeへの移行を守るためにもハードフォークが必要だ。

 

6.Ethereumというイノベーションを守るため

Ethereumはまだまだ幼く未熟なプロジェクト。失敗はつきものだし、これからも失敗はあるだろうが、失敗から学んでネットワークが成長していけばよい。

 

今回のような事件の後に、失敗した人たちを辱めるのではなく、責任感やサポートなどを示すことで、プロジェクトやネットワークとしてもより強固なものになっていくはず。

 

また、今回の件をハードフォークをすることできれいに解決し、成長の阻害要因を取り除くことで、Ethereumはさらに飛躍できる。

 

 

上記が元記事の主なポイントです。より細かい説明は元記事を読んでください。

 

上記に加えてEthereumのハードフォークに関する要因として重要なものとして、Ethereumはビットコインと違って「レジャーの状態」(State)を記録しているので、ハードフォークするとしてもThe DAOに関連しないトランザクションは影響を受けない「クリーンなハードフォーク」ができるといういことです。(それに対してビットコインは、今回のようにハードフォークで特定のトランザクションを救済するには、さかのぼって他のトランザクションもロールバック(巻き戻し)しなくてはいけないので、影響がより大きい)

 

 

自分の考え

 

冒頭で述べた通り自分はハードフォークには反対ですが、上記のような賛成派の主張も理解できなくはありません。が、同時に上記の記事のそれぞれの全てのポイントについても賛成しかねますし(むしろ読んでてイライラするくらい)、どちらが間違っている、正しい以前の前に根本的に前提や考え方が違う気がします。

 

今回のThe  DAO事件、その後のEthereumコミュニティーの対応、そしてハードフォークの満場一致の賛成をみるにあたり、EthereumコミュニティーにとってEthereumとは、ビットコインのような改ざん不能な分散プロトコルである前に、開発者用のスマートコントラクトプラットフォームであるということがわかったと思います。

これはどちらが正しいかはわかりません。漫画とかでよく出てくる、「母親の前に女」なのか、「女の前に母親」なのかとかそういうレベルの信条の違いな気もします笑

 

自分含めたビットコイナーにとっては、ブロックチェーンとは分散プロトコルであることが全ての前提と最も重要な価値であり、それを毀損する可能性のあるハードフォークは文化的に許容されません。それに対し、Ethereumにとってはそれは必ずしも最も重要なポイントではないようです。開発者が安心して多様な分散アプリケーションを作れるプラットフォームを目指しており、それを守るためにはコミュニティーの判断とEthereum Foundationのリーダーシップと信頼によりプロトコルレベルでの変更も辞さないわけです。

それがEthereumにとって長期的に正しい判断・価値観なのかはまだわかりませんが、今回の件でその価値観の差がこれ以上なく明らかになったと思います。Ethereumはビットコインのライバルとかビットコインを超える存在という声もThe DAO崩壊の前には言われたりすることもありましたが、ビットコインとEthereumはそもそも全く異質なもの、そしてその違いは、Ethereumのハードフォーク後これからもっと広がっていくのかもしれません。

 

そして自分は、最終的にはビットコインが示した価値観こそが革新的なもので、その理想を実現するのはものすごく難しいけど、重要になっていくんだろう、と改めて感じました。


それでは。

 

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詐欺コインの見極め方と信頼リスクとビットコイン

IndieSquareの公式ブログで、カウンターパーティトークンの悪用に関する記事が出ています。

medium.com

 

簡単に言えば、特に価値のないコインをカウンターパーティで作って、将来の約束をしたり(このコインを持って入れば将来的にサービスが無料で受けれます)、もしくは価格が上がることをほのめかして(ビットコインやEtherのように価格が爆上がりしますよ)コインを売ったりするようなケースですね。

 

こういうこと自体は前から国内だとRippleのIOUなどでもあり、珍しいことでもないですし、最終的には各自が気を付けることを注意喚起するくらいしかできないですが、実はこの詐欺コインのケースってビットコインやブロックチェーンと信頼のリスクなどのもう少し大きな話にも通じることがあると思ったので、思ったことを書いておきます。



ビットコイン、ブロックチェーンに関する勘違い

 

詐欺コインもそうなんですが、そもそもビットコインやブロックチェーンに関するメディアや場合によってはいわゆる「識者」も勘違いしていることなんですが、

 

1.ブロックチェーンを使っているから信頼が不要というわけではない

よくブロックチェーン技術を使うことで信頼が不要にとか、改ざん不能性が、とかいう記事なども見ますが、これは完全な間違いです。トランザクションをブロックに格納してチェーン状につないでいくだけで信頼不要(そしてつまり改ざん不能)になるわけではありません。

 

ビットコインが信頼不要と言われるのは、「ビットコイン」というネットワーク内のトークンによるインセンティブとマイナーの利益追求によるマイニングの仕組みが機能することで、ネットワーク自体が分散的に絶妙なバランスによって成り立っているからです。(これについても実は批判はありますが、とりあえずここでは流しておきます)

 

一方、企業がブロックチェーンを使おうが、企業を信頼しなくてはいけないのは基本的には変わりません。これに関してもビットコインのブロックチェーンへ定期的に情報をアンカリングすることで、改ざん不能性を付与しようとする手法などもありますが、最終的に企業がチェーンを管理してて、そこに信頼が必要だったり、信頼を裏切られるリスクが存在するのは多分永遠に変わらないでしょう。場合によってはブロックチェーン上の情報を書き換えるのだって設計によっては問題なく出来てしまうでしょう。

 

詐欺コインの場合も、ブロックチェーン上のトークンを使っているから信頼が不要とか、分散化されているとかいって詐欺コインを売っている人もいるかとは思いますが、これは明らかに間違っていますよね。(ある意味こういう間違ったメッセージを送っているメディアも同罪かもしれないですが…)

カウンターパーティでトークンを作っても、トークン自体がビットコインのような分散通貨の特徴まで引き継ぐわけではなく、トークンに使い道や価値があるのかは完全にトークン発行者への信頼に基づいています。

 

 

2.発行者が設定する価格と実際の市場価値は違う

 

もう一つは、コインの発行者や販売者が設定する価格と実際のコインの価値や市場価格は違うということです。

こんなの当たり前だろと思うかもしれないのですが、案外見落としていたり、勘違いしていたりする人がいたりするんですよね。

 

例えば、自分が「KUSOCOIN」というコインを作って、一枚100円で売りに出していたとでもしましょう。「今後100円以下で売ることはないから、絶対に損をすることはない」とか「購入価格より価値が下がることはない」とか言っていたとしましょう。

 

ただし、この価格は自分が勝手に設定しているだけで、実際にKUSOCOINでできることやユースケースがなければこのコイン自体の実際の価値はゼロですよね?購入時に騙された人が1コイン100円の価値があると勝手に信じているだけで、もし誰もこのコインを自分から買い取りたい人がいなければ、市場での価値はやはりゼロです。たまにコイン自体には何も価値がないけど、みんな騙されていたりハイプのおかげで何も価値がないコインに市場価格がつくこともありますが、長期的にみると使い道や有用性のないコインの市場価値はゼロです。

 

カウンターパーティのトークンだと良かれ悪かれ独自トークンのブロックチェーン上での分散取引が可能なので、KUSOCOINでもきちんとしたプロジェクトに使われているコインでもユーザー同士のトレードが可能になっているので、コインの市場価値というのが大体ついてしまいます。

なので、もしコインの価値が上がるとか言われてコインを売り付けられたり、好きな時に売れると言われても、そもそも二次市場で価値がついているのか、売ろうと思った時にちゃんと売れるのか、などの逃げ道があるのかは重要でしょう。詐欺コインのたいていは売っている人が価値があると言ってるだけで、実際には流通もトレードもできないものの方が多いと思います。(もしくはある時まで買い取りをしていて、ある時突然消えるか。典型的なポンジースキームというやつですね)

 

信頼リスクとやばいプロジェクトの見極め方

 

さて、こてこての価値のない詐欺コインを騙されて買っちゃう人たちはこのブログ読んでる人ではそんなにいないとは思いますが、実はもっと厳しい見方をすれば、よく仕組みがわかってないコインや、信頼リスク(というのが適切かはわからないですが)が高いコインをたくさん買ってThe DAOのような事件の被害に巻き込まれてしまうのは、詐欺コインをにぎらされているのと本質的には実は大して変わらないと思います。

例えば、先月派手にやらかしてしまったThe DAOというプロジェクトですが、コアなビットコイナーはそもそもICOで多額の資金を調達し始める前からかなり懐疑的に見ている人が多かったです。


懐疑的な人は必ずしもThe DAOの投票や分裂の仕組みを理解していたわけではないのですが、詐欺コインの話のように、このプロジェクトは誰に信頼を置く必要があるのか、どこで信頼を裏切られる可能性があるのか、という観点から考えると、細かい仕組みを理解しなくても実はかなりリスクが高いというのを理解しているのです。(実際ビットコインやブロックチェーンにどっぷり浸かっている人たちは「信頼」という部分に関する反応はめちゃ高いです)

より具体的に言えば、The DAOの場合、いかに自律分散組織だと言ったとしても、その裏にコードを書いている人、サイトなどを運営してプロモーションしている人、The DAOを作ることで得をする人たちは誰なのか、などを考えていると色々リスクも見えてきたと思います。

コードを書いているのはSlockだけど、彼らは本当にきちんとしたコードを書いているのだろうか、書く実力はあるのだろうか、きちんとコードレビューしているのだろうか、彼らの言葉はどこまで信じられるのだろうか、Slockは分散組織だと主張しているが、そこをテコにあおりすぎではないのか、そもそもなぜSlockはスマートロックの会社だったはずなのにわざわざDAOというものを作ったりしてこんなにプロモーションしているんだろうか(彼らのモチベーションは?)、投票を煽って投資されたプロジェクトがあったとしても、果たしてそういうプロジェクトはきちんとビジネスを実行して収益をあげられるのだろうか、どこまでそれぞれの提案者のコードを信頼できるのだろうか(自分でチェックできるはずもないし)、などなど。

…などなど。こんな風にごちゃごちゃ考えていくと、Slockに対する信頼をかなりしなくてはいけないですし、提案者やどっぷりプロジェクトに投資していたEthereum Foundationのメンバーなどにも実は結構大きな信頼を置かなくてはいけないことに気づくと思います。

 

結果としてThe DAOは思ったよりずっと早く崩壊してしまったのですが、これは後出しじゃんけんで言っているわけではなく、ICOの前くらいから主張していることと、やっていることの乖離や信頼や期待が裏切られるリスクは見えていました。(まああんな最悪な結果になるとまでは思ってなかったですが…)

 

つまり何が言いたいかというと、明らかな詐欺コインでなくとも、同様に中央集権化していたり、信頼が裏切られるリスクが大きかったり、インセンティブ構造的に欠陥が見られるコインやプロジェクトは結構あるということです。そこらへんのリスクをある程度理解した上で、アップサイドに賭けて投資するのは全然問題ないですし、リスクがないものはもちろんないのですが、「このプロジェクト大丈夫なのだろうか?」「どこで失敗する可能性があるのだろうか?」と考えるときに、どこに信頼を置く必要があるのか、と考えるのは結構いいコンパスになると思います。

 

ビットコインと信頼の分散化

 

最後にビットコインの話に戻しますが、自分も含めたビットコイナーという人たちの多くがビットコインをなぜここまで評価しているかというと、PoWのマイニングやブロックチェーンの仕組みなどを組み合わせることで、この信頼という概念の必要性を極力まで排除したネットワークとして成り立っていて、実際に機能しているからです。

もちろん、マイニングの産業化、中国への一極集中、ビットコインコア開発者の独裁への懸念、などなどビットコインの問題点も少なくないですし、改善すべきところは多く、もしかしたら上記のような理由で完全に失敗する可能性もあると思いますが、それでもやはりビットコインとEthereum、もしくはその他のパブリックチェーンと比較してもこの「信頼の排除」という点でビットコインの比較になるものはありません。EthereumもThe DAO事件の後始末で分散化などに関して大きな課題を突き付けられており、中央集権化しているとも言える現状を批判されてますよね。

 

まあ、だから、自分のバイアスを意識しつつも、やっぱなんだかんだビットコインってよくできてるなーと思いますし、Altcoinをいじったり、Private chainをいじったりしている人たちも結局ビットコインが一番よく出来てます、とビットコイン回帰する人が多いのもここらへんが主な要因でしょう。

 

最後に

 

ちょっと論理が若干もやっとしててあまりわかりやすくなかったと思いますが、まあ個人的な考えとして共有しておきます。

詐欺コインは何を言っても残念ながらなくなることはないので、結局それぞれのリテラシーを高めて、さらに特にやはりこの「信頼」という概念についてもう少し敏感になった方がいいんじゃないかな、と思います。このコインやプロジェクトは信頼できますか、というYes/Noの質問をするのではなく、信頼が裏切られえるポイントはどこなのか、裏切られたら最悪どうなるのか、などちゃんとしたプロジェクトかどうかは別として常に信頼リスクを見積もるのが事故を防ぐポイントかな、というのが自分の今までの経験からの教訓です。


ビットコインの革新性もこの信頼の分散化というのが最も大きなポイントと言えますし、詐欺コインは笑いつつも、信頼リスクにまみれたコインやプロジェクトを盲信してGoxしてしまうのも、本質的にはあまり変わらないので。

 

とりあえずみなさん、Goxしないようにお気をつけください笑人の振り見て我が振り直せなので、自分ももちろん気をつけますが。

 

それでは。


(ちなみに一応言っておきますが、このブログでやっているCNPCOINというのも、完全な信頼に基づいてますし、自分がもうめんどくなったらやめたと言えばそれまでのただのおまけトークンみたいなものなので、やはり値上がりを期待して投資したりするのは間違ってますよね。)

 

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スイスでビットコイナーと全然会えなかったけど、何となくスイスは来そうだと感じた話

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The DAOとかBrexitとかあって気づいたらもはやスイスに行ってたことをほぼ忘れていたくらいですが(笑)、スイスでビットコインやブロックチェーン関連の情報収集はどうなったんだよ、って話の記事です。めちゃくちゃ遅くなりました。

結論から言うと、スイスでビットコイナーとは全然会えませんでした!


なんだ使えねーなって感じですが、ちょっとこれにはある程度言い訳ができるので、スイスの事情やちょっと面白いエピソードを代わりにいくつか紹介します。

 

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(ちなみにスイスでもWagecanのビットコインデビットカードだけで生き残りました。マスターカード行ける店は全部問題なく使えましたし、現金引き出しも問題なく出来ました。)

 

スイスという国の特徴

 

自分がスイスにいたのは1週間ほど、しかも南部のジュネーブという街のみなので、スイスとはこういう国だとは到底語れるものではないですが、自分も知らなかったこと含めちょっとした国の事情の説明を。

日本では永世中立国とか、金融が発達している国とかそういうイメージが強いと思いますが、多分ビットコインとかブロックチェーンビジネス含め、スイスという国の重要な要素として、めちゃくちゃ国際色豊かなんですよね。

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 (ジュネーブではフランス語が公用語。ボンジョールとメルシーしかわからず終い笑)

 

もっと具体的に言えば、スイスの北部ではドイツ語が主要に使われる言語で、自分がいたジュネーブなどの南部ではフランス語が主流です。北部の人と南部の人がコミュニケーションをとるときは英語が使われているようですが、一つの国の中でも言語も文化も大きく異なるようです。北部の人はドイツ人っぽい気質で結構きっちりしていて、南部の人は南欧っぽくもう少しゆったりしているとかなんとか。

 

またスイスにはヨーロッパ中から色んな国の人たちが移り住んできており、フランス、イタリア、ポルトガル、ドイツ、スペイン、アルバニア、など、もはや日常的に5か国語以上が飛び交っているというそんな感じの場所でした。

 

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(ちなみになんかこういうパンとかを結構食べてました。途中で自分はラーメンが食べたくて仕方なくなってしまったんですけどね笑)

 


自分がスイスついた時にたまたまユーロ2016(ヨーロッパの国対抗のでかいサッカーのトーナメント)が始まったんですが、スイス戦より、フランス戦とかポルトガル戦の方が見に来る人多いくらい、色んな国の人たちがごちゃ混ぜに仲良く暮らしているという感じでしたね。余談ですが、ポルトガル人とかスペイン人はとりあえずもうサッカーに熱中しまくってて、自国が点数を取られると本当に泣いて崩れ落ちそうになっちゃうみたいなったり、勝ったら勝ったで町中でクラクションをバンバン鳴らしてたり、まあなんかTheヨーロッパみたいになってました笑
(実際自分もビットコイナーとも話せなかったので途中からただのユーロを見に来ている人みたいになってましたw)

 

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(サッカーの試合を見に来ている人たち。列がディズニーランド状態になってます)

 

ビットコイナーと全然会えなかった理由


さて、こんな感じで色んな言葉が飛び交い国際色豊かで、小さな国ながら地方によってまた特色が全然違うスイスなんですが、自分が今回全然情報収集が出来なかったのも自分の怠慢もありますが、実はここらへんの事情が関係します。

今回現地のビットコイナーに色々話を聞こうと思い、まずSpells of Genesisの開発もしている、スイスのジュネーブに拠点を持つEverdreamSoftの人たちに誰か知らないか聞きました。日本などの場合は事業者同士は大体つながっていることが多いので、誰か一人に聞けば芋づる式でどんどん話を聞けるかな、と思ったからです。ちなみに台湾とかもこんな図式で結局業界内のほぼ全ての人たちに話を聞くことが出来ました。

 

しかし、自分的にはちょっと意外だったのですが、答えは「ほとんどスイス内の事業者は知らない」、といったものでした。よくよく話を聞いてみると、ジュネーブはフランス語圏内で、チューリッヒなどの北部のドイツ語圏内の企業やプロジェクトなどとお互いあまり交流がないということらしいです。これは基本的に一つの言葉で津々浦々話が問題なく通じる日本みたいな国とは全く違う現象ですね。

また、スイスにはXapoとかShapeShiftとか、ビットコイナーなら聞いたことのあるような企業も本社を置いてあるはずですが、それらの会社も必ずしも運営の拠点がスイスにあるわけでもないようで、出たり入ったりみたいな会社の方が多いようで、スイス地元密着というわけでもなく、例えばスイスのビットコイン業界事情を探りに仮にXapoに話を聞きに行っても、もしかしたらあまり有用な情報は得られないのかもしれません。

もう一点面白かったのは、日本にも台湾にもシンガポールにもいるのですが、顔が広くていい意味でおせっかいな現地ビットコイナーというのが自分が今まで行った国にはいましたし、スイスにもそういう人たちがいるのではないかと期待してました。なんかほぼフルタイムで色々ビットコイン系のことやってて、「この人普段どうやって生活してんだ?」みたいな謎な人たちです笑

しかし、実際スイスのチューリッヒ周辺でミートアップを主催している人たちに連絡したのですが、なんか本業で忙しくて時間が中々作れない、という感じでしたし、しかも特にスイスの業界でみんなを知っていて顔が広い、という感じでも全然ありませんでした。これは冷静に考えるとまっとうなことで、「え、平日昼とかに他のビットコイナーに紹介してくれるとかいう展開ないの!?」とか思ってしまった自分のビットコイナーという生き物に対する認識が多分おかしくなってたのでしょう笑

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(ちなみに週末とかはこういう感じのサードウェーブカフェで意識高く働いてました)

 

まとめると、スイスのビットコイン/ブロックチェーン業界というのは、日本やその他の国のように現地の人たちが横につながっており、国内の市場を開拓するために小さいながらも比較的団結してやっているという感じでは全くなく、色んな企業が色々な国からスイスに集結して来ているものの、スイスの市場に興味があるわけでも、スイス内の他の企業と交流がたくさんあるわけでもなく、比較的みんなバラバラにそれぞれのことをやっているという印象です。

 

ビットコイン、ブロックチェーンはどれくらい浸透しているのか?

 

上記の要因などもあり、今回スイスのビットコインやブロックチェーン事業者に直接色々話を聞くことに関しては失敗しました。が、ビットコインやブロックチェーンのスイスでの浸透度の高さを示すエピソードにはいくつか遭遇しました。

 

まず予備知識として、スイスは法制度なども整えて、国際的なビットコインやブロックチェーン開発、企業、イノベーションのハブになろうとしている、というような報道が頻繁に出ます。また、ブロックチェーン関連のカンファレンスや会合などスイスで行われることもかなりあるようで、スイスという国のビットコイン/ブロックチェーン業界内での特異なポジショニングは日本にいても感じます。

ただし、シンガポールに行った時のように、実際に現地に行ってみると、宣伝されているほど盛り上がったり浸透している感じはない、という可能性もあると自分は思っていましたし、スイスも結局政府とかの宣伝やPRが先行しているのかと想像していました。が、どうやら実際にブロックチェーンという言葉や技術の浸透が思ったよりすごいということが今回わかりました。


まず一番驚いたのは、ビットコインとかブロックチェーンとか全く関係ない一般の人たちも、普通にビットコインとかブロックチェーンとかEthereumとかそういう単語を聞いたことがあって、しかもある程度理解しているだけでなく、かなり好意的な印象を持っている人が結構いたということです。

 

自分はたまたま現地の全く仕事とは関係ない人たちと街頭スクリーンでサッカーの試合を見に行く機会があったんですが、その時に「仕事は何やってんの?」ということを聞かれました。

 

 

日本で同様のことを聞かれると、もうその後二度と会わないような人相手だと、説明も面倒なので、「無職」とか「フリーター」とか「ニート」とか言うこともありますが(嘘つき笑)、それでも突っ込まれるとFintechとかIT系とかなんか適当なことを言います。Fintechという言葉が嫌いだと普段から言ってるにも関わらず、私生活ではばっちりFintechという、もはや何を意味しているかもよくわからないバスワードに頼っている自己矛盾です笑つまり、それだけ日本ではMt.Goxの件の影響などもあり、無知や勘違い、ネガティブな思い込みがまだ一般レベルでは浸透しているということです。

 

話はスイスに戻りますが、スイスで出会った会計士の若者たちにも仕事は何?と聞かれ、同じような感じでFintechとかIT系とかそんな感じで答えたら、具体的には?と結構突っ込まれたので、まあいいか、と思ってビットコインとかブロックチェーンとか白状?しました。そしたら反応がすごい意外なもので、「ブロックチェーン知ってるよ」「こういう仕組みのものでしょ?」「ブロックチェーン専門で仕事してるんだ、かっこいいね」みたいな本当にお世辞ではなくかなりポジティブなリアクションをされ、ビットコイン、ブロックチェーンについて色々質問されたり、自分がメインでやっているトークンの話などを結構詳しく説明したりしました。理解度や興味の高さ、そして何よりネガティブなイメージや偏見が全くなく一つの技術や領域として好意的に評価されていることにびっくりしました。その場に4人いたうち2人はある程度以上の理解度を持っていて、1人はEthereumなども知っていました。

 

同様に、こちらもビットコイン、ブロックチェーンは本来あまり関係がないコワーキングスペースに関するちょっとした講演会みたいなものにも参加したのですが、講演会後も何人かに、3年前から友達がすごいすごい言ってるのだが、いまだにピンと来ないんですが、とか、ビットコインとブロックチェーンの差がわからないのだけど何がどう違うのか教えて欲しい、とか、なんか自分のコワーキングスペースでも何かやりたいのだけど、どうすればいいでしょうか、とか一般人レベルの人たちへの浸透度だったり積極性が1週間の短い滞在の間でも感じられました。

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(コワーキングスペースのイベントで、コワーキングスペース用にコインを作って運用してみたらどうだろうっていう話だったようです。EverdreamSoftの代表Shabanが話をしてます。)

 

なんでここまで浸透しているのかについては自分は確証はありませんが、スイス在住のエンジェル投資家/プライベートバンカーの人と話をしていたら、「スイスは小さな国だけど、昔からプライベートバンキング、時計、製薬など成長が見込めるニッチな分野に国総出で柔軟に対応、特化していく柔軟性や先見の明があって、Fintechやブロックチェーンに関しても本気だ。断言できるけど、スイスはこの領域でトップのポジションをとることになる」という旨の発言があり、なんかかっこいいな、と思いました。この発言の裏を取るほどの情報は収集出来ませんでしたが、様々な文化や企業が集まる国際性、政府からの支援などもあり、ブロックチェーン技術への積極性や一般にも広く浸透し始めているところなど、スイスの底力の一端が垣間見えた気がします。

 

最後に

というわけで今回は全然スイスの企業に話は聞けなくて、ある意味情報収集という点では失敗だったのですが、暗号通貨、ブロックチェーン、Fintechという概念の浸透度に驚かされるという経験はありました。(そしてユーロの盛り上がり具合も笑)

 

今まで自分が行った国だと日本の方が進んでいる国の方が多かったですが、スイスに関しては全体像はまだ見えてないんですが、多分日本より進んでいるんだろうな、という印象は受けました。国内に拠点を置いている企業同士の交流もそこまでなく、ある意味バラバラなのですが、それだけ海外を主戦場として国際的に活躍している企業が多かったり、変な業界内政治とかもなく、もしかしたらこれがより成熟した業界の姿なのかもしれません。分散業界、分散国家の先駆け的な笑

 

結局今回自分は北部のチューリッヒのエリアには行けませんでしたが、仕事とかでまたスイスに行くこともありそうですし、次回もう少し現地の人たちと交流したり、リベンジしたいですね。

 

それでは。

  

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