ビットコインダンジョン2.0

Bitcoin (ビットコイン)やブロックチェーンを技術に詳しくない人たちのために、面白おかしく、そして真面目に語ります since 2014

Lightning Networkのユーザー体験から見た課題と今後の展望

いやー、最近はLightning調べるのにどっぷりはまっています。他にも色々やっているので、本当はもっと時間をとって細かい部分を理解したり、新しいウォレットやサービスの実験をしたいのですが、休日の趣味でLightningについて色々いじっているような状態です笑

 

そこで色々本格的に調べたり、いじったり、どういうサービスや改善が今後必要になってくるのかを考えているのですが、今回特にユーザー体験の観点からLightningが現状ではどういう問題を抱えているのか、今後どのような改善が考えられるか、そして開発者だけでなく、ビジネスマンや投資家、企業などがLightning Networkを初めとしたセカンドレイヤー技術に早いうちから注目すべき理由、ということで、ビットコイン研究所のサロンの方でレポートを書きました

 

こちらのブログでも一部要点の紹介と今の個人的な見通しを簡潔に書いておきます。

 

Lightning txと通常のオンチェーンtxの違い

 

Lightning txと通常のオンチェーンtxは支払いのフローやステップがユーザー体験的に全然違い、オンチェーンtxに慣れている人でも最初は戸惑うことが多いと思います。

 

オンチェーンtxが相手のアドレスさえ知っておけば、ビットコインやその他のトークンを送り付けられるの対し(プッシュ)、Lightningの方はInvoice(請求書)形式なので、受取り側と送信側のコーディネーションコストが少し高くなっています。これは送る時に相手側がオンラインであることが必要なども含め、LN送金やウォレット、サービス構築する上の基本的な違いになります。

 

ちなみに最近Lightning関連のウォレットがどんどん出てきているのですが、それぞれの開発者がどのように最適なLNウォレット体験を提供しようと実験しているのかを見て考えるのが最近の自分のもっぱらの喜びの一つですw

 

現状のLightning Networkのユーザー体験の主要な課題

 

Lightningのポテンシャルや現在進行形で新しい技術やウォレット、ユースケースなどがどんどん登場してきている現状に自分個人としてはものすごい期待をしているのですが、同時に今のままのLightning Networkではユーザビリティ上の致命的ともいえる課題がまだまだ多いです。以下に大きなものを簡潔に紹介します。(研究所の方のレポートではそれぞれ詳細に解説しています)

 

  1. LNチャネル上の流動性の問題

    LNの仕組みとして、事前にある程度の金額をデポジットする必要があることはすでに知っている人が多いと思います。Suicaに事前チャージして、その分電車や自販機で高速に使えるようになるイメージですね。これは割と直感的です。

    問題はLNの技術の仕組み上、チャンネルにためている金額≠自分が実際に送れる金額、ではない、ということです。これは中継するハブに貯まっている金額やお金の流れの方向性が関わっていたり中々複雑なのですが、ユーザーにはこれは非常にわかりづらいと思います。0.1btcチャンネルにデポジットしたからこれを丸々送りたいのに、実際に送れるのは0.01btcまで、みたいな感じですね。


  2. チャンネル構築時の混乱

    LNは事前に複数のチャンネルを色んなハブと空けておくことで、LN上でつながっている人(ノード)の数が増えるのですが、どのノードにつないでおくべきか、どうすれば効率的か、というのはユーザーからはぱっと見全然わからないです。

    通常のオンチェーンTxだと、特に何も考えずに相手のアドレスさえわかれば、自分の持っている残高の送金は出来るのですが、LNの場合はもう少し複雑で事前にどのノードにいくらのBTCをデポジットしておくのか、というのを今の時点ではユーザーが能動的に考えないとまともに送金も出来ません。

  3. バックアップの問題

    通常のオンチェーンウォレットだと、12文字、もしくは24文字のパスフレーズを保管することで、スマホ端末などを紛失しても中のコインを復元することが出来ます。大部分のユーザー(というかこのブログの読者なら)これはすでに慣れていて問題ないと思います。

    ただし、LNウォレットの場合はこちらのパスフレーズに加えて、LN上のチャンネルの最新残高をそれぞれ保管しておく必要があり、バックアップのオーバーヘッドコストが高くなり、今のところはそういうのを快適に提供しているウォレットやソリューションもありません。

    秘密鍵なくしたら中身Goxだよ、というのすら人類に早すぎる、という指摘もある中、それに加えてLightningの最新ステートは暗号化して複数のサーバーに分散保管しなくちゃいけないよね、というのは結構つらいですし、場合によってはステートの保管サーバへの信頼が発生する部分が必要になったり、ハードルはまだ高めです。


などなど、他にも細かいユーザビリティ上の課題は色々あり、まだまだ一般のユーザーどころかある程度慣れているユーザーにも普通に使うのはレベルが高いのは事実です。同時に上記のような問題を克服するための基礎技術も色々研究、提案されており、上記問題の大部分は最終的には解決されるのではないか、と自分は考えています。


また、基礎技術だけではなく、Lightning上の超少額課金を利用したSatoshi's placeなどのLightningゲームも複数出てきており、ユーザー間、企業とユーザー、企業間の間で実用的な双方向の少額課金ネットワークが出てきた時に、そこに新しいサービスやコミュニケーション、経済圏の形が自分の中でも少しづつ見えてきている感覚があります。何よりこのボンボン次から次へ、新しいタイプのもの、今までの技術では出来なかったコンセプトが立ち上がってきており、非常に今楽しいです。

感覚的にはまだトークンを利用したアプリケーションや応用例がまだほとんどなかった2014年くらいにトークンをいじっていて、「これはすごい」「すごい色んな応用が考えられるぞ!」と勝手に興奮していたくらいの時に近い感覚を今持っています。

(ちょうど今日たまたま、初めてこのブログで記事を書いたつくばのカフェにいます笑)

今後ブロックチェーン関連のアプリケーションがセカンドレイヤーにどんどん移行していくことが想定され、出来るだけ早くこの動きにキャッチアップするだけでなく、どんなものが今後作られているのかを予想しつつそこの領域を作っていけるようになれればめちゃくちゃ面白いことが出来るだろう、と今考えています。これらの動きは開発者や自分のようなビジネスデベロッパーだけでなく、投資家や大企業なども見逃してはいけないトレンドになると思います。

 

というわけで、まだ難解であるのは間違いないですが、非技術者とかにもある程度わかるようにまとめたので、興味がある方は是非ビットコイン研究所への参加もご検討ください。

 

P.S.

というわけで心機一転!このブログのタイトルも「ビットコインダンジョン」から「ビットコインダンジョン2.0」に改称することにしました!笑

この謎の2.0は、昔からの読者なら覚えているかもしれませんが、昔使っていた「ビットコインを語ろう2.0」の2.0は、「ビットコイン2.0」つまり、送金だけでなく、トークンなどのブロックチェーン応用の2.0の意味ででした。

 

今回の2.0はセカンドレイヤーの2.0。これが今後3.0、4.0になっていくのか、それともまた気分で名前が変わるのか、自分でもまだわかりません笑最近ブログ更新が全く出来てなかったのですが、出来ればこれからもうちょいこっちの更新も頑張りたいので、色々と引き続きよろしくです。