ビットコインダンジョン2.0

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リップルトレード運営中止 そもそもRippleとBitcoinの違いは?

今日はRipple Labの公式サービスだったRipple Tradeが来年から使えなくなるというニュースで小さな国内のビットコインスペースがちょっと盛り上がってました。

速報記事は、CCMのこの記事、またもう少し詳細な今回のRipple Labの決定が何を意味するかというのは大石さんのこの記事を参考にしてください。

 

さて、上記大石さんの記事が非常によくまとまってたと自分は思ったのですが、同時に多分これだけ見てもちょっと難しいとか、なんだかよくわからないという人もいると思います。

 

日本ではRippleはかなり人気があるようで、使用している人も少なからずいるようですが、そもそもBitcoinとRippleの差がわからないとか、一般メディアでも「ビットコインを超える第二の暗号通貨リップル」(リプル?笑)と言った感じのよくわからない釣り気味の記事のタイトルが少し前に出たり、なんだかそもそもの基本的なところを正しく理解している人もそんなには多くない気がします。

 

自分も正直に言ってしまうと、そこまでRippleに詳しいわけではないですが、そもそもBitcoinとRippleは似て非なるものだということ、そして今回のニュースがビットコインにとってどういう意味があるのかというのを簡単に説明します。なお、自分よりRippleに詳しい人はいくらでもいるので、あくまで根本的な違いを噛み砕いて説明することに特化するので、もし細かい部分で何か間違いがあれば、気づいた人は是非教えてください。

 

1.マイニングに相当する部分が全然違う

 

ビットコインのマイニングについてはすでに理解している人も多いと思いますが、平たく言えば、マイナー同士の計算力勝負、よりどちらが効率よくマシーンを稼働させて電力を消費するかという戦いです。詳細はこの記事では省略しますが、このような仕組みを採用することで、ビットコインネットワークは分散的な仕組みを実現、維持しているわけです。世界中にマイナーが散らばっていて、いわゆる管理主体がいない、つまりビットコインネットワークをコントロールする単独の機関などがいないということです。


ビットコインに関して言えば、この分散ネットワークこそが革新性で、スピードが遅い、手数料が高いなどと言われることもありますが、Proof of Workを利用したマイニングが機能する限り、ビットコインの分散されているという性質こそがビットコインの存在意義なわけです。

 

一方、Rippleはマイニング(コンセンサス形成)の部分がビットコインとは全く違います。自分が理解する限りではRipple上でのマイニングに当たる承認作業の部分は現在Ripple Labがコントロールしており、Ripple Labへの信頼なしでは成り立ちません。つまり、ビットコインと違い、Rippleには管理主体(Ripple Lab)がいるわけです。

 

では、管理主体がいるのが問題なのかというと、必ずしもそうでもないわけで、Ripple Labが信頼出来て、彼らが不正などを行わない限り、ビットコインのPoWよりずっと高速で、格安な送金が出来るわけです。つまり「信頼できる管理主体への依存リスク」と「コスト、スピード」のトレードオフのような形になっているのです。

この関係はRippleだけでなく、実は他のAltcoin、Permissioned Ledger全般にも当てはまります。ビットコインより安くて速いと言っているAltcoinのほとんどは、セキュリティーや中央集権化のリスクなど他のところで何かしらのリスクを背負ってるわけです。


簡単にまとめると、ビットコインは分散化されていて信頼する機関不要で動くけどコストやスピードの制限がある。RippleはRipple Labへの信頼が必要だけど、コストやスピードでビットコインより優れている部分もあるとでも言いましょうか。で、この違いはトランザクション承認作業(マイニング)の仕組みがBitcoinとRippleでは根本的に違うから、くらいの理解で十分でしょう。

2.ユースケースが全然違う

 

マイニングの仕組み(スピード、コスト、信頼)に加えてもう1つ大きく違うのは、BitcoinとRippleではそもそも目指しているもの、ユースケースが全然違います。

 

ビットコインは、デジタルキャッシュとか言われますが、基本的には非常にシンプルで、「誰にも管理されない、インターネット上でユーザー同士が直接送り合える現金」という感じのコンセプトです。

 

一方、Rippleは現金というより、「色んなタイプの借用書(IOU)のトレードプラットフォーム」と言えます。

 

こう言われると、何だかよくわからないかもしれませんが、別に大して難しい話ではありません。要は自分たちが普段友達とかとしょっちゅやっている、お金の貸し借りを管理、付け替えなどをRipple Labが管理する共有の記録手帳に書いていって、借金の金額を間違えたり、忘れたりしないようにできる、とでも言えばいいでしょう。

自分たちの記憶でこれを処理しようとすると「お前1万円貸してたよなー」とか「いやいやそんなたくさん借りてないだろ」とかそういう残念な展開になったことは誰でも絶対に一回はあると思います。

Ripple上での送金とは、そういう貸し借りの付け替えのようなものなので、ビットコインと違い、円でもドルでもビットコインでもユーザー同士で付け替えることはできますし、円とドルのIOU(借用書)をユーザー同士でトレードしたりすることも可能です。なので、ある意味ビットコインより柔軟で多機能とも言えるかもしれません。(もちろんこの利便性は1で述べたような、信頼リスクとのトレードオフになりますが)

 

という感じで、ビットコインがシンプルな現金を目指しているのに対し、Rippleはまた別のユースケースを想定していますし、最近では銀行などへのソリューション提供といったところに注力しています。そういう意味ではそもそもビットコインとは敵対関係ではないですし、ほとんどバッティングすることはないです。

 

3.今回のニュースが意味すること

まず今回のニュースがRippleに意味することですが、これに関しては冒頭で紹介した大石さんの記事が非常にまとまったいい考察になっていると思うので、そちらを読んでいただきたいです。

 

今回の件はRipple Labとしてはビジネス的な意思決定で、今後の銀行へのソリューションに注力していく中でXRPとかコンシューマー向けのツールというのは切り捨てていく方向だということでしょう。まあその点では価格予想とかをしてもあまり意味はないですが、XRPの価格という点では悪いニュースでしょうね。

 

では、このニュースがビットコインにとってはどういう意味があるのかですが、何だか今回のニュースでビットコインの意義も揺らぐ、とかビットコインも大丈夫なのか?とか言っている人もいたようですが、正直にいうとこのニュースはビットコインにとってはどちらかと言えばいいニュースです。

 

①で説明した通り、ビットコインの最大の意義は分散化されて特定の管理主体がいないということです。なので、今回のRippleの件のように、管理主体(Ripple Lab)の意志決定や大人の事情に巻き込まれてネットワークが使えなくなったり、口座を凍結されたりとかそういうことが、ビットコインでは起こりえないわけです。

 

今回のRipple Trade停止の件で、ビットコインの分散化された管理主体のいないネットワークという強み、しぶとさ、不変性、などをより意識した人もいるのではないでしょうか。

 

最後に

 

このブログではほとんどRippleについて書いたことはなかったですが、嫌いとかではなく、実際自分の理解度がそこまで高くないというところが大きいです。ただし、今回ちょっとRippleに関する大きめのニュースだったので取り扱ってみました。

 

個人的には今回のRipple Trade停止というのは実は残念だと少し思っています。XRP保有者もたくさんいますし、実際にRippleのトレード機能を活用してRipple Labがコンシューマー用に提供していたツールに価値を見出していた人もいたわけですし。まあ今回のこの動きを見ると、今後Rippleの一般ユーザーが増えていくことはなくなってしまうのではないでしょうか。

 

じゃあ今Rippleを今まで使っていた人はどうしたらいいのか。まあよくわからないですが、似たような仕組みとしてはご存知Stellarがありますね。他にも似たようなトレードの部分に特化したプラットフォームとしてBitSharesがあったり、Ethereumもいずれ同様の機能は追加されていくでしょう。

自分はCounterpartyというプロトコル中心に今色々やっていますが、Rippleと似たような使い方も出来なくはないですが、Bitcoinの制約がCounterpartyにも今のところそのままかかるため、Rippleのスピードとかに慣れている人にはちょっと使いづらいかもしれないですね、正直。

(本当は今日はCounterpartyとRippleの比較みたいな記事を書こうかと思ったんですが、挫折というかもっと基本的な話をすることにしました)

それでは。

 

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