ビットコインダンジョン2.0

Bitcoin (ビットコイン)やブロックチェーンを技術に詳しくない人たちのために、面白おかしく、そして真面目に語ります since 2014

技術的な話一切抜きで、スキャムICOかどうか判断する方法

正直言うとICOについて書くのは段々疲れてきているんですが(笑)、昨日「スキャムICOの見分け方」について書いたら面白いんじゃないかとふと思いました。

 

 

というわけで、書いてみます。

 

実際「このICOは大丈夫でしょうか?」とか聞かれることも少なからずあるのですが、自分も一部実践しているスキャムICOを見分ける方法について紹介します。

 

これはあくまで着眼点の一例で(+一部ちょっとネタ的ですが)当然全ての事例に完璧に当てはまるわけではないですし、科学的ではなく経験的なものが多いのです。ただし、細かい技術的な話や英語でホワイトペーパーを読んだりするのは苦手という人でも、スキャムICOに騙されないような予防や、時間をかけて調べるべきプロジェクトをフィルターしたりするのには役に立つと思います。

 

1.YoutubeやGoogle広告を出しているICO

これは別にYoutubeやGoogle広告を出すのが本来悪いことではないですし、一般企業でも広告手段の一つとしてよく使われるチャネルではあるのですが、Youtubeなどでターゲット広告を出しているICOプロジェクトでまともなプロジェクトを見たことは自分はないですし、経験的に避けた方がいいとアドバイスします。

 

ICOというのは元々リスクが高いものなので、そこをきちんと理解している真面目なプロジェクトは、リテラシーが高い層にきちんと技術的説明やロードマップを示そうとしているのですが、広く浅くターゲット広告などで「ブロックチェーンやばい」「ポテンシャルすごい」的なメッセージを送っているプロジェクトはスキャム(詐欺)的である可能性が高いです。

 

2.Vitalikと映ってる写真を勝手に掲載している

これはもはや界隈の内輪ネタの一つですが、Ethereumの創始者であるVitalik Buterinの許可を得ずに勝手に彼と撮影した写真を利用して、Vitalik公認のような印象を与えているプロジェクトは高い確率でスキャムです。しかも実際Vitalikとの写真を掲載するとICOの売上が爆上がるというトレンド(都市伝説?)もあるようで、どんだけ金のなる木なんだと苦笑

 

Vitalik picture with Primalbase

 (Vitalikとの写真を悪用していたと指摘されていた、Primalbaseというプロジェクト…)

 

3.インフルエンサーマーケティングをしているもの

これも一部話題になりましたが、Paris HiltonやFloyd Mayweatherなど、界隈と全然関係ない有名人を利用したマーケティングをするICOが出始めています。こういうのはまとめて全てスキャムの可能性が高いと判断していいと個人的には考えています。

 

 

4.ホワイトペーパーがないもの、ホワイトペーパーが無駄に長いもの

 

最近はホワイトペーパー作成代行サービスなどもあるので(もはやこんなサービスがある時点で爆笑ものですが)、ホワイトペーパーが存在しないICOは多分そこまで多くないと思うのですが、ホワイトペーパーがないものはスキャムICOの可能性が高いです。

仮に意図的に詐欺行為を働いているものではなくとも、そもそもプロジェクトの根幹であるまともなホワイトペーパーすら書けないプロジェクトは実力不足か、やる気がないかとしか思えないです。

また、ホワイトペーパーの中身はもちろん重要なのですが、正直詳細を理解するのが難しいこともあると思います。(自分もあります)

そういう時の判断基準の一つなのですが、ホワイトペーパーが無駄に長くまとまりがないものは、黄信号です。スキャムというか単純に実力不足というか。一般の企業などでも、企画書などを作るときに出来るだけ短く情報を集約すると思いますが、ホワイトペーパーにあまり関連性や重要性の高くないマーケティング的なことなどをつらつら書き連ねているプロジェクトはあまり筋が良くないです。

 

5.ネーミングセンスがないもの


これとかはまあ完全な経験則というか、もはや偏見かもしれませんが(笑)、ネーミングセンスのないICOはスキャムの可能性があります。

 

そもそも「Bit」なんとかとか、「Eth」なんとかとかのネーミングのプロジェクトがめちゃくちゃ多いのですが、マーケティングすらやる気がないというか、Bit系でまともなプロジェクトって自分は知らないんですが、どうでしょうか?笑

 

※全く別件ですが、OmiseGoって何なんだ、Goって。ポケモン意識してんの?笑

 

6.スキャマーと親交があるICO

 

これは鉄板ですが、いわゆるスキャマー(詐欺師)と親交の深いICOプロジェクトは無条件で避けた方が得策です。

実際そういうプロジェクトは結構あるのですが、日本だとすでに結構有名なスキャマーのネットワークと関係性のある海外プロジェクトなども少なからずあり、スキャムICOの判定に実は非常に役立ってます。

 

スキャマーは国内外に独自のネットワークを持っているようで、どんな理由であれスキャマーと仲良く写真を撮ってたり、怪しいお方がパートナーやアドバイザーとして参画していたりする時点でスキャムICOの可能性が高いです。

 

また、怪しいセミナーなどで売られているコインもスキャマーネットワークから卸されて来ているようで、気を付けた方がいいと思います。(最近だとNとかLとかすごい気になるんだよな…)
 

じゃあスキャマーかどうかどう判断するかですが、それはクリプトスキャム界の神、タヌ神さんベンさんでもフォローしとけばいいかもしれません笑 

7.スーツはスキャム 

これぞもはや完全な個人的な偏見な気もしますが、昔から「スーツはスキャム」という不文律がクリプト業界には存在します。(少なくとも自分の中では笑)

実際データがあるわけではないですが、スーツ族のICOの方がダサいTシャツ来てる人たちのICOよりスキャム率は圧倒的に高いと思います。

ただし別にスーツじゃないからスキャムではない、というわけではないのでそこは悪しからずw

 

8.顔面判定

 「スーツはスキャム」同様これも完全に個人的なバイアスな気はしますが、この「顔面審査」というのは実は結構重要だと思います。

 

やはり怪しい人たちは顔に出るというか、実際にスキャムICOではそもそもメンバーの顔というか面構えがなんか「むかつくな」というか「臭うな」というものが結構あります。(これ、わかる人にはよくわかると思いますがw)

 

ただしこれはわからない人はわからないと思いますし、顔面判定を第一判断基準にはしない方が当然いいでしょう笑ただし、ある程度スキャムプロジェクトのパターンとかに見慣れてくると、顔面判定だけで結構高い確率でスキャム判断できるようになるかもしれません。

 

9.関連性の低いパートナーやメディア実績などをベタベタのっけてるもの

 

これもアルアルですが、パートナーやメディア掲載などのバナーをベタベタのっけているものは(なぜか)、スキャムICOである可能性があります。

質より量というか、技術などの開発より無駄なメディア掲載(中には金を払ってメディアに無理やり掲載させるパターンもある)実績をでかでかとアピールしてるプロジェクトはあまり筋が良くないです。

10.無駄にたくさんの言語に翻訳されている

多数の言語に翻訳されているのは本来別にまずいことではなく、マーケティング努力とも見れますが、経験則的には無駄にたくさんの言語に翻訳されているプロジェクトはICOでコインを売る気だけ満々というか、中身があまりないプロジェクトが多い印象です。

 

11.プリICOがやたら有利

最近は本番のICOの前に、一部のパートナーや資格を満たした投資家にプリICOを行うプロジェクトが一般的になってます。

そもそもプリICOの存在自体に是非がありますが、プリICOの参加条件が異常に厳しかったり、めちゃくちゃ有利だったりするものはスキャムICOの可能性があるので気を付けた方がいいでしょう。

 

そもそも自分がプリICOに参加する側ならまだいいですが、圧倒的にプリICOで参加した人たちが有利になってしまうのなら、本番ICOに参加する意味も投資視点でもあまりない気がしますし、インセンティブ、ディストリビューションの設計を失敗している気がします。

 

12.○○業界専用のコイン系


これも以前からのICOコインのトレンドですが、○○業界、○○専門のコインというのは全般的に筋が悪いと自分は考えています。一方、よくわかってない人たちにアピールするのには非常にシンプルで、難しい技術的なことを考えなくてもいいのでコピペのスキャムICOがあふれている印象です。

 

例えばバナナを買うのに必要なBananacoinなど、バナナ買うのに何で専用なコインが必要なんだよ、ともはやただのギャグになっていますが、冷静に考えればスキャム認定されていなくても他にも似たようなプロジェクトはたくさんあり、全体として警戒した方がいいでしょう。

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 13.配当系コイン

これは賛否両論あると思いますが、自分は配当系のコインはスキャムICOだと疑ってかかっていった方がいいと思います。

 

トークン保有者に配当を配るタイプのものは、トークンエコノミーの設計が非常にシンプルで、直接ブロックチェーンや分散化など関係なくとも、「無理やり」トークンを何にでも組み込めるのがスキャム側にも非常に都合がいいです。


ただし、収益をトークン保有者に分配する配当系のコインは明らかに疑似証券のようなセットアップになっており、何かしらの既存の法律に引っかかってくる可能性が高いですし、配当を配るかどうかも完全に信頼ベースになります。

 

もちろんそのようなリスクを最初から理解して考慮しているタイプの真面目なプロジェクトも存在しますが、観察していると何も考えずにとりあえずICOをするために配当モデルにしているものが増えてきており、それゆえに配当モデルのスキャム率も高くなっていると思います。(エ〇ビーとか最たるものです笑)

 

14.「完全に」「100%」などの誇張表現が見られる


「完全に分散化されている (Completely decentralized)とか「絶対に改ざんされない」とか「100%の公平性」など明らかな誇張表現が見られるものはスキャムICOの可能性が高いです。これだけでも相当な数のICOをフィルターできると思います。

 

そもそも当たり前ですが、ウェブサイトで完全に分散化されているとか、絶対に安全とか言ったら、分散化されるわけでも、セキュリティーが高くなるわけでもなく、そんなに簡単なものではありません。嘘をついているか、何もわかってないのかどちらかの可能性があります。

 

 

というわけで当初の想定よりかなり多くなってしまいましたが、上記のような項目を参考にすると、スキャムプロジェクトの判定がより正確になり、選別のスピードが上がるかもしれません。当然全てが役に立つわけでもどのプロジェクトにも当てはまるわけではないですが、「ICOスキャムのベストプラクティス」的なものが実際存在し、それを逆に利用すれば明らかなスキャムの判定はそこまで難しくないです。

 

本当の問題は、スキャムかどうか微妙にわからないもの、スキャムではなさそうだけど、実力不足だったり、技術的意義や実現性が乏しかったり、必要以上の金額をICOで要求したりしているものですが、これは専門家でも判定が難しいですし、内部情報などを持ってないと判断できないものも多いので、今回の判断基準は役には立ちません。

 

スキャム判定ケーススタディー→特別公開放送

というわけで思い付きですけど、上記の視点をベースに現在行われているICOの抜き打ちスキャムチェックを公開放送でやってみようと思います笑今晩10時からスタート予定。

 

www.youtube.com



ICO一覧サイト上のプロジェクトを見ていき、公式サイトを見ながら3分くらいでスキャムである可能性が高いかどうか個人的に判定してみます。半分くらいただのエンターテイメントでどれくらい正確か自分もわかりませんが、現在爆増しているICOの内どれくらいの割合が明らかにスキャムっぽいか自分も全然把握してないので、楽しみです笑

SegWit2xのハードフォークが起こらないと考えられる理由(SW2x展開予想)

さて、「やるやる」「Soon tm」と言って結局全然やれてなかったのですが、とうとう観念してSegWit2xについて少し考えてみたので、現在時点での自分の考えと見通しを簡潔に共有しておきます。(中国の状況がより明確になったり、新たな動きが出てきた時点でおそらくまた別に記事を書きます)

 

時間がかかった背景に中国でのゴタゴタに大分意識をとらていたのと、まだ不確定要素が多く、ある程度自信のあるレベルで状況を読み切れないというのがあったんですが、一応今のうちでの予想と自分の考えを書いておきます。

 

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(8月1日にフォークがあったと思ったら、また11月にもフォーク可能性ありという…)

 

以下が今のところの自分の予想です。

11月のSegWit2xのハードフォークは起こらない。SegWit2xのハードフォークブロックサイズ引き上げを強力にプッシュしている陣営はBitcoin Cashに流れる。

 

以下にポイントと自分の予想の根拠を説明します。

7月時点での予想

7月17日の記事で、8月1日に控えていたUASFやその後のSegWit2xの動きについて実はすでに8月以降の予想もしており、

  1. 8月1日のUASFは回避される→合ってた
  2. SegWit2xの2xハードフォークは起こらない→これから

と予想していました。この記事を出した後に少し予想外であったBitcoin Cashの提案があり、ご存じの通り8月1日に実際にハードフォークが起こり現在BitcoinとBitcoin Cashの二つにネットワークが分裂して両方とも稼働している状況です。

 

11月の2xのハードフォークが起きないとこの時点で予想した根拠は、SegWitがアクティベートした時点でSegWit2xの目標は達成されたに近い、コア開発者の支持が得られない、ハードフォークを急いでするリスクをとる意味がないなどの議論が起きて結局2xの結束が乱れハードフォークも起きない、というものです(現在進行形でこんな感じの展開になっていると言えます)

基本的にはまだこの予想通り、2xのハードフォークは起きないと見ていますが、斜め上の角度からBitcoin Cashが生まれたことで7月時点の予想とはちょっと違った展開になってきています。


中国の状況はとりあえずスルー

中国の状況はまだ現在進行形で噂が飛び交っている状態で、中国国内の取引所を停止するというのは固まりましたが、それに続いてマイニング事業自体を停止させる、ビットコインネットワークへのアクセスを禁止させるなどの噂が流れています。

 

SegWit2xの未来も、中国がマイニングを仮に完全に禁止するのか(Antpoolの廃業など)、それともビットコインをコントロールするために「国有化」のような形にするのか、それともただの噂話なのかなどで大きく変わります。予想が難しいので現状維持で行くとこの記事では仮定します(おそらくそれが向こう数か月で一番まだ確度の高いシナリオ)

 

SegWit2xのハードフォークが11月に起きないと予想する理由

SegWit2x陣営の指揮の乱れ

SegWit2xのハードフォークが起きないと考えている主な理由の一つに、2x陣営の結束は必ずしも固くなく、F2Pool(10.5%のハッシュレート保有)などすでに離脱を表明している企業が複数出てきており、今後も離脱する企業、プロジェクトは増えていくと想定されるからです。2xを離脱した陣営がBitcoin(Core側)にジョインしていくのか、別の方向性をとるのかは分かれると思いますが、SegWit2xキャンプというのは一枚岩というのには程遠いという状況は意識する必要があるでしょう。

 

また、あまりスポットライトはあてられませんが、Bitcoin Cashを元々提唱したのはViaBTC(現在BTCのおよそ8%、Bitcoin Cashの20%ほどのハッシュレートを保有する中国のマイニングプール)であり、BitmainはViabtcへ投資しておりかなり密接に連携していることから、Bitcoin Cashも裏ではBitmainが糸を引いているのではないか、という噂もあります。Bitcoin Cashのハードフォークの提案が出た時点で少なくともViaBTCはSegWit2xの約束を破ったとも見ることも出来ますし、参加企業やマイニングプールの結束が元々固かったかも非常に怪しいです。

同時に、Bitpay、Shapeshift、Rootstockなど、まだ2xを強力に推進している企業や影響力を持つ人物も存在するので彼らの動向には引き続き注視すべきです。また、BitmainのJihan Wuも少なくとも公式のイベントではSegWit2xを支持する発言をしています。(同時にCashも明らかにかなり押しているので、ダブルスタンダード的にはなっていますが)

SegWit2xハードフォークのメリットがほぼなく、デメリットの方が多いこと

もう一つの根拠に、SegWit2xのハードフォークのリスクやコストなどを考えると、ハードフォークをする必要性があまり存在せず、デメリットの方が多いと考えられるというものがあります。


すでにSegWitが8月に起動されたことで、ビットコインブロックチェーンの混雑問題も(一時的ですが)軽減されてきており、またSWが入ったことでライトニング、シュノール署名などセカンドレイヤースケーリングや、トランザクションの最適化などを進めることがついに可能になりました。

仮に11月にハードフォークしてブロックサイズ制限を2倍に引き上げたとしても、オンチェーンキャパシティーが劇的に改善されるわけでもなく、ライトニング、サイドチェーンの開発などを通して根本的にアプローチを変える必要がある、もしくはオフチェーンでのスケーリングソリューション開発が必要になるのは変わりません。2xハードフォークは焼け石に水状態とも言えます。

 

また、開発力不足も度々指摘されており、SegWit2xの開発はほぼJeff Garzik一人にゆだねられてしまっているような状況です。しばらく全く開発に進捗がなかったり、開発力不足や開発コミュニティーの貧弱さを指摘されています。

もし実際にSegWit2xハードフォークが実行されて、現在のビットコインがさらに2つに分裂(Core BTC&SW2x BTC)したり、もしくはSW2x BTCがハッシュパワーでCoreBTCを完全に置き換えたとしたりしても、その後SW2xのBTC1クライアントの活発な研究や開発が進むこともあまり期待できません。SW2xがデファクトのビットコインになったら、開発コミュニティーを去ると公言しているコア開発者も出てきています。

 

また、ハードフォークによるコストというのは単純にネットワークの分裂リスクや開発者の離脱だけではなく、取引所やウォレットプロバイダーへの対応にかかるコスト、ブランディングの混乱によるネットワーク効果の棄損など外部的にかかってくるコストも存在します。特にSegWit2xはリプレイプロテクションを施さないと宣言しており、これはユーザー資金の喪失などの事故が頻発するリスクがあったり、対応を余儀なくされる取引所やウォレットプロバイダーへの大きな負担など間接的なデメリットも多いです。

Bitcoin Cashの存在 

そして、ある種最も大きい要因がBitcoin Cashの存在でしょう。

 

SegWit2xというのは元々、停滞していたSegWit導入を進めよう、8月1日に迫っていたUASFのリスクを回避しよう、というコミュニティー内の多くの企業の「善意」により一つの妥協案として提案されたものだと自分は認識しています。SegWitを導入することでCore開発者や支持者いわゆる「スモールブロック派」の希望を実現させ、同時にハードフォークによるブロックサイズを引き上げることでオンチェーンでのビットコインスケーリングを主張するいわゆる「ビッグブロック派」も懐柔するという形です。

 

ただし、予想外に8月1日にオンチェーンスケーリングを標榜するBitcoin Cashがハードフォークして誕生したことで、ビッグブロック派が属する派閥、コミュニティーがすでに出来上がってきています。


元々(かなり単純化していますが)Big block派とSmall block派の妥協・懐柔案であったSegWit2xの特に2xハードフォーク部分は、それゆえにすでに意味のなさないものになっており、もしオンチェーントランザクションの手数料削減などを推進したいのなら、ブロックサイズをすでに8MBまで引き上げているBitcoin Cashに行けばいいし、そこで現状のBitcoinとフェアに競争する方が意味が通っています。

 

つまり、SegWit2x派が善意で期待した、両陣営を懐柔しながら、Core開発者の開発リソースは保持し、一つのコミュニティーとして前進していくという理想の展開はもうこの時点でとっくに不可能になっており、ビットコインコミュニティーは主張や思想の違いですでに二つに分かれており、どっちつかずのSegWit2x派を作る必要性があまりありません。

SegWit2xハードフォークが実行されて誰が得をするのか?

上記のように見ていくと、SegWit2xのハードフォークが実行され、ビットコイン(BTC)がさらに二つに分裂するのはユーザーも事業者も本来は望んでないですし(特にSW2xは分裂時の混乱を避けるためのリプレイプロテクションを施さないことも公言している)、分裂後のSW2xを推進していく開発コミュニティーも現状ではほぼ存在しません。

また、SegWit2xハードフォーク後、SW2xがハッシュパワーと取引所の支持などを上手く利用し、完全にCoreを置き換えて一つのネットワークに収束したとしても、オンチェーンスケーリングの効果は部分的ですし、その時点でBTCを支えるコア開発者はコミュニティーを去る可能性が高く、ユーザーからの信任も失墜、価格の暴落などが起きる可能性も少なからずあると自分は考えています。


そのように考えるとSegWit2xへのハードフォークというのはどう転んでもあまりマイナー、ユーザー、事業者へのメリットや合理性があるとは思えず、政治的な理由や企業間で結んだ約束を遵守する、このまま引き返せない、的なメンツの問題になってきている様相すらあります。


それでも11月にSW2xハードフォークが強行される可能性は当然ありますが、現時点での自分の予想はコア開発者に不満を持つ、どちらかといえばオンチェーンスケーリングを主張しているSW2xの主要マイナー(特にBitmainやViabtc)がBitcoin Cashへの移動を11月以前に発表して、SW2x陣営が結局崩壊するという展開の方が確率は高いかな、と予想しています。  

 

(これ以外にもCore開発者の追放が最初からの狙いだとか、一種の陰謀論というかBitmainやBitcoin Cash側からの攻撃シナリオ、逆にCore側からのBitcoin Cashへの攻撃シナリオみたいなのも考えたのですが、あまり具体性や現実可能性が高くないのでここでは割愛)

 

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中国の取引所停止が現実に→ビットコイン暴落

いやー、楽しくなってきました(なってない人もいるとは思いますが…)

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(ちなみに例の「高値掴みしてやんの」画像を貼ろうかと思いましたが自粛しました。なお、言ってません)

噂されていた中国の取引所停止が現実になったようで、BTCCが9月30日に取引を停止すると発表しました。(中国3大取引所の他のOK CoinとHuobiはまだ通達を受けてないとして、対応を発表してないですが、この流れだとBTCCを追って正式にアナウンスするのは近そうです)

 

btcnews.jp

 

これを受けてビットコイン価格の急落が始まってます。いやー、しばらく何をやっても爆上がりしかしなかった市場に大きめな調整局面が来て、ある種の安心感というか、なんかいよいよ来たか、って感じもあります。訓練されたビットコイナーは下げ相場には強いのですが、上げ相場にはめっぽう弱くむしろ消耗するものです。

 

では今回の中国の動きはどんなことを意味するのか、という話は昨日の夜の時点で動画で自分の考えを説明しているので、是非そちらを確認してください。中国のビットコイン業界の事情の背景も説明していて結構役に立つ内容もあると思います。

www.youtube.com

 

とりあえず言えるのは、今回の取引所停止騒動はおそらく一時的なもので、長期的に心配することではあまりないと自分は考えていますし、まあ一時的な相場に振り回されて疲弊したりしない方がよいかと思います。とは言っても価格の乱高下はトレーダーにとってはチャンスでもあるので、今現在進行形で色々仕込んでいる人もいるとは思いますが、Good luckとしか言えないですね。ここからさらに崩すか、すでに今回の材料は消化済みでここから戻すのか自分にはわからないです。

 

より長期的な視点で考えれば中国の影響力というのは少しずつ減ってきているトレンドであり、今回の騒動がビットコインの価格的にも大きなダメージが与えられないことがわかり、マイニングも中国一極から緩やかに色んな地域、国に分散していくとすれば、長期的に見ればいいサインとも言えるくらいです。

まあ、なんか久しぶりの緊張感のある下げ相場。何が起こるかわからないのがやはり楽しいですね、この世界は。

 

それでは。