ビットコインダンジョン2.0

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ビットコイン2.0の次の大本命? Factomって何?

日本ではGemsが結構盛り上がってた感がありましたが、今日は個人的にGemsを超えるポテンシャルを持っていると思うプロジェクトを紹介します。Factomです。

 

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ビットコイン2.0系で、久しぶりに「おー」と思うプロジェクトです。実は少し前から何となくは知っていたのですが、調べた感じこれはものすごい面白いと興奮していますw

しかも実はCrowdsaleが2月中旬に始まるので、投資に興味がある人はチェックをしておいて損はないと思います。

 

Factomとは何か?


What is Factom? - YouTube

 

Factomはビットコインのブロックチェーンの上のレイヤーに存在するプロトコルです。Factomを使うことで、貸付記録、証券、保険、医療などありとあらゆる書類や記録を分散的に管理、追跡、監査でき、中央的なシステムに比べより安全に確実にデータ管理ができるようになります。

 

Factomのポテンシャルは?

 


Factom Use Case - Saving BoA $17 Billion - YouTube

 

Factomのポテンシャルはどれくらいの規模のものなのでしょうか?

書類や記録を管理する必要としない企業はほとんどありませんし、その作業にものすごい時間やコストをかけている企業も少なくはありません。

上記のビデオではBank of Americaが、住宅ローンの記録の管理の失敗により17Billionドル(2兆円程度)の罰金を支払わされたという例を挙げています。他にもJP Morgan,Chaseなどでも同様の事故が起きており、大量の記録やデータを中央データベースで管理することの限界や危険性がわかると思います。

 


Factom Use Case: Unlocking $9 Trillion in Land Value - YouTube

 

また、土地に対する権利を分散的に記録し、土地の所有者の変更、天然資源への権利貸付などの契約を簡単に、所有者の個人情報を公開せずとも、ブロックチェーン上に安全に記録することができるようになります。

 

特に発展途上国では、政府や銀行の腐敗や、必要な記録管理システムの不在などにより、土地所有権の管理ができていない現状があります。土地の所有権が定まらないことによる潜在的なロスは、9 Trillionドルとも推定されています。(1000兆円以上)

 

それだけではなく、国内で考えても記録の管理が仕事の大部分といった職業も多くありますよね。行政、医療、保健・・・。もし仮にこれら全ての業務がFactomに影響されると考えれば、Factomの潜在的な破壊力がわかると思います。市役所や病院で1時間以上待たされたりすることもなくなるかもしれません。この時間のロスも経済的に考えると外部的なコストですからね。

 

なぜビットコインのブロックチェーンを直接使わないの?

ブロックチェーンには改ざん不能かつよりセキュア、という特徴があります。この特徴を利用して、お金のやり取りだけでなく、書類の保存や、知的財産権の保護に応用しようとする試みもすでにいくつかあります。つまりブロックチェーンを利用して、特定の日時に特定の書類が存在していたということを証明し、かつその証明へのアクセスを持っているのは秘密鍵を持っている自分だけ、という状況が作り出せるのです。特にProof of Existenseというコンセプトが有名ですね。

 

Factomも基本的にこの原理を利用しているわけですが、 ビットコインのブロックチェーン上に暗号化した書類のハッシュを直接記録することには、いくつか問題点があります。

 

・スピード

ビットコインのConfirmationは平均すると10分に一回。大量の書類を一括で登録、保存したい場合はこのスピードでは日が暮れてしまいます。

 

・コスト

ビットコインのブロックチェーン上に直接データを記録したい場合、いちいちマイナーへの手数料が発生します。仮に一回ごとに3円かかるとして、1,000個のドキュメントを保存しようとしたらそれだけで3000円。もし、もっと大規模な企業や団体が数万、数十万単位の書類を記録しようとした場合、コストは跳ね上がっていきます。

 

・ブロート(Bloat)

現在のビットコインのプロトコルでは、毎秒7トランスアクションが処理の限界となっています。単純に数万の書類を瞬時にブロックチェーン上に記録しようとしても、現状のブロックチェーンでは処理が追いつきません。

 

現在、ブロックサイズを拡張することで、ビットコインブロックチェーンの処理能力を向上させようという議論がされていますが、中々コミュニティー内でも意見がまとまりません。

 

Factomの大きなメリットを一言で言うと、「Factomを使うことで、大量の書類やデータの記録を、素早く安く、ビットコインのブロックチェーンに負担をかけずに行うことができる」ことです。その意味で、Factomはブロックチェーン技術の通貨以外への応用の現実性を大きく引き上げます。

 

 また、Factomがブロックチェーンに記録するのは書類やデータのハッシュだけですので、監査可能なデータの記録を公開しつつ、同時に機密データが漏れる心配がないというのも大きな強みです。FactomはTetherやCoinapultとのコラボレーションを発表しており、それらのビジネスはFactomを使うことで、資産保持の証明をブロックチェーンに大量に、安価に、機密は保護しつつ記録できることになります。

 

Factomの仕組みは?

専門的な技術的な話はおそらく誰か他の人がしてくれることを期待しつつ、簡単な概要だけ説明します。

 

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 簡単に言えば、Factomは独自のブロックチェーン上でそれぞれのエントリーをカテゴリー化し、カテゴリーごとに整理、暗号化した後、最終的に一つのトランスアクションとしてビットコインブロックチェーン上に記録する仕組みです。

 

FactomにはEntry BlockとDirectory Blockという大きく分けて二段階のカテゴリーがあり、それぞれ複数のサーバーが分散的に処理を行い、高速な処理を可能にします。

 

Factomにはマイナーは存在しませんが、データの管理、記録を正確にこなすサーバーに、報酬としてFactomの独自コイン「Factoid」が与えられる仕組みになっています。記録を恣意的に校閲したりしようとする行為はすぐに発見され、ユーザーの投票により悪意のあるサーバーは排除されるような仕組みにもなっています。

 

Factomの通貨モデルは?

前述した通り、FactomにはFactoidという独自の有限暗号通貨が存在し、処理サーバーへの報酬として与えられます。ただ、非常に興味深いのは、ユーザーがFactomを使用して記録を保存したい場合、Factoidは直接ではなく、間接的に使われるということです。

 

Factomを使用するには、まずFactoidをネットワークに支払い、それをEntry Creditというものに変換する必要があります。Factoid→Entry Creditという一方通行の流れで、Entry CreditをFactoidに戻すことはできません。

 

手持ちのFactoidをEntry Creditへの変換したい時は、Factoid Chainという特別なチェーン上にFactoidを送り処理します。その時に、「変換したいFactoidの金額(量)」と「Entry Creditを受け取る人のPublic Key」を指定します。こうすることで、Entry Creditと特定のPublic Keyが結び付けられ、一度これが決定されるとEntry Creditを他のPublic Key(他の人)に移動することはできなくなります。

 

ここまで聞いてなぜわざわざFactoidをEntry Creditに変換するというめんどくさいことをしなくてはいけないか疑問に思う人もいると思います。

 

Entry Creditに変換する大きなメリットとして、

 

・Entry Creditは他のPuplic Keyに送信不可能かつ、記録入力と投票にしか使えない。ハッカーがEntry Creditを盗んだとしても売却することもできないため、盗むインセンティブがあまりない。

 

・暗号通貨をあまり理解していない、もしくはFactoidの価格変動に影響されたくない人は、Factoidを保有する管理サーバーに従来通りクレジットカード払いなどすることで、Factoidの代わりに必要量のEntry Creditを購入することも可能。暗号通貨の知識や、価格変動の心配なしに、システムを使用することが可能になる。

 

上記2点が考えられます。また、Entry CreditとFactoidという2つのレイヤーを使い分けることで、規制や罰則に対応する意図もあると思われます。

 

私はもともと経済モデルやインセンティブモデルについて興味が強いので、ここらへんについては別記事でまた説明しようと思います。

 

最後に 

Factomのクラウドセールは2月中旬に開始される予定で、1月中に何らかのプロトタイプを公開する予定だそうです。クラウドセールではFactoidが売りにだされ、これは基本的にGemsなど同様、利用者が増え需要が高まれば通貨の価値も上がるモデルを設定しています。

 

投資のアドバイスではありませんが、私は個人的にかなりFactomへ期待しています。どちらかというとRippleのように、B2Bへの応用が主な想定で、ビットコインより先にビジネスツールとして広く使われるようになる可能性もあります。かなり壮大かつポテンシャルを感じるプロジェクトですね。

 

Factomについては追加で何本か記事を書こうと思います。

 

それでは。

 


Factom

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