ビットコインはEmailのようなもの?Permissioned Ledgerは?
読者の皆さま
いつもお世話になっております。ビットコインを語ろう2.0の東です。
・・・、みたいな感じで仕事で毎日メールを送っている人も多いでしょう。
昨日もともと全く関係ない話だったんですが、仕事でのメールの使い方が効率的ではない、みたいな話をしまして、実はこの話ビットコインに当てはめることが出来ると考えたのでせっかくなので書いてみます。必ずしも正確な比較ではないとは思いますが、ビットコインとPermissioned ledgerの位置づけを考える時にイメージしやすいかと思います。
一昨日ZaifからMijinというPermissioned ledger(Private chain)が発表されたり、金融機関が投資、研究を始めたりホットトピックではありますが、ビットコインにどのような影響を与えるのか、もしくは与えないのか、そのあたりを自分が思い付きで考えたEmailとの比較で考えてみたいと思います。
メールってもう時代遅れではないか?
私は実は仕事でメールを使うのがあまり好きではないのですが、主な理由として
- 添付ファイルサイズの制限
- 容量がすぐに一杯になる
- ファイルバージョンの管理の煩雑さ
- ソート、検索などがしづらい(埋もれたりしやすい)
- 感情とかニュアンスが伝えづらい
- 形式的で、いたずらにメール作成に時間がかかることがある
まあ自分がずぼらな性格が問題の部分もありますが、メールってどうでもいいことでも形式的に長く書いたり、場合によっては「わかりました」とかだけ書けばいいところを、お世話になっております。承知いたしました、それでは〇月〇日うだうだうだ、とやる習慣みたいなのが非常に時間の無駄だなー、と自分は思うのです。
なので、少なくとも組織内、チーム内ではもっとフラットにコミュニケーションをとれるチャット形式のもの(Slackなど)の方が、レスポンスが簡単ですし、「OK」というだけの返事でもいいですし、他のアプリケーション(クラウドとかEvernoteとか)との連携や機能拡張もしやすいなどの理由から優れていると考えます。
と、ここらへんの話が昨日してた話ですが、ただしどんなに時代遅れだ(少なくとも特定のシチュエーションでは)とEmailを批判したとしても、メールアドレスは仕事をしている人で持っていない人はいないですし、国内外のコミュニケーションの基本はやはりまだEmailです。どんなに機能に劣っていようが、問題あろうが、世界中で多くの人がメインコミュニケーションツールとして使っているメールを置き換えることは中々出来ないでしょう。
前述した通り、特定の組織内で、Slackのような非メールのコミュニケーションツールを使うのは内部効率性を上げるには適していると思いますが、例えばSlack(もしくはLineのグループ、Facebookのグループでもいいです)は、自分のグループの外の人とのコミュニケーションをとるには非常に使いづらいです。初めて仕事で会うよくわからない人を、自分の仕事のSlackやLineのグループに入れるわけではないですし、組織外の人とのコミュニケーションはやはり最終的にはメールです。
とここまで考えた時に、メール=ビットコイン、非メールチャットツール(Slack)=Permissioned Leger、という考察が出来るなと思いました。
Permissioned Ledgerの効用と限界
Permissioned LedgerをSlackになぞらえて考えるとすれば、特定の組織間での送金=特定のメンバー内でのコミュニケーション、はPermissioned ledgerの方が確かに速いし、安いし効率的だと言えるのかもしれません。もちろん自分は技術の深い話を批評することは出来ませんが、例えばMijinのデモの画面を見ても、この時点でビットコインより秒間の処理速度は圧倒的に速いですし、便利そうだな、とは確かに思いました。
特定のメンバー間ならスパムメールを送ってきたりする心配もほとんどないですし(Permissioned leger内の信頼)、わざわざメール(ビットコイン)を使う必要はありません。
先日9つの巨大銀行がパートナーシップを組んでブロックチェーン技術の導入を図っているというニュースがありましたが、これは要は銀行の内輪のSlackのコミュニケーショングループを作ろうとしているイメージに近いです。そう考えれば銀行間でPermissioned ledgerを導入しようとしている理由も少しわかりやすいかもしれません。
クレディ・スイス、JPモルガンら9大銀行がブロックチェーンの共同利用に合意 | ビットコインニュースのBTCN
じゃあこれの問題点、限界は何かといえば、やはり自分のグループの外との価値のやりとり(コミュニケーション)が出来ない、もしくは非常にやりづらいということです。Slackの自分のグループ内の人とは無敵かもしれないですが、ひとたび相手がSlackを持っていない、もしくはSlackの自分のグループに入ってないとなった途端、効率性は劇的に落ちます。
それなら自分のSlackのグループを広げるように、Permissioned ledgerの範囲を広げればいいような気もしますが、例えばあなたは自分の仲良しLine、Facebookグループによくわからない人たちをどんどん追加したいですか?Permissioned ledgerも同じで、一定の規模以上に拡大させるのは難しい(セキュリティを著しく損なうリスク)ですし、外部の人の視点でいうと、他人のグループに入るのも必ずしも気持ちのいいものではなく、いきなり管理者からグループから追い出されたり、メッセージを消されちゃったりする可能性もありますよね。
じゃあ外部の人とどうやってコミュニケーション(価値のやりとり)をとればいいのかと言えば、そこはやっぱりメール(ビットコイン)というわけです。
Bitcoin=bad, Blockchain=good?
そういう意味で、金融機関がビットコインを否定し、ブロックチェーン技術こそが革命だというのは、Emailを否定し、Slackしか使わないと言っているのにある意味近いと思います。
銀行の内輪の中でだけ色々やりたいなら別にいいと思いますが、そこにグローバル性やオープンな性質はありません。結局メールアドレスなしで、Slackだけを使うことは出来ないのです。いつか間違いなく限界が来ると思います。金融機関も最終的にはビットコインのようなPublich chain、オープンなものを拒否しつづけることは出来ないのではないでしょうか。
一方、Slackを使わなくてもメールアドレスさえあれば世界中の多くの人とコミュニケーションがとれますし、特定の組織内でメールだけでコミュニケーションをとっても問題ないですし、現実の世界の構造を見ているとそうなっている(社内でも全部メール)ケースの方がきっと多いですよね。
自分はメールに近い、このオープン性、ネットワーク効果、要はみんな持ってるし、誰でも使えること、こそがやはりビットコインの最大の強みだと思います。管理者にお伺いを立てる必要もないですし、国境も関係ありません。Slackのグループをバンバン作る前に、まずみんながメールアドレスを持っていなくては不完全というか非効率のような気もします。
最後に
というわけで、Emailについて思った話をそのままビットコインに当てはめてみました。もちろん正確ではない部分もあると思いますが、Public chain(ビットコイン)とPrivate chainの位置づけ、意義、違いが何となくつかみやすいかな、と思ったので紹介してみます。
Permissioned ledgerはかなりバズワード的になっていますが、別に全ての問題を解決するわけではないですし、一方別に否定するものではないですが、ビットコインのようなPublic chainなしでは不完全で非効率だと自分は考えます。
まあ冒頭でメールをディスっておきながら、結論はメール(ビットコイン)やっぱ必要だよね、っていう結論で何か論理矛盾しているような気もしますが、とりあえずはメールが使えるレベルにならないと、Slackに飛び級は難しいよね・・・。
それでは。
※※※
このブログではトークンを使った実験として、寄付+トークンという切り口で実験をしています。この記事が役にたった場合は、カウンターお財布などのCounterparty対応のWalletからビットコインで寄付してください。詳細についてはこちらの記事からどうぞ。このブログの成功を読者と分け合うwin-winの関係を築けるか、という実験です。
また、寄付金額により、お返しのCNPCOINのレートは変わっていきます。最新のレートについてはこちらのスプレッドシートで確認できます。
1ABG119jVm2jRw6sz4ewurc5jFRJkwu6aj