Bitcoin in Vietnam 現地ビットコイナーに会ってきた!
ベトナムシリーズ第二弾。
前回の記事に書いたことを有言実行するべく、Bitcoin Vietnamというベトナムで唯一のビットコイン交換所の人に話を聞いてきました!とりあえずサイトの連絡先からメール送って話聞かせて、って言ったらかなりすんなりアポ作れました笑
(オフィス(というか家)はこんな感じ。ベトナムのスタートアップシーンっぽい?)
またそれだけではなく、地元のビットコイナーが集まるミートアップにもつてがあり、参加して色々話を聞いたり、雰囲気をつかんだりすることができました。
というわけで、(誰もが知りたがっていた!?)ベトナムでのビットコインの現状報告!この勢いで東南アジアの国全て制覇したいかも笑
ベトナムのビットコインのエコシステムについて
ベトナムのビットコインのエコシステムですが、これから色々ビジネスが生まれて、参加者も増えていき、カンファレンスなども開かれ始める、まさに黎明期/立上期、という感じです。逆に言うと、現時点ではまだビットコインを知っている人も、興味も、サービスなどもほとんど存在していない状態とも言えます。
サイゴンでのビットコインミートアップ的なものに飛び入り参加したのですが、その日来てた人は全部で5人ほど。他にも何人か興味のある人はいるようですが、いわゆるビットコイナーと呼べる人はサイゴンではこれプラス数人くらいだということです。また、昨日はたまたまだと言ってましたが、現地のベトナム人の参加者はいなく、全員居住外国人などの英語スピーカーたちでした。日本の東京ビットコインミートアップでも今となっては日本人の参加者も普通にいますが、ひと昔前までは東京在住の外国人の人たちが中心だったので、雰囲気を想像できる人たちもいるかと。
(なんかかっこつけたポーズになってますw)
後述しますが、交換所のユーザー数自体は実はそこそこいるようですが、投資やマイニングによる収益などに興味のある人がほとんどなようで、技術を理解するエンジニア、ビットコイナー、起業家などはほとんどいないようです。
ただし、ちょうどこの1~2か月+αで色々な進展があるとのことで、ちょうど3日前にCoinifyという企業とBitcoin Vietnamが協力して、ビットコインの店舗での支払いが来週からついに可能になるという話をしていました。同時にビットコインATMも導入する店舗があるようで、これは銀行口座を持っていない人も多い、現金中心のベトナムのような国では重要かと思われる。ベトナムを訪問予定のビットコイナーにも朗報ですね!
また、それだけではなく、今年の6月にベトナムで初めてのビットコインカンファレンスが開かれるそうで、ミートアップではその話を中心にしていました。誰がスピーカーをやるのか、地元の人は参加するのか、会場はどうするのか、などなど、数人の有志が全て考えてやらなくてはいけない、これぞ黎明期、的な感じの話です。(余談ですが、途中からイデオロギーがどうだ、現金は悪なのか、政府がなんだとか、男同士がよくやる不毛な議論もしてましたが笑)
というわけで、今はほとんどエコシステムと呼べるものはないですが、おそらくこの数か月で色々と立ち上がってくる、今後技術や事業にも興味を持つ人たちが出てくる、そんな感じの時期のようです。
ベトナムってそもそもどんな感じの国?
これからビットコインエコシステムが盛り上がってくると予想されるベトナムですが、そもそもビットコインに対する需要がありそうなのか、どんなお国柄なのか、そんなことも根掘り葉掘り聞いてきました。
ベトナムに行ったことのある人も多いと思いますが、ベトナムはまず現金中心の社会です。基本的に都市の中心街を除いてローカルのお店でクレジットカードで支払いが出来る場所はありません。全て現金です。
というのもクレジットカードの保有率自体が、そもそもおそらく全体で数%もないそうですし、銀行口座も持ってない人が多いです。クレジットカードを受け入れるための金融インフラがそもそもないし、出来上がるのにも相当時間がかかりそうな印象を受けました。
また、銀行について特に面白いと思ったのは、現地の人たちはどうやら全般的に銀行を信頼していないということです。話を聞いたところ、銀行に預けて投資した自分のお金が、何かしらの理由をつけられて結局そのまま溶けて全てなくなってしまったりすることもざらなようで、メディアに訴えても誰も取り扱ってくれないとかなので、結局それぞれ金や不動産、土地などに自主的に投資するのが一般的なようです。これは銀行に喜んでお金を預けて安心してしまう日本みたいな国とは根本的に違いますね。
そしてまた、想像には難くないとは思いますが、全体的にアバウトな国なので、銀行、通信とかも含めてKYC(本人確認)が適当で、本人確認とかしなくても、「あー、もうやっちまえ!」って感じでお金を預けたり、引き出したりできちゃうそうです。あと、日本では銀行がビットコイン企業の口座を凍結したりなどの問題(嫌がらせ?)があったりもしましたが、ベトナムの銀行はそんなの全然気にしないとのこと。なんかとりあえず金払ってんならなんでもよし!というか、個人的にはこういう緩さ大好きなんですけどね笑
他に海外に家族が住んでいる人たちも多いようですし、現金中心、金融インフラが弱い、金融機関への不信、どれをとってもビットコインが将来的に役に立ちそう/普及しそうな匂いはプンプンしますね。
じゃあ普及がなんでこんな遅いのかっていう話ですが、やはり技術の理解が難しいこと、ベトナム語での情報の不足、単純に聞いたことがない人がほとんど(メディアでの露出少)などが考えられます。また、もともと現地の人はいい意味で疑い深い人も多く、新しい技術が信頼を勝ち取るのには時間がかかるだろう、とのことです。
国、銀行などの反応は?
まだほとんどビットコインが普及していないベトナムですが、国は今のところはノータッチ状態のようです。何回か、Bitcoin Vietnamにも役人や税務局などから調査が送られてきたことがあったようですが、結局どこの部署も責任を押し付け合って今のところ放置状態のようです(笑)
銀行は、海外でブロックチェーン技術の導入などが始まっていることも受けて少しずつ興味を示しているようですが、いずれにせよベトナムの基本スタンスとして技術の最先端を行くのを目指しているわけではないので、まだまだブロックチェーンに関して行動を起こすのは先になりそうです。
Bitcoin Vietnamについて
Bitcoin Vietnamはベトナムで最初のビットコイン交換所として、2年程前からドイツ出身のDominikを中心に運営されているそうです。
日本の交換所、取引所では銀行口座を持っていることが必須ですが、Bitcoin Vietnamでは銀行口座がなくてもビットコインを購入できるようになっており、銀行の窓口で個人情報を証明して、現金の受取、デポジットなどをしている人が多いようです。
交換所の他にも近くペイメント、国際送金などの分野にも少しづつ進出しており、とりあえず他にビットコイン関連の事業をやっている人がいないので、メディア対応、国との対応、など含め、4人のチーム1社で全てやらなくてはいけない状況とのことです。
登録ユーザー数はすでに1万3000人ほどおり、その内アクティブなのは10%ほど、ほとんど全てが現地の人のようです。また面白いのが、女性の登録率が比較的高く、全体の20%ほどが女性、ミートアップにも女性が飛び入りで参加することも多いとのこと。なんと素晴らしい。見習え、日本女子(笑)
ユーザー登録数は増えて、増加率も加速しているようですが、やはりまとまった額のビットコインの売買をするには資金が不足しているようで、どうやら資金調達が一番の課題のようです。今の資金では、一日$10,000以上販売するのが難しいことも多いようで、大きな額を購入したいという人もいるが、需要に対応できてないのが残念、という話をしていました。現在、現地のVC含め資金調達も考えているようですが、現地では前例がないこともあり時間がかかっているとのこと。どうですかね、日本のVCさん?笑(まー、絶対やらないよね、日本のリーマンVCは)
もう1つ話を聞いてて、面白いと思ったのは、ベトナム人ユーザーは基本的にビットコインやお金(ドン)を取引所には置かないそうです。用がすんだらとっとと取引所から引き出しを要求するようで、数時間入金が確認できないだけでも、「おい、こら、俺の金はどこだ!?」となるようですw
やはり銀行を信頼してないくらいですから、ビットコイン交換所も信じてないようで、すぐに自分のビットコインを自分の管理下に置きたがるそうです。どうですか、取引所に大量のビットコイン預けている人たち!見習ってください笑
ちなみに今回話を聞いたDominikは、ドイツのフランクフルト出身なんですが、EUですでに何度か起きている銀行の預金封鎖とEUの経済の見通しなどもろもろ絶望して、ドイツを捨て、数年前にベトナムに移住、現在ベトナム人の奥さんもいるという中々のビットコイナーぶりです。もうドイツには戻りたくないとのこと笑
仕事もかねて、今年日本に行くかもしれないという話をしていましたが、日本はアジアのドイツじゃね?と悪いイメージを植え付けておきました笑(別に自分は、日本自体はそこまで嫌いじゃないんですよw)
ベトナムでのビットコインの今後の展望
まだこれから感が強いですが、経済発展も著しく、5年前には高層ビルなどほとんどなかったのに、今ではサイゴン市内にいくつもビルが立ち並び始めてます。経済が発展してくると共に、ビットコインも普及してくるし、ヨーロッパ諸国や日本のように経済が逆行してしぼんでいる国よりよっぽどマシだよ、とDominikはコメントしてくれました。うーーん、ちょっとわかるわー笑
書いた通り個人的にはビットコインが普及する条件みたいなのは満たしてるし、時間はかかってもポジティブな見方をしてもいいかなと思います。ただし、Dominikも心配してましたが、政府の見解や規制がどうなるか全くわからない状況で、ベトナムのような国では中国同様に政府がビットコインを禁止したりする可能性は少なからずあるというリスクもあります。まあ仮に政府が禁止しても勝手にユーザー使ってそうですけどね、そのアナーキー感がある意味ベトナムの魅力(笑)
余談
・6月に開かれるビットコインカンファレンスのスピーカーを募集しているらしく、大石さんを推しときました。直接会ったことはないけど、ホイアンに日本人のビットコイナーが住んでいるという噂を聞いたことはあるとのことでしたが、そんなめちゃくちゃな組み合わせはあるのか?みたいな話をしていました笑
・観察していると、若い人はスマホの人も多いですが、中年以上はみんなフィーチャーフォン使ってますし、英語が出来るおっちゃんにビットコインの話をして、$10分のビットコインやるよ!って言ったら、スマホじゃないし、使い方わからないからいらないと断られました笑
・ベトナムの通貨は単位が非常に大きいので、みんななんか大量のお札を束にして持ち歩くのが一般的なようです。
・6月に開かれる予定のビットコインカンファレンス、日本からもよければみんな来てってめちゃくちゃ宣伝してました。日本で黎明期逃してしまっと感じている方がいたら、ベトナムのビットコイン史に名前を刻むことが出来るかもしれないですよ笑
明日から、DaNangという中部の場所に移動して、ホイアンにも寄りベトナム在住大石さんとも会ってきます。ベトナムから特別ポッドキャスト収録予定なので、そちらもお楽しみに。トピック考えとかないと笑
それでは。