Storjは本当にDropboxを超えられるのか?
Storjについての解説記事や考察はまだ書いてなかったと思いますが、今日ふと思ったことがあるので先にこれを記事にします。Storjについての解説はまた後日する予定です。ちなみにStorjの読み方は、「ストーレッジ」もしくは「ストレージ」などが適当だと思います。「ストアジェー」ではないですよ、ということだけ覚えていただければw
なお、Storjの概要については以下の記事も参考
分散型ファイルストレージサービス「Storj」とはなにか | ビットコインニュースのBTCN
一言で言うと、Storjはクラウド容量を参加者からプールし、同時にファイルを暗号化しバラバラにネットワーク上に保存することで、Dropboxなどの既存の中央型クラウドサービスより、
・低コスト
・高速
・高セキュリティー
のクラウドサービスを提供できるということを売りにしています。私自身もStorjのアイディアは素晴らしいと思っていまして、一般の人に公開されるのをものすごく楽しみにしています。
ただし、Storjがすぐに、もしくは一生Dropboxなどの中央型サービスを置き換えられない理由というのを今日は考えてみます。
無料容量はあなどれない
Dropbox、Google Driveなどは基本的に数GBまでの容量を無料で提供しています。
その代わり一定容量以上のデータを使いたいユーザーやビジネスに有料でサービスを提供しています。いわゆるフリーミアムモデルですね。基本はただ、ただし追加機能を使いたい場合は有料。収益は有料ユーザーにより賄われている、っていう感じです。
有料プラン同士で比べた場合、StorjはDropboxなどの中央型クラウドより格安であることを優位性に挙げています。これは確かにそうだと思うのですが、Storjに無料容量のようなコンセプトはあるのでしょうか?
私が今までリサーチをしている範囲内では、Storjのサービスを使うには、容量に関わらずStorjコインを使う必要があるという認識です。つまり、10円でも100円でもネットワークを使用するには、大した額でなくとも何かしらのコストが必要になるということです。
別に月10円なら0円と大して変わらないと思うかもしれませんが、それは大きな間違いだと思います。0円と1円の間には大きな心理的壁があるのです。これは行動経済学などでもたびたび出てくる現象なのですが、人間は0円とか、100%とかのきりのいい(確実な)事象については必要以上に反応してしまう傾向があります。
より安全で高性能なStorjというサービスを月10円で使うより、既存の中央型のクラウドサービスを0円で使い続けるという状況が続いても何も不思議ではありません。また、10円といっても円で払えるわけでもなく、SJCXを買う必要があり余計に参入障壁が高くなります。
私の予想だとおそらく無料容量を提供するノードも出てくると思うのですが、おそらく無料で使用できる容量はDropboxやGoogle Cloudより小さいことが予想され、それなら最初から中央型のものを使えばいいという風になりかねないと思います。
使いやすさ
正直に言いますと、私は実はDropboxがかなり好きなのですが、理由としてはシンプルで非常に使いやすいからです。
アメリカにいた時の個人的なつながりもあり、割と初期からDropboxを使い続けている優良ユーザーなのですが(無駄に友達に勧めたり笑)、Dropboxは他の類似サービスに比べても抜群に使いやすいと思っています。イラストもいちいち好感が持てます。
他のクラウドサービス(Google Drive, Boxなど)、Dropboxは無料容量も少ないですし、必ずしも機能的に優っているとも思えません。それでも私も含めこれだけユーザーが多い理由はこのDropboxの使いやすさだと思います。最近は私はGoogle Driveも頻繁に使いますが、最終的にはDropboxがやはりいいなーと思ってしまいます。
Storjが本気でDropboxを置き換えるくらいのサービスを目指すには、ユーザビリティは重要なファクターに間違いなくなります。ビットコイン関連サービスで言うと、ChangeTipのユーザビリティには非常にいいと思いますが、そのレベル、もしくはそれ以上の使いやすさ、シンプルさがStorjにも求められるでしょう。
その他の機能
Google Driveの同時編集機能などはStorjでも実現可能なのでしょうか?技術的に可能かどうかも私はちょっとわかってないのですが、(部分的な秘密鍵の共有が必要?Multisigの応用みたいな感じでいけるのか?)既存のクラウドサービスで当たり前のように出来ている機能はStorjも実装する必要があるかもしれません。
まとめ
Storjは、既存のクラウドサービスよりセキュアで、自分のデータを他人に預ける必要もなく、ブロックチェーンの強みを上手く生かした素晴らしいアイディアだと思います。低コスト、高速などの特徴もありますが、自分のデータにアクセスできるのは自分だけで誰にもそれを公開する必要がない、というのがStorjの究極的な強みです。
ただし、ご存知の通り、その強みだけで一般ユーザーがサービスを受け入れてくれるわけではありません。
私が挙げた課題というものを上手く解決し、よりよいクラウドサービス、しいてはブロックチェーン技術全般を一般に浸透させるキラーサービスになることを、Storjには期待しています。期待値が高いだけにあえて課題についても気になっちゃうっていうところですねw
それでは。
Storj Vs. Dropbox: Why Decentralized Storage Is The Future – Bitcoin Magazine