Bitcon ビットコインという大きな詐欺
ビットコインは完璧ではありません。特に通貨としてのビットコインには課題が多くあります。その内の一つに、「富の集中化」というものがあると思います。要は初期にビットコインに投資をした限られた人数の人たちが、ビットコインの総供給量のかなりの部分を握っているということです。
そのことも絡めて、詐欺調査の専門家である、Jefferey Robinson氏がFortune誌のインタビューで、通貨としてのビットコインの危険性について語っています。ビットコインの可能性を信じて、すでに詳しい人にも考えなくてはならない点を指摘していて、かなり面白い内容だと思います。以下簡単に要旨を訳して個人的な考察を付け加えます。(※2015年1月29日追記)
(以下要旨)
2年程前に資金洗浄の一大革命として、ビットコインに関することを周りの人たちから聞き始めた。色々調べたが、ビットコインは資金洗浄には別段向いていないと感じた。ビットコインはリアルな通貨でも、商品でもない。
私の考えでは2つのタイプのビットコインが存在する。一つがブロックチェーンテクノロジーとしてのビットコイン。私はこれは素晴らしいと思っているし、未来だとも思っている。
一方もう一つのタイプが、通貨まがい、商品まがいとしてのビットコインだ。このビットコインの市場は未成熟で、流動性もない。現在1300万ビットコインが流通しており、その内半分以上が950人程度の人たちによりコントロールされていることに気づけば、市場操作の対象にもなりやすいことに気づくはずだ。
要するにビットコインはPump-and-Dump(価格操作)詐欺と言える。ビットコインは投資というよりは、スロットマシーンに近い。一般的な詐欺と違うのは、ビットコインには思想的なサポートが土台としてあることだ。自由主義者たちを中心に、投機ではなくビットコインの成功を願っている人たちも確かにいる。
自由主義者達は、無政府主義者達はオーストリアン経済学の信奉者が多いが、ただし、著名なオーストリアン経済学者はビットコインを通貨としてはみなしていない。
また、分散化を理想と結びつける人もいるが、仮に街の通行人に中央集権型、分散型について聞いたとしても、別にそんなこと気にも留めないだろう。政府や企業が介入できない分散型の仕組みが理想と考えている人など少数にしか過ぎないし、それが理想だという証拠はあるのだろうか。
ブロックチェーンテクノロジーを応用した技術やサービスは今後も増えていくだろうし、シリコンバレーの住人もそういう風に考えている。ただし、これと通貨としてのビットコインは別のものとして考えられるし、考えるべきだ。
ビットコインを通貨として利用している人などいない。やがて通貨としてのビットコインというアイディア自体がなくなっていき、ビッグプレイヤーたちはマーケットを去って行くだろう。投資目的でビットコインを購入したスモールプレイヤーたちは最終的に全てを失うことになりかねない。
私の考え
私個人としては、もちろん通貨としてのビットコインも応援しています。国際送金も手数料は低くなりますし、もちろん自由主義的な理想の観点からも、政府によるお金のコントロールにはいい気はしません。
ただし、Robinsonが指摘するように一般の人はそんな自由主義的な理想、政府の介入のない世界など興味もないし、欲しいとも思ってないというのも事実だと思います。自由主義者からしたら、一般の人たちはもうそういう風に洗脳され、刷り込まれてしまっているから、という風なことになってしまいますが笑
どちらが正しいかは別として、一般の人が欲しくないものが広く流通するとは考えにくいです。それが起きる時というのは、政府や企業の後押しがある時ですが、ビットコインに関してはそれが起きるとも期待できません。
未来がどうなるかは予想はつかないですが、通貨としてのビットコインの浸透というのは時間がかかると思います。5年か、10年か、もしかしたらRobinsonが指摘するように一生起きないかもしれません。ただし、テクノロジーとしてのビットコインはこれからも発展し、予想以上のスピードで革新を巻き起こすと私は思っています。通貨としてのビットコインを支えるためにも、技術としてのビットコイン、またそれを利用したサービスに注力していくのが、現状はもっとも理に適っているのかもしれません。
※2015年1月29日追記
この記事を最初に書いてから3か月程経ちましたが、この記事でいうブロックチェーンテクノロジーとしてのビットコインは勢いを増し続けていると思います。
Smart Contract, Factom(分散型記録システム), Storj(分散型クラウド)などの開発も進んでおり、そろそろEthereumも何かしらリリースされるのではないかとも期待されています。いわゆるビットコイン2.0のプロジェクトはどんどん数を増しており、ただの支払い手段としてのビットコインという認識はもはや遅れたものだと思います。
一方、通貨としてのビットコインは少なくとも価格の面で見ると苦戦しています。しかし、マイクロソフトがビットコイン受け入れを開始したり、CoinbaseやGeminiがアメリカでビットコイン取引所を開いたり、いいニュースがない訳ではありません。
EB63 – Tim Swanson: The Bitcoin Hype Buster - YouTube
このビデオでは、Tim Swansonという元マイナーの人が、ビットコインのマイニング中央化の問題について主に語っており、いわゆる「To the Moon」というビットコインの一般化(全ての人がビットコインをメイン通貨として使用しているような状況)は起こらないという警鐘を鳴らしています。
Timのようにビットコインについて深く理解しているからこその、問題点の指摘や、警告というのは非常に有益な情報になると思います。私個人としては、 通貨としてのビットコインがもう少し一般的になるように色々活動していくのは変わりませんが、批判する側の意見もしっかり理解し、あまり固定的な考えに陥らないようにした方がいいなと思いました。
それでは。
Bit Con? Veteran fraud expert sets his sights on bitcoin - Fortune