ビットコインの黒歴史 Silkroad(シルクロード)編
Mt Goxの一連の騒動は日本でも大いに報道され、ある意味ビットコインの認知度を大きく引き上げました。少し前進して大きく後退した感じです笑
ただ僕自身もMt Goxの件をきっかけにビットコインを調べてみようと思った、比較的後発組なのである種の恩恵はありましたが。
さて、その他にもビットコインの6年の短い生涯の中で、いわゆる黒い事件というのはいくつかあります。もちろんビットコインを悪用したり、脆弱性を攻撃するハッカーは必ず存在しますし、そういう事件があったとしても、本来はビットコインの信頼性とは切り離して考えられるべきですが、そういう黒い影が常にビットコインには付きまとっているのも事実です。
そういう要素が一般への浸透を遅らせているとの見方もできますね。僕はもちろんそういうところを理解した上で、ビットコインの可能性を信じてますが、より公平な視点を保つために今回はビットコインの黒い歴史を見てみようと思います。基本ビットコインに関していいことばっか書くので、反対の視点から見ようとすることも大事ですね。
今回はその中でも一大事件となった、闇取引所Silkroadについて説明します。
Silkroad(シルクロード)
シルクロードは2011年2月にDeep Web上に作られたマーケットプレイスです。Deep Web(深層ウェブ)上のヤフオクみたいなものです。
ただし、ヤフオクとの大きな違いは、シルクロードは薬物、銃、流出クレジットカード情報など違法なものや情報の取引に使われていたこと。もう一つは唯一の決算手段としてビットコインが使われていたことです。
現在でもまだまだ一般のビジネスや店舗での導入が進んでいないビットコインですが、シルクロードはあまり使い道のなかったビットコインの半匿名性を利用し、ビットコインの応用方法として一つの可能性を示しました。もちろん好意的に解釈すればですが。
当然、薬物や銃器などの取引は違法です。結果として、2013年10月に創設者と考えられている Ross William Ulbricht、通称"Dread Pirate Roberts"(恐ろしい海賊ロバート)はサンフランシスコの図書館にてFBIに逮捕されました。それと同時にシルクロード自体もFBIにより閉鎖され、Ulbrichtが保有していたとされる144,000BTC(当時のレートで28億円程度)もFBIに回収されました。
Rossはまだ20代の青年でした。
ただし、これで一件落着するはずもなく、オリジナルのシルクロードが閉鎖された直後から、Silkroad2.0と総称される複数のサイトがDeep Webに復活し、現在もそれらのサイトは運営されているところもあります。つまり、オリジナルのものを潰したのはよかったのですが、「ビットコインによる違法物品、サービスの売買」というモデルがすでに世に紹介されてしまったため、いたちごっこになってしまっているのです。
おそらく今後も全ての闇サイトを閉鎖することは不可能でしょう。
また、Ulbrichtに対する判決もまだ下ってはおらず、本人は関与を否定しています。裁判は2015年1月から始まる予定で、ビットコインコミュニティの中でもこの裁判はかなり注目の高いトピックの一つになっています。
コミュニティの中でも意見は割れますが、Ulbrichtはスケープゴートにされているだけだ、とか、政府やFBIなどに監視されることなく個人間がやりとりをできる新しいモデルを作った、など彼に味方する人たちもいます。また、個人を特定せずともやりとりのできるビットコインを使うことで、むしろ薬物取引時の暴力や危険が減り、結果としてより平和で、秩序が保たれている、と指摘する人もいます。例えば大麻を合法化したアムステルダムなどでは、むしろ大麻の使用が減ったという報告もあります。
一方、ビットコインと違法薬物などとのつながりを想起させるとか、違法な行為をしたので逮捕されるのは当然だという意見ももちろんあり、どう解釈するかはビットコイナーの個人の判断によるところが大きいです。
シルクロードで回収されたビットコインの行方
前述した通りFBIが没収した144,000BTCのうち、30,000BTCは2014年6月27日に公開オークションに出され、アメリカの投資家のTim Draperが全て競り落としました。彼がいくらでビットコインを競り落としたかは正確にはわかってはいませんが、当時のマーケットレートで考えても(600ドル程度)、18億円程度をビットコインに投資したことになります。
彼はその後も活発にビットコインに関するベンチャー投資などをしており、数年後にビットコインの価格は数十倍になるだろうとも予想しています。
私の考え
シルクロードに限らず、薬物や違法行為などとビットコインが結び付けられることは多々あります。それは今後もあまり変わらないでしょうし、政府や銀行がビットコインを批判する時の謳い文句として、常に薬物、テロリズム、資金洗浄などが挙げられます。
ただし、それはビットコインという仕組みが上手く機能しているから、という証明でもあります。犯罪に使おうが、チャリティーに使おうが個人間で直接、スピーディーで格安なやり取りを、第三者にごちゃごちゃ言われずとも可能にする。それがビットコインのすごいところです。自分が薬物の売人だとしても、仕組みへの信頼がないとビットコインなんて使いませんしね笑実際シルクロードの首謀者とされるUlbrichtは捕まりましたが、取引をしていた登録者の大部分は捕まってはいません。
同時に違法行為を奨励するようなことはよくないとは思います。実際そういう薬物や銃などを使って、死ぬ人が出たり、犯罪に使われたとしたら、それに対する規制のようなものは必要かもしれません。ただし、規制のしようがあまりないのがビットコインなので、政府に主導権というのはないかもしれません。
ビットコインはインターネットに近いと思います。インターネットだって犯罪の手段の一つとして使われていますし、もともとシルクロードだってインターネット(Deep Web)という基盤があって初めて可能になりました。ただ、今さらそれをインターネットのせいにする人はいませんよね?
正月でお餅をのどに詰まらせて死ぬ人が毎年いますが、餅を禁止するなんて愚かなことはしません。ただ、餅を詰まらせないような商品の工夫だったり、注意書きを書いたり、とかせいぜいそれくらいしかできないのです。後は個人が個人を守るしかない。そうか、ビットコインって正月の餅と近いんですね笑
それでは。
Silk Road (marketplace) - Wikipedia, the free encyclopedia
Court Delays Ross Ulbricht Silk Road Trial Until January 2015
Tim Draper: Bitcoin's Price Still Headed to $10k