2018年年始予想の答え合わせ&振り返り
気づいたら2018年もほぼ終わりということで、やばいですね…。まあそれはさておき、年末なので果たして年始にした予想が正しかったのか、をせっかくなので振り返ってみようと思います。
こちらのブログの方では、年始に「暗号通貨業界の大胆?予想」、ということで、起こる確率は高くはないかもしれないけど、ありえること、という予想をしていました。
ちなみに、もう少しちゃんとした今年の予想は色んなテーマについてビットコイン研究所の方でしていて、昨日ちょうどそちらの答え合わせと一年の振り返りに関するレポートを書いたのですが、ちゃんと予想した方で当たっていたのは、
- ビットコインキャッシュ(BCH)は今年中に分裂する
- ICOプロジェクトはプロダクトがほとんど出てこなく、18年後半に価格なども崩壊、SECなどからの締め付けも厳しくなる
- Lightning Networkのメインネットの立ち上がりと進捗(ただし今年中にはまだ大きな浸透とかはない)
などでした。
逆に外したものは、
- 国内はアルトコインを中心に17年に引き続き取引が盛り上がる
- ビットコインの送金手数料はSegWit導入後も引き続き高い水準で推移する
- 価格予想(20,000ドル⇒10,000ドル程度⇒31,000ドル
などです。まあ価格予想とかは毎年余興としてやっているのですが、やはり当たりませんね笑自分以外も含めてちゃんとしたアナリストとかも年末に向けてまた大きな上昇の動きがあるだろう、と予想している人が多かったのですが、やはり市場の動きは読めませんね。
では、こちらのブログで別にした大胆予想は果たして正しかったのか?振り返ると実はドンピシャで当たっているもの、カスってもないもの両方ありましたね。
ビットコインマイニングの本場が中国から北欧などに移動する
こちらの予想は当たっていましたね。
今振り返ると、まあそんなものでしょう、くらいに感じるかもしれませんが、17年、また18年の初めくらいまでは、ビットコインマイニングと言えばやはり中国、中国国内のマイニング集権化云々、という批判なども多かったです。それがこの1年で全てではないですが、確実に中国国内から北欧やカナダなどへマイニングの拠点が移って行った動きがありました。
結局中国国内ではマイニングは明確に禁止されているわけでも許可されているわけでもないようですが、より電気代が安い、有利な環境を求めて各地にマイニングファームが散らばっていっているのは検閲耐性などの点から見ても悪いことではないと思います。そしてBitmain以外にも複数のASIC製造業者が出てきたのも事実でしたが、ただ先日ちょうどGMOがASICの製造販売から撤退、というニュースがあったり、こちらはまだまだ複数業者間で熾烈な競争が起きている、という感じではまだないですね。
ビットコインの市場規模を抜くコインが出てくる
こちらの予想は完全に外れていましたね。一年を通してみると、むしろBitcoinのDominanceは年始の40%くらいから50%強くらいまで上がってきています。
これはビットコインの占有率が上がったというよりは、暗号通貨市場全体の価格が軒並み崩壊したことで、より市場規模が大きいビットコインが下位のコインと比べると下げ幅が相対的に小さかっただけ、という感じです。ちなみに17年の過去最高値からの下落率をCoingeckoで一覧できるのですが、ご覧の通りの惨状ですw(下位に行くともっとひどくなる)
こちらは外れましたが、何が言いたかったかというと、特に去年17年のような狂乱相場が18年ももう少し続いていたとしたら、中身や実態が伴っているかどうかは別として単純なハイプだけで特定のコインの市場規模がものすごく上がってしまう事態も想定出来ましたし、それは長期的にはサステイナブルではないのですが、それくらいかなり過剰な投機熱がまだ続いていた、というのが年始の雰囲気でした。(出川のテレビCMもなつかしいですね)
また、CoinMarketCapなどでよく使われる上記の占有率やそもそも市場規模の測り方自体もこれが適切なのか、という問題があり、運営が大量にコインを保有している場合の市場規模の算出方法の妥当性(ロックアップしたりしているものは市場規模に含むべきではない、など)、もしくはそもそもビットコインとその他の完全に集権化されているコインの規模を横並べに比べること自体が、ビットコインと楽天ポイントとかTポイントの市場規模を比べているくらいおかしいような気もします。
というわけで、暗号通貨の市場規模ランキングは未だに重視される項目の一つですが、そもそも測り方が正確なのか、比較対象は妥当なのか、はもう少し意識されるべきでしょうね。来年以降例えば新しいコインや、かなり広く流通するStablecoinが出てきて市場規模の上ではビットコインを抜く、という事態が起きたとして、果たしてそれはビットコイン的にはそんなに重要な要素と言えるのか、などの議論も出てきそうです。
草コインのマーケットシェアが50%を超える
これも上記で見た通り外れでしたね。実際は今年は1年を通して大きな下落相場になり、去年盛り上がったのが完全に反転し、一番被害を受けたのは弱小草コインでした。…まあ、これは長期で見れば草コインの定義的に当たり前なのですが、もう少し今年はまだ草コインが頑張るタイミング出てくるかな、と思っていましたが、途中から一瞬でへばりましたね…、草。
取引所が複数大規模Goxする
うん、まあこれは残念ながら当たっていました。これに関してはコインチェックとZaifでのハック事件などすでにみんなよく知っていると思うので、詳しくは割愛。
自分が年始の記事で書いたものをそのまま引用すると、
〔年始の時点でしばらくGox事件を聞かないのは〕取引所のベストプラクティスが少しづつ確立されてきているから、ともいえると思いますが、同時にこれだけ新興取引所がアグレッシブに新しいコインを追加したり、新規ユーザーの流入で一杯一杯になっているような状況はGoxリスクの観点から言っても結構怖いところはあります。中には今の時点であまりいい噂をきかない取引所も会ったり、今年自分は久しぶりに大規模なGoxがあり、Goxに慣れてない初心者層が大量に焼かれる危険性があると懸念しています。
こちらの予想をした時は必ずしも国内の取引所で大きなGox事件が起きることを具体的に予想していたわけではないですが、大きなインシデントが過去でなかった日本の取引所の状況を考えると、どのような形であれ何かしらの事故は避けられないだろうと思っていました。特にやはり市場が急激に大きくなりすぎて対応が間に合ってなかったのは、国内も海外も一緒だったとは思いますが、そういう時がやはり事故が起きやすいタイミングなんですよね…、というのはまあわかっていたので。
日本の仮想通貨マーケットシェアの低下
こちらの予想は自分は少し自信薄だったのですが、結果的には当たっていましたね。以下のようなことを言っていました。
普通に考えると草コインなども含めこのまま日本の市場は伸びていきそうですし、一応大枠はその方向性で予想していますが、別の方向で大胆予想するなら、ICOスキャンダル、取引所Gox、相場崩壊による関心の低下、海外(韓国など)のマーケットの成長による相対的ポジションの低下など、今より今年の年末は日本の市場の存在感が薄くなっている可能性も微妙にはあるな、と。
うーん、まあこれは結構書き方からも色々ヘッジしている感はありますが、結果的にはICOスキャンダル、取引所Gox、海外の伸長などもありここに書いてある通り日本の仮想通貨マーケットでの存在感は17年に比べてかなり落ち込んだと思いますし、今もまだ清算出来てないような状況ですね…。
というわけで、5個予想したうちの3つはあたり2つは外れでした!まあそんなものだろう、って感じですが、年始の無責任予想は中々面白く毎年やっているので、19年の年明けもまた大胆予想記事を書こうと思います。お楽しみに。
ちなみにビットコイナー反省会の方でも年末の緩い振り返り放送を12月30日誰が聞くか知らないですが緩くやる予定なので、暇な人は是非見てくださいw時間などはTwitterとかで改めて告知します。
それではよいお年を。読者の皆さん今年もありがとうございました。
12月28日にCNPCOIN老人会を開催します…
タイトルの通りかつ手短な投稿になりますが、12月28日に「CNPCOIN老人会」を開催します。内容としては、長く界隈に生息していて、このブログを以前から応援してくれていた方たちと、2018年を振り返ったり、過去の話で盛り上がりなら老人のように、「あー、あんなことあったね~」などと過去を美化しながら話し合う会です。
そもそもCNPCOINって?という人もいるかもしれないですが、あえてノーヒントで何も書きません笑知っている人はすでに知っていると思いますし、あえて書かない方が老人が集まるので良いでしょうw
今年の後半どこかでやりたい、と言っていたのですが、今回忘年会みたいなのも兼ねて以前から応援してくれている読者の方たちと是非色々お話出来ればと思います…。正直何人来るかわからないですが、決行します!w
以下要項
日時:12月28日(金) 19時半~適当な時間
場所: HashHub 東京都文京区本郷3–38–1本郷信徳ビル7階 (この日はもう閉館していると思いますが、特別に開放して隅っこの方でやりますw)
食事:自腹で適当なデリバリーフードか何かを用意する予定(その後近所のレストランか何かでちゃんとご飯食べるかも)
内容:
- みんなで今年を振り返る
(愚痴が多い可能性w) - みんなで過去を振り返る
- 来年2019年の抱負について
つまり緩いオフ会です。
参加費用:3,000 CNPCOIN
当日各自のCounterparty対応のウォレットから、自分のウォレットの方に送金(Burn)してもらいます。CNPCOIN保有者以外はFiatも暗号通貨も受け付けません。
参加人数(想定):多分5人くらい
もし来れそうな人はTwitterか記事へのコメントか、何でもいいのですが、一応事前に教えていただけると参加人数がわかるので嬉しいです。
では、もしCNPCOIN保有者で来れる方がいたら、是非また年末に色々緩く話しましょう。多分来る人はそこまで多くないと思いますが、中々濃い人たちが集まる気がしますw
トークンプラットフォームとしてのLiquidサイドチェーンの特徴と適したユースケース
長い開発期間の後、ついに先日Blockstream社が開発していたFederated sidechain(サイドチェーン)プロダクト「Liquid」がメインネットで稼働を始めました。
Liquidは元々取引所間の資金の移動をより円滑にしてトレード体験の向上をさせることなどがメインの狙いとして期待されていましたが、ふたを開けてみるとむしろ重要なのは取引所内での使用というよりは、取引所の外でもオープンプラットフォームとして使えることかもしれない、ということなどが少しづつ明らかになってきています。
その中でも特にLiquid上でトークンを発行する機能はまだあまり注目されていない気がしますが、今後Liquidがトークン発行プラットフォームの一つとして重要なポジションを握る可能性もあるので、現状のトークンプラットフォームの課題なども含めて少し考えてみます。
ちなみにLiquidの全体像、オーバービューなどはビットコイン研究所のレポートで大石さんがかなり上手くまとめてくれているので、興味のある人はそちらを是非読んでください。こちらのブログ記事では一部かぶる部分もありますが、特にLiquidとトークン発行に限定して考えます。
(せっかくなので研究所のレポートで図解で使ったものを一部掲載)
Ethereum上のトークンの現状と課題
さて、Liquid上のトークンの話をする前に今のトークン周りの現状を少し振り返ってみます。
元々ブロックチェーンを利用したトークン発行はビットコインブロックチェーン上で始まり、Colored Coin、Omni、Counterpartyなどで先に実験が進みました。ただし16年~17年にかけて特にビットコインブロックチェーン上の手数料高騰もあり、トークンプラットフォームの中心はイーサリアムに移行し、今に至ります。現在存在するトークン発行の大部分はEthereum上のもので、17年のICOブームの基盤となったERC-20や、Cryptokittiesで確立されたERC-721のNon-fungible tokenが特によく使われるトークンスタンダートです。
Ethereum上のトークンに関してはすでに知っている人が多いので細かい説明はしませんが、ビットコインのブロックチェーン上のColored Coinなどと比べてEthereum上のトークンは、
- トークンをカスタマイズして必要な機能や制限を加えることが出来る柔軟性(最重要)
- 対応ウォレットや外部関連ツール、Ethereum上の別のDappsなどが多く存在し、トークンの為のインフラが整っている
- (少なくとも当初は)ビットコイン上のトークンと比較して送金手数料が安かった
などの要因が大きかったです。
他にもWaves、Stellar、NEMなどトークンを発行できて比較的実用的なプラットフォームは複数あるのですが、手数料がより安くても、より使いやすくてもあまり利用が広がっていないところを見ると、スマートコントラクトによる拡張性、またEthereum自体のプラットフォームとしての求心力の強さなどはやはり大きかったと思います。
ただし、同時にEthereum上のトークン発行では現在以下のような問題が認識され始めています。
- 手数料の高騰
これは特に説明する必要もないですし、使っている人なら気付いているとは思いますが、Ethereum上のトークンの送金手数料が以前に比べて高騰しています。(が、Bitinfochartsで平均tx feeをちらっと見たら、今は平均で10円程度なので別段高くはないようですが) - スピード
Etheruemのブロック承認時間は10~15秒くらいと必ずしも暗号通貨の中では遅い方ではないですが、これはよりリアルタイムに近い承認を必要とするゲームや高速トレードなどのユースケースを考えると遅い、と特にスピードを売りにする新型ブロックチェーンのEOSなどに指摘されています。 - スケーラビリティー
手数料と表裏一体なのですが、トークン発行からのICOなどEthereum上のトランザクション数が増えて手数料が高騰すると同時に、いわゆる「詰まり」現象が起きて中々トランザクションが認識されなかったり、ノードのメンテナンスにかかるコストも肥大化しています。 - 安全性
Ethereum上のトークンの強みは柔軟性や拡張性なのですが、同時にそれは予期しないバグが混入し、トークンが動かせなくなったり、トークンを勝手に追加発行されたり、などのリスクも招きます。実際過去にそういうインシデントは何回かあり、今後さらにトークンに付与する条件が複雑化するほど同様の事件は出てくると思います。
Liquid上のトークンの特徴
さて、話をLiquidに戻します。
Liquidはメインチェーン上のビットコインと1対1で裏付け(ペッグ)をされたL-BTCをサイドチェーン上で発行し、通常のビットコインより高速により匿名性が高い送金を可能にする技術です。ただし、同時に独立したオープンなブロックチェーンとして、独自トークンを発行するプラットフォームとも捉えられます。
細かい話はここでは省略しますが、Liquid上のトークンには主に以下のような特徴、強みがあります。
- 匿名性
L-BTC(Liquid上のビットコイン)の大きな強みの一つがConfidential transactionsという技術を利用した匿名性の高い送金なのですが、これはLiquid上のトークンにも応用可能で、Liquid上の匿名送金が可能なトークンは「Confidential Assets」と呼ばれます。これにより送金されたトークンの金額やアセットの種類が秘匿され、トークン送金時のプライバシーが大きく改善されます。
例えば、トークン化された証券を保有していたとして、自分が○○の株式をいくら保有していて、いつどれだけ取引所に移動したりしているか、などの情報を外部に漏れてしまうとしたらトークン化の実利用の大きな問題になりえますよね。その点でも匿名性というのはビットコインやEtherなどの通貨型のコインだけでなく、トークンにとっても非常に重要な機能です。
匿名性の高い独自トークンの送金が可能というのが、おそらくトークンプラットフォームとしてのLiquidの最も重要なポイントになると思います。 - 低コスト
Liquidのウリは必ずしも低手数料などのコスト面ではないですが、おそらくしばらくはLiquid上のトークンの送金手数料は1円以下、利用が増えてもせいぜい数円レベルと比較的安価になると想定されます。
数円というのはトークンのユースケースによっては高く感じるかもしれないですが、Liquidは取引所連合が管理するサイドチェーンなので、必要であればブロックサイズの拡張による手数料の引き下げなども将来的にはそこまで難しくないと思います。 - 安定性
Liquidはビットコインのコードベースを基に作られており、少なくともその他のアルトコインと比べれば比較的安定、安全であると言えます。Ethereum上のトークンは柔軟性や拡張可能性が強みと言いましたが、同時にこれはトークンのコードにバグが入り予想外の資金喪失や凍結なども起こりうるわけで、安定性と柔軟性はちょっとしたトレードオフの関係にあると言えるかもしれません。 - アトミックスワップ機能(分散取引)
そしてLiquid上のトークンのもう一つの重要な機能として、トークンとLBTC間のアトミックスワップ、要はトークンとビットコイン、もしくはトークン間の第三者を信頼しない形での分散取引が出来る機能がついているということです。これによりLiquid上で発行されたトークンは需要さえあれば市場ですぐに取引が可能になります(遵法の話などは無視しますが)
Liquid上のトークンに適したユースケースは何か?
Liquid上のトークンでやはり一番特徴的なのは匿名性の高い送金(Confidential transactions)が出来る、ということになりますが、この特徴が上手く発揮されるのは「通貨性の高いトークン」、今のところStablecoin等ではないかと自分は考えています。
すでに多くのStablecoinが存在しますが、なんだかんだ一番使われているのはTetherというOmni上のトークンです。それからもわかるように、案外Stablecoinには多機能は要求されず、特にトレーダーのツールの一つ、分散取引のトレードペアとして、もしくは店舗での利用などを想定されているのであれば、Liquidの特徴である匿名性、手数料が低いこと、安定性、がむしろ重要という見方も出来ると思います。
Stablecoinは今のところEthereum上で発行されることが多いですが、ERC-20などEthereumのトークンは一つのアドレスを使い回しするので、プライバシーが非常に低いという欠点があります。Collectiblesなどトークンのユースケースによっては匿名性はあまり重要ではない場合もありますが、Stablecoinにとって匿名性はかなり重要な性質の一つでしょう。
Tetherに話を戻して考えると、TetherはLiquidネットワークにも参加しているBitfinexが実質発行しているStablecoinなので、もしかしたらTetherをLiquid上のトークンとして発行する、という展開も場合によってはありえるかもしれません。
もう一つLiquidトークンのユースケースとして考えらえるのは、シンプルなセキュリティートークンの発行、というのもあり得るかもしれません。LiquidトークンはEthereum上のトークンと比べると特別なカスタム機能付加などが難しいですが、同時にシンプルな配当機能だけが必要なセキュリティートークンなどを発行する場合は、拡張性より安定性が重視される場合もあるかもしれません。
Liquidの課題は?
Liquidの課題は、一言でいえばまだ関連ツールも乏しいですし、まだ何も実証されていないことでしょう。理論上は上述の特徴や強みがあるという話をしましたが、実際に利用が広がるかどうかは、どれくらい開発者や起業家などを巻き込めるかなどにもかかっており、ここらへんはまだまだイーサリアムに分があると思います。
また、限りなくオープン化しようとはしているものの最終的なトランザクション承認者は取引所連合であり完全なトラストレスではないのもネックの一つでしょう。検閲の可能性など、ここら辺が忌避されると、取引所エコシステム外でのLiquidトークンプラットフォームとしての利用は期待する程広がらないかもしれません。
仮に匿名性の高い送金を活用したStablecoinやその他の応用が出てきた時に、国家や規制者から何かしらのプレッシャーをかけられ検閲されたり、トークンの利用を禁止されたりする可能性もありえるな、とは思いました。ここら辺がトラストレスではない仕組みの常にボトルネックに当たる部分になります。
まあとは言え、管理主体がいるトークンの場合、Ethereumのようなパブリックブロックチェーンを使おうが、LiquidのようなトラストレスではないFederated sidechainを使おうが現実的には潰せてしまうという点ではあまり差はないという反論もできますが。
他にもLiquidのブロック承認時間は1分で、これはEtheruemやそれよりさらに早いブロック承認時間のブロックチェーンと比べると非常に遅いです。(Bitcoinの10分よりは大分早いですが)ここら辺も考えると、Liquidはやはり万能なトークンプラットフォームでは全然なく、ユースケース次第、という気がします。
まとめ
というわけで、今回はLiquidのトークンプラットフォームとしての側面についてフォーカスしましたが、Liquidは当初想定されていたような取引所ユーザーのみに利用されるだけでなく、より広範な領域でオープンに利用可能という部分は重要ポイントとして抑えてほいた方がいいと思います。
今まではとりあえずトークンを発行しようと思ったら特に何も考えずにEthereumで、ということが多かったと思いますが、スケーラビリティーの課題などにぶつかったEthereumから、LiquidやEOSなどの別チェーンでのトークン利用の移行、というトレンドが少し見えてきています。
同時に、スピードやコストでのメリットだけならすでにWavesやStellarなどのトークンプラットフォームが存在しているにも関わらず、それらの利用がEthereumと比較してかなり限定的であることも考えると、スマートコントラクトの柔軟性はやはり大きな強みで、何だかんだイーサリアムのトークンプラットフォームとしてのポジションを崩すのは難しかった、という展開も十分にあり得ます。
とりあえず、自分個人としては完全トラストレスではないが、よりプライベートな送金がビットコイン及び、トークンでも使えるというのには非常に興味があり、今までとは少し違うサービスの考案、ビジネスを構築できる機会はあるのではないかと感じました。この数か月以内に取引所内での実利用が始まったり、対応ウォレットが出てきたり色々動きが出てくるので、他の人もある程度注目しておいて損はないでしょう。
Liquidに関するより細かい解説や考察などは、また追って機会があればやっていこうと思います。
ではでは。