ビットコインダンジョン2.0

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ビットコインキャッシュの11月15日のハードフォーク展開予想

ビットコインキャッシュのハードフォークの件、支援者やホルダーだけでなく、市場やトレーダーも巻き込んで盛り上がっていますね。Bitcoin Cashだけでなく、Bitcoinにも一部影響のある重要な話だと思います。

 

去年8月に、Bitcoinがスケーリングとブロックサイズ変更の是非を巡って分裂のリスクが高まっていた時にこちらのブログでその後のSegWit2xの予想記事を書いていました。こちら当たらなかった部分もありますが、やはり事前に予想して後で答え合わせをするのは結構面白いので、今回のBitcoin Cashのハードフォークについても簡潔に展開予想をしておこうと思います。(まあこういう記事とかは後で見返しても当時の混乱とかを覚えてないと、誰でもこんなの簡単に当てられるだろう、とか思うかもしれませんがw)

 

coinandpeace.hatenablog.com

 

coinandpeace.hatenablog.com

 

ビットコインキャッシュのハードフォーク騒動に関しての予備知識

今回の件の基本的な解説は他にも日本語で色々有用な記事や動画があるので、いくつか紹介しておきます。そちらを見てもらえれば改めて説明する必要はないかと思います。

 

developers.yenom.tech

 

Bitcoin Cashのウォレットを開発しているYenomさんの、そもそもソフトフォーク、ハードフォークとは何か、リプレイプロテクションとは?などの基本的な事項を解説してくれているシリーズです。合計3記事で基本からまとめてくれています。

 

doublehash.me

 

Bitcoin Cashが、ABCとSVの二つに分裂する可能性が高い理由、またユーザーの対応策などについて大石さんがまとめています。

 

また、ビットコイン研究所の方ではさらに詳しい「そもそもABCとSVの技術的な差異やそれぞれのメリット、デメリットは何か?」「分裂時にユーザーやトレーダーがとらなくてはいけない具体的な行動や対策、注意点」などをわかりやすくまとめるレポートを複数公開して、他に参加者から質問があれば随時回答しています。

 

lounge.dmm.com

 

また、動画で色々聞きたいという人は昨日ビットコイナー反省会の方で、Yenom代表の宇佐美さんとビットコインキャッシュの普及活動に取り組んでいる雨弓さんに来ていただき、基本的な部分の解説や今後の展開などについて議論しています。

 

www.youtube.com

 

他にも色々公開されている情報はありますが、とりあえず上記のものなどを参考にしていただければよいかと思います。

 

11月15日のハードフォーク展開予想

 

さて、事前解説は他のソースに任せるとして、11月15日以降どういう展開になりそうか自分の予想をしておきます。

 

なお、当然ですが、必ずしもこの通りの展開に確実になるわけではないですし、自分も今回の件に関してはYenom宇佐美さんの解説などを参考に考察しているだけで、あまりそれぞれの陣営の力関係や細かいコミュニティーの様子などは把握していません。なので外れたらすいません、という感じにはなりますが、後で答え合わせしましょうw

 

BCHネットワークは二つに分裂する

 

これは上記Yenomや大石さんの記事などを参考にして欲しいですが、少なくとも技術的には2つのチェーンに分岐して、BCH ABCコインと、BCH SVコインの二つが存在することになるのはほぼ間違いないと思います。

 

一応、結局直前に双方の歩み寄りがあったり、結局11月15日に焦ってハードフォークをする必要がないという結論になり、ABCのアップデートが中止され、現状のバージョンを走らせつつ妥協案を探そう、という展開も考えられます。個人的にはこの展開がBCHコミュニティー全体にとって今考えられる最も友好的かつ現実的な解決だと思います。

 

ただし、今の時点でABC側とSV側のリーダー格同士のいざこざや罵り合いなどが見られ、技術というか人間関係的な要因でこのような歩み寄りは可能性は低いと自分は見ています。なので、一時的でもABCとSV二つのコインが取引所でリストされ、トレードされる展開は避けられないでしょう。

 

ABCとSVの現在の力関係 

まず、今の時点でのABCとSVの力関係を把握しましょう。

 

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PoloniexではすでにBCH ABCとBCH SVのコインの先物市場が用意されており、これが現在のコインの勢力関係を測るための一つの指標になっています。なお、Bitcoinの分裂騒動の時も似たような市場が立ち、結構正確な指標の一つになっていたと記憶しています。

 

これを見ると、今の時点(11月11日5時PMくらい)ABCが450ドル、SVが100ドルくらいで、ABCがまだ大幅に有利な状況となっています。

 

また、価格に加え、ABCとSVを支持するハッシュパワーも予想材料の一つとして重要です。Coin.danceというウェブサイトでBitcoin Cashのマイニングパワーの分布が見れます。

 

f:id:coinandpeace:20181111173021p:plain

 

cash.coin.dance

 

自分が聞いている限りでは、Coingeek, SVPool, BMG PoolはCraigと関係があり、BCH SVを支持しているプールとのことです。この3つだけで直近2週間で40%のハッシュレートを持っていることになります。しかもこの数日でHashrateがさらに上がっていて、現在時点ではおよそBCHのおよそ半分のHashrateがSVを支持していることになります。

 

ただし、ハッシュレートが強い方が最終的に勝つのか(大多数に正当なチェーンとして受け入れられるか)、というとそうでもありません。ハッシュレートは価格や流動性に最終的には追随するので、価格が高いコインの方が圧倒的に有利、それはつまり取引所での取り扱いやウォレットでの取り扱いなどに大きく影響されます。取引所やウォレットは、ABCを今まで通りのBCHとして取り扱うところの方が多く、この点ではABCが有利です。先物市場でもABCコインの値段の方が上なのはここら辺が大きな理由でしょう。

 

15日の分裂後どうなるか?

 

今の時点ではハッシュパワーで上回るSV側ですが、取引所や事業者、支持者の数ではABCの方が多いようです。そこらへんも含めると、分裂後もABCの方が高い価格をつけて取引所で取引されると思います。また、ハッシュパワーが現在SV側が上回っているとしても、ABC側につくJihanがBTC側のプールから一部ハッシュパワーを借りてきたりすればこれは比較的容易にひっくり返せるわけで、今の時点でのハッシュパワーはそこまでうのみにしない方がいいと思います。

 

ただし、SV側としては価格が相対的に低いのは問題ではなく、無視できないほどの一定の市場規模や注目度、取引所での取り扱いなどがあれば十分大きな混乱をBCHネットワークに及ぼすことが可能で、長期的な泥沼に持ち込めます。

 

自分が理解している限りではCraig Wright率いるSV側は、自分たちのポジションを貫きとおす為に徹底抗戦する姿勢を見せているようで、数週間以上Bitcoin Cash上での送金がまともに出来ないような状況になるのをみんな恐れています。(ここら辺の話はリプレイプロテクションの有無の話なのですが、冒頭紹介した記事や動画を確認してください)

 

では15日以降、具体的にどうなるかですが、自分の今の予想ではSVには少なくとも無視出来ないくらいの市場規模がつくはずで、またトレーダーの札束の殴り合いの状況次第では、分裂数日以内に価格的にSVがABCを上回るタイミングがあってもおかしくないと思います。

ただしSVがABCより高い価格を維持し、最終的に取引所や事業者がSVの方が正当なBCHフォーク、という認識になる可能性は低いと思います。ここらへんは技術の仕様がどちらが優れているか、というよりは、政治的に誰がどちらのサイドについているのか、それぞれのコミュニティーの大きさや支持者の数がどれくらいなのか、による推測にはなりますが。

最終的にはSVも中々死なないし、その間はABCも送金機能が麻痺してしまうので、1週間~2週間以内くらいでABC側が折れてリプレイプロテクションをつけ、完全に二つのネットワークとして、Bitcoin Cash(ABC)とBitcoin Cash SVという二つのコインに完全に分かれて決着、というのが一番可能性が高い展開だと予想します。

 

その他考えられる事態

一応上記の予想が自分の今のところの展開予想ですが、他の攻撃シナリオもあり、予想外の展開もありえるとは思います。

 

doublehash.me

 

大石さんのブログの方で説明されている、実質有効ブロックサイズを利用したSVからABCへの攻撃、みたいなものが実際に行われたとしたら、ABC側のノードを断続的にクラッシュさせることが可能かもしれず、そうすると市場もABCよりSVの方を高く評価を付け始めるような展開もありえます(まあそれを防ぐためにもリプレイプロテクションを余儀なくされるのかもしれないですが)

 

他には、ABCがリプレイプロテクションをつけるのを拒否する展開ですね。ABC側の様子を見ていると、SVよりは強硬な感じではないので、SVにほとんど価格がつかない場合やSVにその他の致命的なバグが見つかって自爆したり、とかではない限り、これもちょっと考えづらい気もします。

 

もう一つあるかもしれないのが、BTCマイナーの参戦展開です。これはJihanが一部のBTCマイニングのハッシュパワーをBCHのハッシュ競争に振り分けるのではないか、という説も含めですが、BTC側のマイナーが意図的にどちらかのネットワークを攻撃し、価格をクラッシュさせてショートポジションをとって儲ける、みたいなこともありえなくはないと思います。

 

ここら辺の細かい部分は実際に何が起こるかはさすがにまだわからないですね。

 

Bitcoin Cashへの評価はどうなるのか

 

さて、自分は最終的には2週間以内くらいに今回の事態は一定の収束を見ると予想しますが、同時に今回の件はABC,SV双方、Bitcoin Cashそのもの自体にダメージを残すと思います。

 

17年の8月にBitcoinとBitcoin Cashが分かれた時、二つのコインの価格の和は、元々一つだった時の価格を上回りました。なので、分裂したことでどこからかお金が降ってきたような、保有者にとっては美味しい展開になったわけです。これは長く続いたスケーリングの議論が一定の決着を見せ、二つの別の方向性のコインとして前進できることが好感されたから、と自分は考えています。

 

一方、今回のBCHの分裂騒動で明らかになったのは、比較的些細な仕様変更を巡り、ネットワークが分裂し、全体のネットワークが使用不可になったり、事業者やユーザーに多大な混乱を与えるような状況です。こうなると、BCHの根本的なオンチェーンの仕様変更や定期的なアップグレードをしていくアプローチ自体への疑念というのも出てくると思いますし、実際今回の一連の騒動で冷めてきてしまっている人たちもいるように見えます。

その点では、おそらく分裂後何とか2つのネットワークが安定したとしても、BTCとBCHの分裂の時とは違い、ABCとSVの合計価格は分裂前のBCH価格を下回るのではないかと思います。

ただし、実は今回の話はBCHだけの話ではなく、 Bitcoin含むその他の暗号通貨にも直接関わる話であり、管理主体のいないはずの暗号通貨に実は実質的独裁者がいた方がいいのではないか、GPUのPoWマイニングベースのコインで似たような事態が起こる可能性、など色々考えさせられます。その点では別に「BCHのやり方が間違ってた」と全否定するよりは、今回の一連の事件を通して暗号通貨のガバナンスや今後その他のコインへどういうことが起こりえるか、という教訓にしてけばよいのではないでしょうか。

 

とりあえず15日前後はまだ絶対何かしら動きは出てくると思うので、特に保有者や影響を受ける人たちは最低限の学習やフォローをして、最低でもコインを失ったり、予想外の機会損失したりしないようにお勧めします。

 

 

「Ether価格は崩壊する」論の妥当性を考える

数日前にTechcrunchに寄稿されたこちらの記事が物議を一部醸していましたね。

 

The collapse of ETH is inevitable – TechCrunch

 

まあこれを書いた人はBitcoin Coreの開発者であったり、今Ethereumと一部競合しているStellarにも協力しているJeremy Rubinさんという人だということもあり、「こんなのただのポジトーク」「こんな馬鹿な理論はない」、という感じた人もいると思いますが、記事の主張とVitalikの反論も見てみると中々興味深い論点だとは思うので、自分も少し考えてみました。

 

記事が主張していることは何なのか?

 

まず記事の主張は本質的には何なのでしょうか?Rubinの主張をまとめると、Ethereum上のアプリケーション(特に独自トークン)とEtherの関係性で以下の問題点を上げています。

 

Ethereum上で発行された独自トークン保有者にとって、別コインであるEtherを別に用意してきて、手数料支払いに使うのは面倒だし非効率。Etherなんて使わずにトークンを直接ネットワーク使用の手数料代わり(マイナーへのインセンティブ)に使えた方が便利。「Ethereumネットワーク」に多数のアプリケーションや独自コインが増えると、むしろそれらのコインを軸にしたトークン設計の方が合理的で、Etherの重要性や市場価格は下がる。

 

これに関してはEthereum(Ether)支持派の人でも、少なくとも一部は納得の指摘だと思いますし、すでにEthereumコミュニティー内でもこの問題については議論されていると認識しています。

 

確かにEthereumにとってEtherとは車でいう走行距離を決める為のGas(ガソリン)代わりに必要なだけであり、Ethereum上のDappsを動かせるGasとして機能するのであれば、マイナーへの支払いは本質的にはEtherというコインである必要はありません。

 

Rubinの記事の主張は簡単に言えばこれだけなのですが、これは確かに重要なポイントをついているかなと思います。

 

このような動きに対して、Rubinはよく言われる4つの反論を紹介しつつ、それぞれに対する反論も展開しています。細かく説明する必要性はあまりないので、要点だけ言うと、

  1. Ether抜きEthereumはソフトウェア開発の視点から言えば問題なく実現可能(だし、そうなるべき)

  2. EthereumのマイナーはすでにEther建てではなく、Fiat建てで収益性を図っている。なので支払い報酬が他のトークンになっても本質的には何も差はない

  3. 独自トークンを使用しないコントラクトも、ウォレットの改修とかをすれば問題なくEtherではないコインでFeeの支払いは出来る

  4. Proof of StakeもEtherをStakeしなくても、複数のコインをStakeするモデルで(多分)行ける

 

Etherがないとそもそもマイニングインセンティブがないからプロトコルのセキュリティーが守られずダメじゃないか、という反応もあるかと思いますが、マイナーに各種トークンで直接報酬与えた方がシンプルでマイニングへのインセンティブもつけられるし、ソフトウェアの改善とかで実現できるからそちらの方が良くない?ということです。

 

ちなみにこれだと同じ理論は、ビットコインのマイニングとセキュリティモデルにも直接当てはまりそうですが、ビットコインとイーサリアムでは状況は違います。なぜかというとビットコイン自体は少なくとも今の時点ではネットワーク上のコインというのはbitcoinのみを想定して設計されており、ビットコイン上のアプリケーションが価値を持っているというか、「通貨(コイン)としてのbitcoin」自体がアプリケーションと見なせるからです。ビットコインネットワーク上の独自コインで同じスキームを採用するのも理論上は出来ると思いますが、Dappsとか独自トークンをプロトコル開発者も奨励しているイーサリアムとは事情が少し違います。


Etherもそれ自体が通貨、Medium of Exchange、Store of Value的な機能もある、という指摘も出来ますが、Etherの最大のユースケースとはEthereum上のアプリケーションを動かすためのGas(ガス)である、というのはEthereum開発者自体が言っていることでもあります。

 

「Ether抜きEthereum」の主張には他にもメリットがあり、土台のEtherのマイニング報酬と、Ethereumネットワーク上にのっている価値の不均衡問題がこれだと回避しやすいです。(詳しくは以前自分がこのブログで書いたことがあるので、こちらの記事を読んでみてください。自分はこれはビットコイン上のトークンについて言っていましたが、この話は今はイーサリアムにより当てはまりますよね)

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(麺抜きラーメンは個人的には全くなしなんですが、Ether抜きEthereumはありなのか…?)

Rubinの主張に対するVitalikの反論

さて、こちらの記事を見てVitalikがすでにRedditでコメント、反論しているようですが、その内容は以下のようなものです。

  • 現在、EtherでのTx fee(手数料) の一部(最低基準値)をBurnして、Ethereumの供給量を調整するスキームを検討していること
  • Storageへデータを保存するための支払い手段としてEtherを利用すること
  • (説明は省略しますが)Rubinが提案している、単一ではなく、複数のトークンをStakeするタイプのProof of Stake(heterogeneous deposit PoS)は実現が非常に難しい(なのでEtherを利用したPoSが必要になる)

といった点を指摘しています。

 

このうち3つ目の主張は妥当性はともかく、自分も理解できるのですが、1つ目と2つ目の主張は、Rubinの主張への直接の反論としては成り立ってなく、EtherをBurnしなくても、特定の条件に沿って複数のトークンをBurnしていけば同じような効果はある程度期待できると思いますし、そもそもEtherをBurnして、Etherの投機的価値を半ば人工的に調整することと、そもそもEther抜きでシステムを構築した方が合理的、という話の直接の反論にはなっていないと思いました。

 

本当にEther価格は崩壊(ゼロに収束する)するのか?

さて、RubinとVitalikの主張を見ましたが、最後に個人的な私見と予想を。

 

まず記事のタイトルにある通り、本当にEther価格は崩壊するか、ですが、自分はRubinの指摘は理解できますが、実際にはEther価格がゼロに収束したりすることはないと思います。

 

記事にも書いてありますが、Etherを抜いてEthereumネットワークを機能させるスキームというのはPareto Improvemingだ(関係している人全員が、損をすることをなくより高次のベネフィットを享受できる)、と言っているのですが、これは「既存のEther保有者を抜くと」という大きな前提が入ります。

 

逆に言えば、現状のEther保有者がEtherを抜くなんてありえない、と主張して仕様変更などに対して抗議や妨害をすれば、Ether抜きEthereumはおそらく実現しないですし、Vitalikもこちらの方向性は考えていないようなので、それだけをとってもEtherがなくなるシナリオはあまり現実的ではありません。

また、市場で価格がつきそうにもない独自トークンを利用したトランザクションを作る時に、もしEtherのような「中間通貨」がないと不便ですし、Fiatとのトレードペアを持たない(持ちえない)トークンの価格形成手段の一つとしてEtherがあるメリットもあると思います。本当にEtherなしでマイナーにインセンティブを付与したとして、どのトークンの組み合わせをどれだけ、どの条件でマイナーに支払うのか、というユーザーとマイナーのコーディネーションにかかるコストとかも小さくなさそうです。

 

が、同時に、Rubinの指摘は、現在のブロックチェーン業界全体の環境を考えると、今後のEthereumやその他のスマートコントラクトプラットフォームに関して示唆もあると思います。

 

まず第一に、「EtherがなくてもDappsは機能する」という指摘はEthereum上でEtherを払わなくてもEthereum上のトークンによる報酬体系を構築すればシステムは機能する、ということでもありますが、Ethereumのコードをそのままコピペしてその他のチェーンに移行することが出来るなら、これはある意味「Etherを使わないで(別チェーン上で)Dappsが機能する」と見ることも出来ます。もし仮にこの動きが今後進んでいくなら、Rubinの主張とは少し違う形でEtherの価格がゼロに理論上は収束していく可能性はあります。

 

また、完全にEtherを抜きにしないとしても、Rubinの指摘のような独自トークンの「Economic Abstraction」 が進んで行くと、相対的にEtherの必要性が低下し、Ether価格もそれに釣られ低下する可能性もあります。このハイブリッド形式こそむしろ一番現実的だし、合理的に考えるメリットも大きいな、と思いました。

 

 

また、今回のトピックとは少しずれますが、先日Etherのブロック報酬量を3ETHから2ETHに次のハードフォーク時に変更する提案、というのが出ていましたが、これに加えてPoSへの移行など、価格のついている通貨としてのEther、の今後の行方というのは非常に興味深いです。(PoSに移行したらこうなるだろう、というなんとなくの仮説は個人的にあるので、こちらもできたらもうちょい考えてみたいです)

 

というわけで、Ether価格が崩壊する!というのは少しセンセーショナルにしている気がしますが、Ether抜きEthereumの合理性を考えるというのは面白いですし、確かにEthereumネットワーク、もしくはスマートコントラクトプラットフォームの成功とEther価格は必ずしも正の相関はないかもしれない、という認識は持ってもいいと思います。

では。

Coingecko第二四半期まとめレポート 暗号通貨トップランキングの推移、Twitterセンチメント分析、Dapps利用推移など

www.youtube.com

 

先日の反省会の動画でも少し紹介したのですが、Coingeckoの第二四半期のまとめレポート、かなり面白い情報があったので、ブログの方でもいくつか自分が気になったデータを紹介してコメントしておきます。

 

Q2のデータなので、すでに最新情報、て感じではないですが、このレポートでしかとってない切り口や、中長期的に参考になる情報もあるので、まだ見てない人はさっと目を通しておいて損はないと思います。Coindeskなども似たようなレポートを毎四半期出してますが、個人的にはCoingeckoのものの方がクオリティが高くて切り口も新鮮だと思ってます。

 

第二四半期の日本語でのレポートの閲覧リンクはこちら

 

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  • 仮想通貨の時価総額ランキングの推移を四半期ごとに比べたもの
  • 上位の顔ぶれはなんとなくは変わってないけど、EOSがかなり上げてきたり、などはある
  • 10位以下は変動がかなり激しくて、みんな大好きBitconnectが最高13位とかに以前入っていたのが笑える。
  • あまり細かくは追ってないけど、Stellarとか静かに上がってきているものがあるのと、なんだかんだIOTAとかも上位に残っているのは少し意外。

 

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  • これは見れば明らかですね。取引高は全体だと下がってきているのに対し、取引所の数は増えてきてる。
  • 最近はもはや自分も全く知らない草取引所がたくさんあって、それを日本からも使っている人たちも結構多くてすごいなーと。
  • 日本でもちょうど交換業登録の審査が再開、というニュースがあったけど、今ぼろもうけしている取引所も少しづつ真っ赤な競争の激化、手数料競争や利益率の低下、などは避けられないでしょうね。それくらい儲かるということで。

 

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  • ICO色々ありましたが、EOSのICOで集めた金額が半端ない、というものを一発で図示しているもの

 

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  • EOSに関してのローンチ前後の経緯など。超ゴタゴタしている印象ありましたがまとめてくれています。
  • EOSに関してはビットコイン研究所とかでも結構詳しいレポート書いたのと、自分でも最近結構調べています。
  • ちなみに、EOSはかなり注目されていて、今後も盛り上がる可能性はあると思ってますが、同時に根本的な問題も(まだ)多い、というくらいの認識。

 

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  • Twitterでのセンチメント分析。Coingeckoらしいユニークな切り口。
  • Twitterでの言及数などはBotとかである程度操作出来てしまうので、必ずしも正確な分析材料にはならないですが、暗号通貨界隈の温度感を測るための重要なツールですね。
  • 日本でもTwitterを見ていればどのコインが人気で市場の過熱感や絶望感などは感覚的にわかります。
  • TRONのメンション数が時価総額とかに比べて高いんですが、これ日本のなんとか教団の影響じゃないのか笑

 

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  • 一次的な盛り上がり、絶対教団のせいだろ笑

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  • Dappsの利用数と取引高の推移
  • Dappsの利用数はまだまだ全然少ない、という指摘を自分もしてきていますが、データを見るとただTx数や平均取引高はこの半年でも着実に増えているのがわかります。
  • こちらのデータはEthereumオンリーだと思いますが、これが今後さらに加速して増えていくのか、どこかのタイミングで手数料高騰などもあり頭打ちするのか、もしくはその他のスマートコントラクトプラットフォームに移行したりするのか、次のQの分析も面白そうです。

 

というわけで他にもパッと見て直感的に興味深いデータやチャートなどを出しているので、是非目を通してみてください。全体の3分の1も上記ではカバーしていないので。

Coingeckoのレポート回を重ねるごとに良くなってきているので、次回Q3のレポートもどういう仕上がりになるのか楽しみです。

 

最後に閲覧リンクはこちらです。再掲。