ビットコインダンジョン2.0

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マイニングが禁止されているはずの中国、深圳で、密かに盛り上がるマイニング市場

今週まで中国(香港、深圳)に滞在して、現地の業界の様子を探ったり、関係者と会ったりしてきました。

 

その内容は通常通りコインストリートの方で、動画で今月放送する予定ですが、かなり謎に包まれていた中国の暗号通貨事情が、おぼろげながら少しづつ見えてきた感じがします。まだちょっと自分の中でも情報の整理、仮説を考えたりしている部分もありますが、今まで見てきた国とはまた全然違う雰囲気でかなり面白かったです。

 

その中でも今日は、深圳で見たマイニング市場について先に少しだけ紹介します。

 

「中国のシリコンバレー」深圳

 

これはかなり有名で今更説明する必要はないかもしれないですが、深圳は中国のシリコンバレーとか呼ばれることもあり、中国のテクノジー業界、特にハードウェア製造を支える特別な場所です。

 

香港の北隣に位置し、香港から比較的簡単にアクセスできます。すでに行ったことある人も多いんじゃないでしょうか。(ちなみに自分はなんだかんだ今回中国初めて行きました)

 

深圳の状況については以下の外部メディアの記事などでも考察されてますね。

 

www.capa.co.jp

 

 

自分の深圳の全体的な印象としては、新しい都市だけありきれいで整頓されていて、隣り合う都市である香港と比べて圧倒的にスペース感もあり印象は結構良かったです。また、新しく建設中のビルなども多くみられ、「成長著しい計画都市」感がすごかったです。

 

それだけでなく、市内にはそれっぽいカフェとかも多く、サードウェーブ系ビットコイナーとしては働きやすそうだなーという印象。これはスペース不足もあってか、カフェとかがあまり見つけられなかった香港とは対照的でした。個人的には仕事をさっとすましたり、ドヤれるカフェは重要なので、深圳はここらへんもポイント高かったですね笑

 

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深圳の電気街

 

深圳の電気街は日本でいえば秋葉原みたいなものですが、規模感がとりあえずすごいです。ありとあらゆる電化製品、部品などを販売するお店が集結するビルが一定のエリアに10以上立ち並んでおり、ちゃんと見ていくと、一つのビルを回るだけで丸一日潰れそうなくらいのボリュームです。

 

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ガジェットとかが好きな人にとってはここは天国のような場所で、最新の製品や他には中々売ってないようなものも含め、通常日本で払う値段の三分の一くらいの値段で買えるものも多いです。

 

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例えば自分はこのUSBポートが4つあるプラグを買いましたが、これは中々他の場所では買えないとのこと。地味に便利です。ちなみにこれで確か300円とかでした。(同じ建物内で全く同じものを売っているお店の間でも価格が二倍くらい違ったりもしました)他にもめちゃくちゃ長いUSBケーブルだったり、フロア3階分すべて各種面白いデザインのスマホケースを売っていたり、最近スマホやラップトップなどのガジェット愛が再燃している自分としてはめちゃくちゃ楽しかったです。

 

 

今回自分は時間が限られていたこともあり、あまり買い物できなかったのですが、次回行くときはスーツケースのスペースに余裕を作っておこうと思います笑

 

電気街で大人気のマイニング機器 

そして電気街でASICが売られている、という話は一部元々聞いてたのですが、一緒に行った深圳在住の人も驚くくらいの量のASICが売りに出されていました。

 

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本来ラップトップ、コンピューターコーナーであったはずの階が半分くらいASIC販売所みたいになっており、数か月前には存在しなかった大量のマイナーショップがオープンしていました。

 

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Bitmainの最新モデルなども売っており、1000以上のユニットも普通に販売しているなど、在庫もかなりあるようでした。ちなみにマイナーだけではなく、Ledger Nano Sなどのハードウェアウォレットを大量に売っている店もありました(もしかしたらLedger自体が深圳で製造されているのかも)

 

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なぜこんなにマイニングが人気なのか?

 

自分が気になったのは、なぜ中国ではここまでマイニング機器に需要があるのか、です。実際投資効果でいえば、個人が古いマイニング機器を買ってプールに参加したりするより、単純にビットコインもしくはその他のコインを直接買った方が投資効果は高そうな気もします。

 

これについては色々説が考えられますが、どうやら「マイニング」という作業をすること自体への妙な先入観というか、「儲かりそうだ」みたいなイメージが中国では強いようで、投資回収効果とかをあまり考えないでとりあえずマイニングをしている人たちも少なくないそうです。

 

やはり目に見える形で何かしらの作業をして、それに対して報酬が与えられる、という方が安心出来るのでしょうか?余談ですが、全体的に中国のマイナーと話していると「労働者(マイナー)信仰」というか、我々はマイニングをすることでネットワークに貢献しているんだ、「労働の美徳」みたいなニュアンスを自分は感じました。そして中国人のマイニング愛というか熱気は本当にすごかったです。

 

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 (香港のマイニングミートアップの様子)

 

また、面白かったのは深圳でASICを買っているのは中国人だけでなく、自分たちがお店を回っていた時だけでも、ロシア人と日本人がASICに熱い視線を浴びせながら、店員と価格交渉している人たちもいました。「俺のロシアの兄弟用にもう一つおまけしてくれ」とか交渉しててウケました笑

 

マイニングは禁止されているはずでは?

 

ここで一つ思うのは、マイニングは中国で禁止されていたはずなのに、こんなにあからさまに売り出したり、大人気になっちゃってて大丈夫なのか?ということです。

 

確かに実際に現地の人に話を聞いてみても、政府はマイニングに関して禁止をしようとしたり、一部大きなマイニングファームを閉鎖した(しようとした?)という事実はあるようです。



ただし、禁止されているからやらないという単純な話ではなく、今回中国で全体的に感じた印象の一つでもありますが、「政府の動向などは確かに不安だが、ばれない範囲でやれば問題ない。重要なのはどうやってギリギリを攻めるか」というようなスタンスの人たちが多かったです。とはいってもこれは自分が受けた印象というだけで、本人たちがそう言っていたわけではないのですが、日本みたいに規制されているからやらないとか、金融庁に相談してくる、とかの優等生的な思考パターンとは根本的に価値観が違うのは明白でした。(まあ日本でも無視してやっている人たちは当然いますが、中国はまともな企業も含めてここらへんの認識の温度差を感じました)

 

中国政府のマイニングへの対応はまだ明確ではないようですが、深圳の電気街でこれだけ大量にASICが売られ大人気になっているのを考えても、中国のマイニング産業に衰退の兆しはあまり見られませんでした。

 

その他の中国、香港の暗号通貨事情

というわけで今回紹介したのはマイニングの話でしたが、他にも中国、特に深圳、香港エリアの関係者や企業に色々インタビューをしてわかってきた興味深い事実、印象などについては、今月のどこかのタイミングでビットコイナー反省会の方でライブ放送するので是非そちらを見てください。中々面白い話が他にもあります(アーカイブ動画は通常通りコインストリートのみで限定公開)日時が決まったらまたTwitterなどでアナウンスします。

 

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他にも最近コインストリートの方ではアルトコイン分析動画などもアップしてます。正直言うとアルトコインについて表で記事を書いたり発言してもあまりいいことがないので、今後アルトコインなどの分析、コメントなどはコインストリートの方でやってく予定です。すでにLitecoinとLiskに関して動画を公開していますが、今後も似たようなフォーマットの考察、議論、また注目度の高いプロジェクトやコンセプトの考察をしていく予定です。

 

www.coinstreet.club