ビットコインダンジョン2.0

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ビットコイン VS クレジットカード コスト編

ビットコインとクレジットカードの対決。今回はコストについて考えてみます。前回はビットコインとクレジットカードのセキュリティーについて少し書いてみましたが、それとおそらく同じくらい重要なのがコストです。

 

決済のコストを考える時に主に二つのサイドからの見方があると思います。店舗側の視点と消費者側の視点です。まず店舗側の視点を見てみましょう。

 

店舗とクレジットカード会社の微妙な関係

 

まずクレジットカードの仕組みについてみてみましょう。以下のサイトに図つきで書いてあったので参考にしてみましょう。


クレジットカードの仕組みを知ろう。なぜクレジットカード会社は儲かるの?

 

これを見ていただければわかるように、通常クレジットカードの支払いに対する手数料として、加盟店舗は2~5%くらいの手数料をクレジットカード会社を払うことになります。これは特に薄利多売のモデルのビジネスに対してはかなり大きなマージンです。クレジットカード払いを受け入れていないお店がいまだにかなりあるのも、現金の方が数%自分の店舗への利益が多いからです。当然と言えば当然ですね。

 

また、クレジットカード決済が確定するまでに、数営業日かかることが通常で、場合によってはチャージバック(払い戻し)で支払いが上手く通らないこともあるようです。

 

店舗にとってクレジットカードを使うメリットというのは、クレジットカード支払いを望む消費者の集客、他社との差別化が図れることと、決済に関する自社の作業負担を減らせるという側面が考えられます。オンラインショップでクレジットカード以外の方法で(着払い、コンビニ振り込みなど)支払ってもらうことも可能ですが、クレジットカード会社に代行でまとめてやってもらった方が楽だと言えます。

 

まとめると店舗にとってクレジットカードというのは、大きな手数料のせいで憎むべき相手である一方、集客や業務処理の面で魅力的なものでもあるのです。

自分のビジネスにとってメリットの方が大きいと考える店舗はクレジットカードを導入しますし、デメリットの方が大きいと感じればクレジットカードは導入しません。

 

ビットコインは店舗への救世主となれるか

店舗にとってビットコインはどのような存在なのでしょうか。

 

まず手数料ですが、ビットコイン支払いに関する手数料は基本的に数円です。もし現金に換金せず、ビットコインのまま売上を保存しておく場合、手数料はかなり小さいと言えます。特にアイテム単体の売上が大きくなればなるほど、この効果は高くなります。

例えば5万円のアイテムを売った時に、クレジットカードだと仮に3%の手数料と想定して、1500円手数料でとられるところが、ビットコインだと5円程度です。1495円得ですね。

 

ただし、ビットコインの価格の乱高下を心配してすぐに現金に換えたいという店舗も多いでしょう。その場合は取引所(日本ですと、Coincheck社などがあります)を使うと、1%の手数料でビットコインを現金に換えられます。手数料はとられてしまうことになりますが、クレジットカードの手数料の数分の1で決済を完了できることになります。

 

また、ビットコインの場合支払いの完了も1時間程度で済みますし、一度完了した支払いが後で無効になることはありません。

 

さらに国境の壁はビットコインには関係ありません。店舗は世界の消費者を相手にビジネスを展開することが可能になります。特にデジタルコンテンツの販売などは、ビットコインを使えば今まで難しかった少額の課金もできますし、クレジットカードのコスト構造では不可能だった、国際ビジネスもすでに出てきています。

 

店舗の視点からみると、ビットコインでの支払いが一般的になると、コストの問題で今までクレジットカード支払いを受け入れられなかった店舗も電子決済の恩恵が受けられるようになります。

 

 

消費者から見たクレジットカードとは

さあ店舗からの視点がある程度わかったところで、消費者からの視点で考えてみましょう。

 

消費者から見ると、クレジットカードでの支払いは現金支払いよりメリットが大きいケースが多いです。現金で支払ってもポイントはつきませんが、クレジットカードで支払うことで1~2%分のポイントがつきます。これなら当然クレジットカードで支払いたいと思いますよね。

 

また、当然クレジットカードで支払う方が現金で支払うより手間が省けることも多いです。実際の店舗では細かい現金で支払うより、クレジットカードでシャリーンとできればストレスフリーで支払いが完了します。また、オンラインショッピングでもクレジットカードがあれば楽に支払いができます。むしろクレジットカードを持っていないと、オンラインショッピングはほとんど成り立たないくらいだと思います。

 

また、年会費などが完全無料のカードも多く存在し、審査さえ通ればクレジットカードは基本的に無料で持てます。複数の無料クレジットカードを使い分けている人も多いでしょう。

 

私は別にクレジットカードのファンではないですが、消費者視点でコスト側面を考えた時、クレジットカードにあまり大きな穴は見つけられません。

 

あえてクレジットカードのコストでのデメリットをあげるとすれば、年会費などが知らぬ間にとられているケースと、海外旅行時などに知らぬ間に手数料(数%程度)が上乗せされていることがあるケースです。こういう場合は結構知らぬ間に手数料をとられていることが多いです。

 

ビットコインは消費者にとって不要?

さて、すでに説明したようにクレジットカードは消費者にとっては圧倒的にメリットの方が多いように考えられます。

現状はビットコインで払っても、現金やクレジットカードで払っても消費者に請求される金額は同じなことがほとんどです。

例えば消費者が1000円の雑貨を買うときに、上記3つの支払いを選択できる場合、どれが最適だと思いますか?クレジットカードです。ポイントが還元されるからです。

 

ビットコインでの支払いが一般消費者にコスト的メリットを出すには、そもそもの商品価格がクレジットカードより数%安くならないといけません。現状はこれはまだ起きていません。

 

一点だけ消費者にとってビットコインがクレジットカードよりコスト面で優れているとしたら、国際送金、もしくは海外旅行時でしょう。手数料は国内でも海外でも変わりませんから、その場合はビットコインの方が安くなる可能性があります。

 

 

まとめ

ビットコインのコストメリットというのは消費者より、主に店舗の方にあります。

店舗としてはビットコイン支払いを受け入れて、消費者がビットコインで支払い始めてくれればそれが理想です。

しかし、消費者としてはビットコインでの支払いをするメリットがあまりないため、コスト以外での優位性がないとビットコインを受け入れてくれるとは思えません。

鶏と卵理論のような気もしますが、消費者からのプレッシャーや要望がないと、店舗はおそらく動かないとも考えられます。

 

こう考えると、ビットコインが一般に広く浸透するのはまだまだ時間がかかってしまうのかな、というのが私の正直な感想です。(残念ですが)

 

それでは。