Wiredのブロックチェーン特集の読書感想文
2日前に日本に帰ってきて、ようやくWiredのブロックチェーン特集号を買いました。
実はまだ時差とか気候の変動かわからないですが、若干体調悪いのでだらーっと雑誌を飛ばし読みしてたのですが、読書感想文を書いておきます。
まずはポジティブなところから入っておきたいのですが(笑)、630円でちょっとした記念というかエンターテイメント的に読めるので、このブログの読者でまだ買ってない人は買って損はないと思います。普通の本屋さんで売ってるので、店頭にあるうちに買っておきましょう。
内容も色んな業界内外の人へのインタビューだったり、ビジュアルもすごい凝ってますし、読み終わるとなんかものすごく意識が高くなります笑
というところまで言った時点で、以下に気になった点を述べておきます。
テーマは何だったのか?
冒頭の入り方などを見ていると、この特集のテーマは「ブロックチェーン」であり、「ビットコイン」は土台のブロックチェーン技術や分散台帳技術の進化の過程、「捨て石」でしかない、というようなものを伝えたかったのかな、と思います。
ただし同時にインタビューで特集されている人物たちの一部はビットコインに心酔しているハッカーだったり、Everlederなどのビットコインのブロックチェーン上に存在証明をするプロジェクトだったり、ビットコインを否定したいのか、それともブロックチェーンという広い意味で考えるためにあえて入れていたのかわからないですが、メッセージがかなりブレていた気がします。
「ビットコイン捨て石論」自体は別にいいと思うのですが、編集者も含めてどこまでそこの境界線を意識していたのかちょっとわからなかったというか、読み終わって意識は高まったのですが、結局何を言いたかったのか自分にはよくわからなかったです。
(※何かネチネチクレームつけてる人みたいに聞こえてちょっとあれなんですが、読んだ人で同じように思った人たちもいるのでは?笑)
ブロックチェーン技術と分散化と銀行不要論の混同について
もう一つ自分が気になったのが、今回の特集以外にも当てはまるのですが、ブロックチェーン技術と分散化の話と、銀行不要論が混同されて理論がめちゃくちゃになっているケースです。
今回の特集内でも、「ブロックチェーンの分散技術は銀行を不要にするかもしれない」と言ったメッセージが随所にあったのですが、ただ前後のトピックを見ると明らかにいかに銀行がブロックチェーン技術に注目して金融の世界を変革しようとしているのかなど書かれていたり、何か主張があっちこっち行ったり来たりしてしまってませんか!?笑
「あれ、ブロックチェーンは銀行を不要にするの?え、メガバンクもブロックチェーンに注目?R3と銀行がコンソーシアムブロックチェーン?ん、ブロックチェーンじゃないの?なに、結局ブロックチェーンは銀行不要にするの?へ!?」
何か今回に限ったことではなく、こうなっちゃうことが自分もあります笑
ブロックチェーン単体は信頼も置き換えられないし、改竄不能性も与えられない
これは業界内の人には結構前から何回も指摘されていると思うのですが、ビットコインを支えるブロックチェーン技術はすごい→ブロックチェーンは信頼を置き換えて、改竄不能性を付与する、というよくある図式は間違いです。
信頼を置き換えたり、改竄不能性を付与するのはマイニング、ビットコインで言えばProof of Workのコンセンサスメカニズムです。マイニングではない、単体、もしくは複数の参加者の相互信頼で成り立つブロックチェーンをプライベートブロックチェーン(コンソーシアムチェーン)などと呼んだりすることもありますが、これは新たに信頼の概念を持ち込んでしまっていますし、ブロックチェーンを使っているから過去の記録が改竄不能になるというわけではないです。ビットコインの場合ブロックチェーン上の記録が改竄不能と言われるのは、マイニングによりエネルギー消費があってのものです。
また、大切なのは通貨の部分ではなく、その土台の技術(ブロックチェーン)だと言われることも多いのですが、マイナーのインセンティブの付与などにやはり「通貨」の存在が必要であって、信頼不要で改竄不能な分散ネットワークがすごいという主張をするなら、通貨の部分は不要だということは本来同時に出来ないはずなのですよね。もしくはブロックチェーン技術の本質は、中央管理者不在とか信頼不要とか改竄不能とかではない、と主張するのなら通貨の部分は確かに無視してもいいと思うのですが、そこらへんがやはり混ざっているとは感じました。ここらへんの微妙な関係性は本当に難しいですね。
シルクロードの話面白そう
付録にシルクロードに関するストーリーが掲載されていて、それがすごい面白そうです。文字数が多かったのでまだ実は読んでないんですが笑もしかしたらこれが今回の特集の隠れた本命かもしれません。
まとめ
というわけで何かネチネチ文句言ってるみたいですいませんね笑
全体的には結構面白いなーと思いましたし、Wiredはもうずっと前に「ビットコイン特集」もしたことがあったりかなり進んでるなと思うのですが、同時にその時からこの「ブロックチェーン理論」の変質化がすごいとやはり違和感のようなものは感じてしまいました。
「ビットコインはダメだが、ブロックチェーンはいい」という論調は2015年の後半くらいから始まったのですが、おそらく今あたりが華で、同じ人たちがこれから「やはりブロックチェーンはダメ。分散DB技術が世界を変える。(ビットコインって何だっけ?笑)」というような論調にそろそろ移行していくのかなーとか思いながらパラパラページをめくってました。実際そういうようなトレンドもすでに出てきてますよね。
まあ何はともあれ他にもこの特集読んだ人がいたら、自分はこう感じました、その考え方には反対します、でも何でもいいのでコメント残してくれたら面白いかもしれないです。
それでは。
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