ビットコインダンジョン2.0

Bitcoin (ビットコイン)やブロックチェーンを技術に詳しくない人たちのために、面白おかしく、そして真面目に語ります since 2014

年末特別ビットコイナー反省会と「今年の~」リスナー投票のお知らせ!

いやー、もう2016年ももう少しでおしまいですね。そういう風に言い始めるとなんだかもう後ろめたい気持ちばかり感じますし、この1年でまた一つ老いてしまったとか思うと絶望的な気がしますね笑

 

というネガティブな感情はさておき、今年1月に始まった国内ビットコイン業界最大!?のポッドキャストビットコイナー反省会」も、おかげさまで今月、12月29日予定の放送で無事に丸一年一周したという感じになります!ブログも何とか細々と(笑)続けていますが、ポッドキャスト的なものは前からやりたかったのもありますし、まさか一年ちゃんと続くとは…。まあとりあえずやっている自分たちが楽しんでる限り続けると思います。


そして、この今年最後の記念すべきビットコイナー反省会では、いつも通り今月の振り返りだけではなく、2016年の重大トピックを振り返りつつ、リスナーにも「今年のビットコイン流行語」「今年のGox」「今年のマイクハーン」「今年のビットコイナー(a.k.a.Bitboys笑)」に参加してもらおうと企画しました!!

 

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以下がリスナー投票の概要です(気合入ってる笑)

 


投票トークン

 

投票をするには、カウンターパーティのSANSEIトークンを使用します。

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(これが一応SANAEIトークンのロゴ笑)


投票にはカウンターパーティのトークンが使われるので、事前にCounterwalletや、IndieSquare Wallet(日本語も対応しているモバイルウォレット)などで事前に自分のアカウント(アドレス)を作っておく必要があります。

Counterparty対応のウォレットの使い方とかは日本語でも情報が結構落ちているので、わからない人は調べるかわかる人に聞けばそこまで難しくないです。

 

SANSEIトークンの入手方法

SANSEIトークンは、ビットコイナー反省会で配ったりしているHANSEI保有者に、1対1の割合で投票期間前にカウンターパーティの配当機能を利用して配られます。番組に寄付してくれたり、質問を投稿してくれた人はHANSEIトークンを持っていると思いますので、自動的にSANSEIトークンを受け取れることになります。

 

その他にも、カウンターパーティフォーセットなどでも配っているので、HANSEIトークンを持ってない人も投票に参加できます。


もしSANSEIコインをゲットして投票して楽しみたいという人は、投票期間前にこちらの寄付ボタンからビットコインで寄付することでHANSEIトークンを受け取ることもできます。ただし、事前に強く言っておきますが、わざわざ投票するためだけに寄付したりする必要は皆無です笑(あくまで番組が役に立った、面白かった時のチップというくらいでいいと思います)

 


投票サイトと投票方法

 

投票はBitgirlsで使用している、Zaifの投票ツール、Zaif Voteを貸してもらいます。今準備中ですが、準備が出来たらリンクを公開します。(※12月22日 準備完了したので、それぞれのカテゴリー用のリンクを以下に貼っておきます)



それぞれのカテゴリーの候補にどれだけの票(SANSEIトークン)を分配するかは自由なので、もしどうしても推したいBitboys(笑)などがいたら一点集中してもいいかもしれないですし、バランスよくそれぞれのカテゴリに投票してもいいかもしれません(とりあえずだから投票してください!!!笑)


投票方法は、投票したい候補に対応するアドレス(QRコード)あてにSANSEIトークンを受けるだけです。何にどれくらいトークンを送るかは自由に決めてください。


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(こんな感じで投票候補それぞれにアドレスが割り当てられています)

 

投票期間

 

投票期間は12月22日~29日で考えていますが、割と適当なので少し遅れたりする可能性があります。準備完了したらまたアナウンスします。


投票トピックと候補

 

現時点での暫定ビットコイナー反省会大賞候補は、Twitterなどでの意見も参考に以下のようにしてみました。もし他にも候補として適切なもの、もしくは立候補などあれば投票期間スタート直前までは募集中です。(直前に一部追加、修正などあり)

 

今年の流行語

今年のビットコイン流行語 - Zaif Vote

  1. トークンエコノミー
  2. マイクハーン
  3. ハードフォーク
  4. シットコイン
  5. SegWit
  6. ブロックチェイナー
  7. ファイナリティ

 

今年のGox

今年のGox - Zaif Vote

  1. The DAO
  2. Bitfinex
  3. ShapeShift

 

今年のマイクハーン

今年のマイクハーン - Zaif Vote

 

  1. R3CEV(マイクハーン)

  2. 編集できるブロックチェーン

  3. Stephen "The Tool" Tual

  4. Craig Wright

  5. Coinbase

      

今年のビットコイナー(a.k.a. Bitboys(笑))

今年のビットコイナー(Bitboys?lol) - Zaif Vote

  1. 加納さん(bitFlyer代表)
  2. 朝山さん(テックビューロ代表)
  3. 和田さん(coincheck代表)
  4. 杉井さん(カレンシーポート代表)
  5. 大石さん(ビットコイン&ブロックチェーン研究所)
  6. 木下さん(Jonathan Underwood)(ブロックチェーン大学校講師)
  7. 日向さん(ジャノム代表)
  8. Koji
  9. Zakiyama

 

審査方法

 

今年のビットコイナー反省会大賞は、厳正な(独断と偏見)審査のもと、当日の放送中に決定されますが、今回はリスナーからの投票結果も加味した、2 of 3マルチシグ方式を採用しますw

 

リスナーからの投票結果が1票、Koji、Zakiyamaがそれぞれ1票ずつとして、2票集めたものをそれぞれのカテゴリーの大賞認定します!え、票が全部バラバラになったら?そこは空気で決めます笑

 

当選の特典

 

それぞれの投票はあくまでただのエンターテイメントですが、Bitboys大賞をとった人の会社、プロジェクトに関しては来年1月のビットコイナー反省会で自分が全力で宣伝協力します笑(多分あんま効果ないけどw

 

あとは勝者は、カンファレンスやイベントなどでの自己紹介で「2016年のビットコイナー選出!」というプチ自慢が出来ます(絶対そんなことする人はいない

 

というわけで、投票する人もしない人も、今年最後のビットコイナー反省会は、投票以外にも今年のニュース振り替えりもあったり、今年を振り返りながらいつもより3割増に楽しく役に立つ、ビットコイナー必見の放送になると思うので、お見逃しなく!

 

それでは。

ビットコインがTo the Moonする準備は整った!?

昨日ビットコイン友達と話をしていて、「0.1btcがもう1万円くらい」という話が出て、正直ちょっとびっくりしました。自分の体感だとまだビットコインの市場価格の変化に対応できてないのか、0.1btcと言われると大体4000円から5000円くらいという認識だったからです。

そこで過去1年間のビットコインの価格チャートを見ていると、年初から比較するとビットコイン価格は2倍弱くらいまで上がってることに気づくわけです(気づくのが遅い笑)自分の感覚では5000円くらいだったので、つまり自分の時間は2016年が始まったくらいで止まってるわけです笑

 

 

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ビットコイン価格は上がるんですか?下がるんですか?みたいな質問はむしろ最近あまり自分自身は実は聞かれることがないのですが、(みなさんアルトで痛んでるんですかね…)少し前にビットコインへエネルギー、トレンドが戻ってきている感覚がするという記事を書きましたが、ビットコイン価格もそれを反映するような形になっています。

 

ビットコイン To the Moonの材料は揃っている!?

 

自分はビットコインの価格予想は年始とかに冷やかし程度でやるだけであまり予想したりすることもないのですが、最近はビットコイン自体というよりむしろ外部の経済要因などでビットコインへの追い風がガンガン吹いていると感じています。


相場 | ビットコインの最新情報 BTCN|ビットコインニュース

 

BTCNの独眼竜さんは中国元の切り下げなどを主要因にしばらく買い相場予想をしたりしていますが、個人的に他に面白いと思っているトレンドはインドで突如始まった高額紙幣廃止の動きだと思ってます。

 

www.abc.net.au

 

脱税予防とブラックマーケットの取り締まりを理由に、先月始まったインドの高額紙幣廃止と新紙幣の影響はまだ深刻なようで、そもそも新紙幣の供給が追いついておらず、一般市民が大きな影響を受けているようです。


そして同時にベネズエラでは現在進行形でハイパーインフレーションが発生して、インド同様の高額紙幣の廃止、資金流出を防ぐための国境封鎖まで検討されてるようです。自分もあまりピンと来ないところがあるのですが、諭吉を1年間何もしないで塩漬けしないでおいたら1年後に2000円くらいの価値になってしまうくらいのレートのようです。1月にはガリガリ君(今80円くらい?)が125個買えたのが、1年後には25個しか買えなくなるような計算です、年間マイナス100ガリガリ君ですよ!(わかりづらい笑)

www.miamiherald.com

 

ただし、歴史を振り返ると中南米だけで、過去30年以内にアルゼンチン、ボリビア、ニカラグア、ペルーでもハイパーインフレーションを経験しており、そういう意味では実は歴史的に珍しい現象でもないようです。

 

このトレンドは続くのか?

自分はマクロ経済については全く語るほどの知識はないですが、ニュースを追ってるだけでも、今日オーストラリアがインドとベネズエラの例を見習って、高額紙幣の廃止を検討しているというニュースも出ていました。

www.news.com.au

 

もし本当にオーストラリアが高額紙幣の廃止に踏み切ったら、他の先進国でも似たようなことがもしかしたら続くのかもしれません。

 

ビットコインのキラーアプリは法定通貨(Fiat Currency)システムの混乱や崩壊ということを言う業界関係者も多いですが、もしこのトレンドが続くなら10年前にはまだ存在すらしなかった国家や通貨の失敗からの国民の代替手段、選択肢としてビットコインが認識される日は実際に来る可能性は全然あるんじゃないかと思います。

 

政府に禁止されているのに自国通貨をビットコインに変換するのはけしからん、というような人も中にはいるかもしれないですが、おそらく自分がベネズエラ人で今国家の通貨政策の失敗の責任を自分が背負わされているとなったらおそらく迷わずどんな手段でも検討すると思いますし、それを責めるのは酷な気がします。(確かベネズエラではビットコインが禁止されていたと思うのですが、間違いなくベネズエラ内でビットコインを扱っている人はいるでしょう)

明日いきなり諭吉が使えなくなったり、銀行口座の預金が全て凍結されて自分の資産が50%徴収されます、みたいになったと想像したとして、もしそういう政府の強権発動みたいなものがいつ起こるかわからないような状況になってしまったとしたら、日本人もベネズエラ人もとる行動は大して変わらない気が自分はしますね。なんでその責任を自分がとらなくちゃいけないんですかっていう。

 

そして、インドでは20~30%くらいのプレミア(1000ドル以上)でビットコインが取引されており、現在のビットコイン価格の上昇をけん引しているという主張もされています。金(ゴールド)などが富の退避先としてはまだ一般的ですが、じわじわその一部がビットコインにも入ってきている、前から言われていたそのトレンドがより現実的になってきている感じがいよいよします。来年ビットコインが大きく飛躍するとしたら、ビットコイン自体が進化する以上にむしろ周りが勝手に自滅していってビットコインに消去法的に入ってくるみたいなそういう状況もイメージはできます。

まあだからと言って、このまますんなりビットコインの価格が上がるわけでも当然なく、高額紙幣の廃止などの外部要因の追い風はありつつも、SegWitの支持率が中々上がらない問題などの懸念要因はあります。とはいえ、少しずつ「ビットコインはTo the Moonします」とビットコイナーエバンジェリストがドヤ顔でいえる機会が増えて来そうです。

だから、SegWIt、頼む~!!!笑

 

それでは。 

 

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Synereoの空中分解と悪質ICOのパターンを考える

Synereoはもうダメみたいです…。

 

blog.coinfund.io

 

medium.com

 

日本でSynereoというプロジェクトを追っている人はそこまでは多くないと思いますが、2か月ほど前に5億円の資金を集めたICOからこの1週間ほどで、CTOの解雇、重要なプロジェクトメンバーがプロジェクトを離れるだけでなく、上記の記事でSynereoの開発の裏事情や醜い争いなどが暴露されています。


実際上記の記事がどこまで真実を含んでいるかはわからないですが、Synereo内部で起きていたと暴露されていることは、実は他のプロジェクトにも当てはまることが多く、示唆に富んでるなと思いました。そこで、Synereoの件を例にとりながら失敗する可能性が高い、悪質な、もしくはある種スキャムと呼んでもいいようなものも多いICOプロジェクトに見られる、共通のパターンやリスクについて考えてみようと思います。

 

夢を売ってるだけではないのか?

悪質ICOでやはり一番多いのが、「夢を売っている」、「なんだかわからないけどワクワクさせる」的なプロジェクトでしょう。

 

Synereoのケースで言えば、元々はブロックチェーンを利用した「分散Facebook」というコンセプトからスタートしたSynereoは、次第にイーサリアムのようなDapps(分散アプリ)を作るRchainというプラットフォームを作って行く方向性にシフトしていきました。

そして、当時イケイケだったイーサリアムなどともパートナー的関係を結び、共同でPoSの技術を開発研究している、安全でよりスケール性の高い素晴らしいスマートコントラクトプラットフォームを立ち上げる、その上に当初思い描いていた分散SNSを最初のキラーアプリとして立ち上げ、自分の情報やアイデンティティは自分で守る、そのような時代を実現させる、みたいにすごい意識の高いことを言い始めたわけです。

 

最初の計画が上手く行かなかったと思ったら、風呂敷を広げて、ウェブサイトとかもちょっとこなれたものにしてワクワクさせることをたくさんし始めたわけですね。

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(すでにプロジェクトを解雇された元CTO Greg Meredithが投資家に向けてナプキンに書いたRchainの構想。何だか映画のようにかっこいいことをしていますが、果たしてこれにどれだけの中身があったのか…。※写真は上記の記事の画像から引用)


同様のことはSynereoだけではなく、他のプロジェクトでも見られる現象ですよね。ICOでお金を集めるには現実的に出来ることだけを選択してそれを宣言するというやり方では、多分そんなに何億円も集まることはありません。とりあえず話はでかく、ビジョンについて大きく語り、細かいところはむしろフワフワさせておいて、夢を売っておいた方が支援者や投資家は喜んでお金を投げつけたりするような現状があります。

 

プロダクトはあるのか?

 

そして夢を売ることにも関係性はあるのですが、悪質なICOには大体動くプロダクトは存在しません。

Synereoの場合、Rchainの構想をぶち上げてホワイトペーパーのようなものも公開していたようですが、今回の騒動の中でわかったことの一つに、Rchainの実際のコードやプロダクトといったものはほとんどないようです。(元CTOが追いやられたのも、結局何もプロダクトを届けられなく、開発が遅くなっていたかららしい)

悪質ICOにプロダクトはないのは、もしかしたら単純な技術やチーム力不足かもしれませんし、ICOでお金をたくさん集めることが目標なら、実はプロダクトなんて作らない方がいいのかもしれません。実際に動くプロダクトがあるということは、いいところ悪いところ含めて現実が見えてしまうということで、現実のものを提供してしまったら夢が覚めてしまうということです。ファンと付き合ったアイドルが、一瞬でファンに振られるみたいなそういうのに近いかもしれません笑

知らないからこそ、動くものがないから、そこのギャップを想像して埋めて、勝手にワクワクしてしまう人も結構多いですよね。

 

ヒューマンファクター 人間関係の話

 

これは悪質ICOプロジェクトに限ったことではないと思いますが、最終的にはプロダクトを作ってるのは人間なので、主要メンバーが喧嘩したり、もしくはリーダーシップが不足していたりすると当然会社やプロジェクトは上手く行きません。


Synereoの場合も今回の壮大な空中分解は突き詰めると、CEOとCTOの間の権力闘争みたいなのが今回の分裂の主な理由だったようです。そして問題なのはICOをやる前からここらへんの確執みたいなものはチーム内部ではすでに顕在化していたらしく(チーム崩壊のリスクなどが少なからずあった)それにも関わらずICOを決行して崩壊寸前のチームが5億円ほどの資金を集めた、という事実があったようです。

どのプロジェクトのチームが本当に機能しているかを外から正確に把握するのは難しいのですが、コミュニティーをじっと観察しているとそこらへんのほころびみたいなのが見えることがあります。そして主要メンバーがポロポロ抜けて行ったりするプロジェクトは結構その時点でリスクが高いと思った方がいいかもしれません(Augur、ごほっ、ごほっ

 

チームの内情が見えない場合はやはりプロダクトのアウトプットで判断するのが妥当だと思うのですが、悪質ICOはそもそもプロダクトがないので、外からここら辺を判断するのは至難の業です。(噂話を関係筋から聞いたりなどはあるかもしれませんが)


中央集権化と分散化の幻想

 よくあるICOプロジェクトのパターンに、「完全に分散化された」とか「コミュニティーが主体の」みたいなことを言うものがあります。やはりこの業界にいると、完全に分散化されているのか、信頼が必要になるポイントはどこなのかなどを気にする人が多いので、分散化されているということを大々的にPRするプロジェクトが多いです。

Synereoのケースでも、コミュニティーの参加や、オープンソースで分散化されたプラットフォームを例に漏れずアピールしていました。ただし、元従業員の記事に書いてあるように、実はSynereoのコードは実際はオープンソースになってないものが多く、知的財産権などもコミュニティーではなく、Synereoの運営会社に帰属しているようなよくわからない状態になっているようです(事実関係はここらへんかなり微妙なようですが)

 

正直に言うと、分散化することが必ずしもすべてのケースでいいことではなく、開発のスピードを速めるため、リーダーシップを発揮するためにプロジェクトによっては むしろ意図的に集権化、管理した方が多いものも多いですし、そもそも分散化する必要性のないものを「分散化している」といった類のプロジェクトも散見されます。端的に言えば、「分散化されている」「コミュニティーに意思決定権がある」ということで失敗や崩壊の時へのある種の言い訳やリスクヘッジに使ってるだけじゃないのか、というくらいの悪質ICOも中にはあると思います。
 

 

インサイダートレーディング

実際に証拠はありませんし、違法性などはまた別の問題ですが、告発記事では SynereoのトークンAMPの価格の急激な下落(今回のニュースなどが明るみに出る前に価格が急降下していった)にSynereo開発陣によるインサイダートレーディングがあったんじゃないか、という疑惑を向けていました。

 

実際真実はわかりませんが、誰かは知りませんがこの分裂などを知っていた人が売っていたことは間違いなさそうです。そしてここらへんの噂話はSynereoに限らずそこら中に転がっています。


なぜマイルストーンベースにしないのか? ~約束は破られる~

今となっとはなつかしい、トークンクラウドセール(ICO)プラットフォームにKoinifyというものがありました。GetGems、FactomがKoinifyを利用してセールを行った直後、平たく言えばビジネスをたたんでしまったのですが、Koinifyが採用した非常に重要なコンセプトがマイルストーンベースのICOです。

 

簡単に説明すると、セール前に事前に集めたお金はこの機能やプロダクトを開発するために使います、という詳細とマイルストーンを設定し、そこまでの目標が達成された時点で初めて集めた資金の一部を段階的に解放するというものです。集まったお金はビットコインのマルチシグの技術を利用し、鍵は開発者以外の複数の人に管理され、資金の開放も事前に定めたマイルストーンの達成なしではされない、というスキームです。

 

このようにすることで、開発者による資金の持ち逃げや、無駄なものへの使い込みを防ぐことにもなり、自分はICOにとってこの仕組みは非常に重要なものだと考えていました。


今回のSynereoのケースでは、ICOで5億円集めた直後からチームの分裂のような状況が明らかになっていき、ICO当初宣伝していたRchainを使ったスマートコントラクトプラットフォームの開発がほぼ頓挫してしまったので、返金を要求する投資家もいるようです。ただし、マイルストーンベースの仕組みを採用していないので、集まったお金をどうするかは平たく言えば全てSynereo側の判断次第で、Rchainの技術に共感して支援した人たちにとっては裏切り行為と言っても差し支えないと思います。

 

こういう状況はSynereoだけではなく、最近のICOはもはやマイルストーンの設定すらしていないものが多いです。開始数時間で何億集めた、というようなバブルICO的なものもいくつか見られますが、集まったお金が果たして重要なことに使われるのか、開発が果たして計画通りにすすむのか、そういうものを全部信頼して自分のお金を入れるのはリスクが非常に高いんじゃないかと自分は思ってしまいます。

逆に言うとマイルストーンベースのセールをもうしなくなったのはなぜなんでしょうか。プロダクトがまだ存在しない開発力もまだ実証されていないプロジェクトで、マイルストーンベースの資金調達を採用しないプロジェクトに何億も集まってしまうのはちょっと恐ろしい話ではあります。

 

価格の話ばかりのコミュニティー

Synereoの告発記事でちょっと興味深い発言だと思ったのが、元従業員がSynereoのコミュニティーは価格のことばかりを話すコミュニティーになってしまた、的な発言がありました。

実際自分もICO前くらいにSynereoのSlackに入ってちょろっと様子を見たんですが(ほとんど見てないですが…)、確かにその当時からAMP価格がどうの、とか言っている人が多かった印象を受けました。もちろんそうではない人もたくさん中にはいたと思うのですが、悪質ICOのコミュニティーのようなものではよく見られるような光景の気もします。そもそもの話ですが、ICOで成功するかどうかは実際プロジェクトの成否の可能性とかチーム力とかではなく、いかに投機的な筋を連れてくるか勝負みたいなところがあり、ICOで多額の資金を集めるためにそういう人たちをたくさん集めてしまうプロジェクトは自分の中では基本的に黄信号だととらえるようにしています。

これは自分の持論で色んなところで言ってきたのですが、そもそも自分自身が使わないのにコインだけ買うのはある種間違っていると思いますし、そういう人たちが多いプロジェクトはどうなるかと言えば、pump and dumpの繰り返しのような状況に陥ることも多いと思います。(自分は使わないから価格が上がったら売り抜けようと考えている人が大部分の場合)

 

最後に

今回のSynereoのケースは実は自分は結構残念な話だと思っており、Synereoは元々一回目のクラウドセールに失敗(失敗と言えるかはわからないですが、目標値に到達せず集まったお金も少なった)したんですが、それでやめるのかと思いきや地味にプロジェクトを継続させ、ピボットしてイーサリアムファウンデーションと共同研究を発表したり、低バジェットながら何とか工夫して生き残っててすごいな、みたいな印象があったからです。

 

プロジェクト自体の進捗については1年以上ほとんど追ってなかったのですが、何とか生き残って頑張ってるプロジェクト、くらいの認識でチラチラ見てたのですが、結局は実は何も進んでなく、プロジェクトの最大の達成が、ある種支援者は投資家をだますような形で5億円集めたICOというのは非常に残念です。

 

同時に今回のSynereoのケースは、典型的な悪質ICOプロジェクトのケースと言えるような気もしますし、むしろこれは氷山の一角なんじゃないでしょうか。特定のどれとは言いませんが、Synereoよりもっとやばそうなプロジェクトもあるような気もします。


自分はICO自体のコンセプトは昔から否定的ではないのですが、このトークンセール、クラウドセール、ICOなどと呼ばれるコンセプトが生まれた時の当初のようなトークンを通した資金調達とコミュニティー形成、オープンソースプロジェクトの開発、のような美しい理想の姿とはかけ離れた、夢を見させて投資家をあおったり、マイルストーンベースではない調達、分散化をうたってのリスク回避など、なんかどんどんひどい状態になってきてるな、と思ってしまいます。


どのプロジェクトは信じられる、信じられないとかそういう話ではなく、もっと根本的にICOのよりよい構造、スタンダードを作らないと今後もこういうケースは減ることはないんじゃないでしょうか。

 

特定のプロジェクトをたたくことが目的ではないですし、例えば単純にワクワクするから、ビジョンに共感するからICOに参加する、みたいな人を否定はしないですが、同時にそのワクワクは人工的に作られたものではないのか、果たしてプロジェクトの中身を理解した上でのものなのか、などのリスクについてももっと考えないと火傷してしまうと思います。


最近アルトコイン全般の価格下落がすごいことになっていますが、上記のようなICOの実態のようなものを理解しておいて損はないでしょう。

 

それでは。

 

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